中州の日々~亜鳥紫音 業務日誌~

原風景

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shion-atori

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俺はその場所を知っていた。

専門学校の授業が早く終わったので少し車で遠出してみると
少し殺風景な場所に出た。
なんとなく車を止めて歩いていると突然涙が止まらなくなった。

鈴と家族はいつも一緒だと約束した河川敷。
家族を失った俺と鈴が、それでも楽しく遊んだ場所。
俺も鈴もそれぞれの事情からその土地を離れ、
鈴が覚えていて、俺が忘れてしまっていた場所。

親の真似をして恰好つけて約束をして
結局忘れてしまった場所。
鈴が大切にしている思い出の場所。

俺が知らない俺がいた、とても大切な場所。

こんなところにあったのか。

楽しそうに走っている二人の子供が
まるであの頃の俺と鈴に見えた。
まあ、今日見た二人はどう見ても両方男子だったけどな。

俺は心の中で前を走る子供に声援を送った。
気をつけろ、後ろをついてくるそいつは、もしかしたら女の子かもしれないぞ。

追伸:今日のことを鈴に話すと殴られた。何故だ。


カテゴリ: [普通] - &trackback() - 2012年05月08日 00:28:33

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