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授業後、夜間コースが始まるまでの時間に実習室を
使用させてもらおうとすると、他にも大勢いた。
俺以外は出来合いのチョコレートを成形し直すだけのようだが
一から作る作業が珍しいのか俺は注目の的になってしまった。
しかも出来があまりよろしくなく、というか率直に言えば
ザラザラで不味く、非常に晒し者の気分を味わった。
ハンナに言わせれば当たり前のことらしい。
チョコレートは均一に、均等に、最初から最後まで同一の
力、速度で作ることでなめらかに仕上がるのだそうだ。
上手さで人間は機械に勝つことはできないのだという。
しかし、味があるとは人間が発生させる揺らぎがその本質であり、
機械では人間よりも味のあるものは作れないのだとも言った。
上手く、味がある。それらの調和こそが美味いものの
条件の一つなのだそうだ。
ハンナの助言と融資で俺の不味いチョコレートは大量の
チョコパウンドケーキに化けた。
クラスメイトから分けてもらったチョコチップも入れ、
中々に味のあるものに仕上がったと思う。
ある程度はその場にいた者達で美味しく食べたが
いかんせん量が多すぎた。
タッパーに入れて持ち帰ったが、正直始末に困っている。
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