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博士が補給問題と俺以外の人間の脱出、救援手段を用意してくれた。
あとはこの日誌を所定の位置に納めることで起動可能になるらしい。
博士の説明では二つの月を利用したディメンジョンゲートを作成する仕組みだそうだ。
正確にはゲートではなくクリーチャーホールらしいので、かなり危険なものだろうが。
欠点は三つあるようだ。
一つはあまり大きすぎるものは送れないこと。
質量が俺の十倍以上あるものは一度に転送しきれない。
もう一つは俺が受け渡しの意志を地上の基地に発信しないと送れないこと。
戦闘時の緊急避難には使えず、俺が死んだら二度と使えない。
最後の一つは基地に定めたこの中州地下一階研究室と俺の眼前という
定まった位置同士でしか送れないこと。
俺が壁を向いている時に転送意志を発したらその物品はどうなるかわからない。
まあ転送にさえ気をつければ俺が倒れない限り補給は途絶えないようになるので
前回のような物資不足で断念という結果にはならなくて済むのは有難い。
とりあえず手伝ってくれそうな人物にはほとんど連絡を済ませた、まあ何人かは連絡が
取れなかったが、こともあり比較的一人一人の負担にはならないようにできるだろう。
カシギ校長にも実地研究という名目で講義を休む許可と単位の保障をしてもらった。
こちらは休学でもよかったのだが一緒に卒業したいという危篤な者が多いのだそうだ。
この日誌を知っている人間にはたまには書いてくれるよう頼んだ。
日誌を持っても記憶が流れ込まないよう博士に細工もしてもらった。
興味本位で随分前の日誌まで読もうとしなければそう酷いことにはならないだろう。
自分で日誌をつけることができなくなることが少し寂しい感じはするが、
この調査は中州を任されている以上いつかは俺がやらなければならないことだ。
少しでも早く再び俺が日誌を書けるようになることを願って、
しばらくこの日誌を俺の手から離す。
深宮のこと、後は皆に任せた。
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