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ここ何日かの話でよほど難しい顔をしていたのか李刻がまだ悩んでいるのかと問いかけてきた。
その問いに何故李刻は理由もなく学生を続けられるのかと問い返したところ馬鹿呼ばわりされた。
自分が学生であることは身分を作るためだが、深宮輝明に通っている理由はあるというのだ。
話はそこで終わったが、それで俺は李刻のここに来た理由を思い出した。
李刻は、俺がいるからここに来て、俺達がいるからここにいるのだ。
真夏も、琴も、メイド達も、博士も、ともすれば流馬や三木、ヴァルキリー達も
俺がいるからここに来たのかもしれない。
ひょっとしたら鈴も、俺がいるからここに留まることを決めたのかもしれない。
うぬぼれかもしれないが、俺がいるから集まったのかもしれない。
そう考えると怖くなった。
俺はこの場所から出たいと考えていた、もっと命を削る任務の中にいたいと思っていた。
俺は、約束の他には亜鳥の連中への憎悪ばかりを感じるこの世界から誰かを護って
死にたかったのだ。
だから姫さんに亜鳥の連中と同じ気配を感じた時、絶望して最も大切にしていた
約束まで憎悪で塗り潰してここから出て行ったのだ。
姫さんがあれをやった理由がわかった今でも、あの件に関しては許すことができない。
そして今は、今のためにここにいる。
約束ですら気分一つで反故にできてしまうことを知りながら、約束のためにここにいる。
なのに俺には何一つ自分が望む未来がない。今日までの話でそう分かった。
俺にだけ、この深宮で生きる理由がない。
そんな俺の周りに人が集まることが、俺は怖かった。
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カテゴリ: [[[普通>業務日誌/カテゴリ/普通]]] - &trackback() - 2010年11月22日 00:02:00
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