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楽園を侵す絶望のフェンリルと燃える海原のヨルムンガンド、かつて深宮を
襲い、死闘を演じさせられた相手が再び現れた。しかも今度は
死を招く腐食の女王ヘルというさらなる脅威が潜んでいるのだという。
流馬が妙に神妙な顔をしていたので訳を聞こうとしたが、はぐらかされた。
理由は日誌にあった、ヘルの後ろにいたもののことだろうとは思うが。
チームアトリがフェンリルを、月影がヨルムンガンドを倒したが、
ラグナロクとフィーアがヘルを討ち洩らしたという連絡が入った。
腐り果て、燃える繁華街で、スーンの張った結界に護られフィーアの面々はいた。
ヘルとの戦闘中に流馬によく似た人物が現れ、危険を感じて結界を張り、
世界を覆いつくすような白炎が晴れた時、それらはいなかったのだという。
ラグナロク、流馬とノルンについてはどうなったのかわからないと言っていた。
狙いが波間である可能性を考え、緋剣と合流し深宮大学に向かった俺達服役中は、
メガフロートの見える海岸で二組の男女を発見した。
倒れたノルンと限界を超えながらそれでも戦う意志を失わない流馬と、
ドレスを着て顔を半分隠した白い波間と楽しそうな顔で立っている白い長髪の流馬、
すぐに理解した。あの白い流馬が滅界の邪神ロキなのだと。
俺達の存在に気づくとヘルは無数の侵魔を呼び出し、戦闘体制をとってきた。
雑魚はディーンとルーシィに、ヘルは師匠とポン刀メイドにまかせ、
昨日の返礼とばかりに俺と李刻でロキと戦った。
俺も李刻も、昨日流馬に言われた「自分の偽者くらい自分で始末できないのか」という
発言を少々不快に思っていたようなところがあったのかもしれない。
本気の李刻とコンビネーションを練習したことはなかったが、
これまで共に戦った誰よりも今日の俺達は息があっていたと思う。
実力でははるかに勝るロキに対して、完勝とも言える勝利だった。
ついでに、邪神としての神力を根こそぎ無害な方向にズラしてやった。
これでもう、三つの絶望を伴っての邪神復活はない。胸の閊えがとれた気分だ。
夜、李刻と一緒に困った時はお互い様だと流馬に言ってやった。
すごい微妙な顔をしていた。
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