中州の日々~亜鳥紫音 業務日誌~

近くて遠い

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shion-atori

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ミスターX、
彼女はエルティナ=カオスという新しく精神構築に成功したヴァルキリーらしい。
だがまだまだ感情というものが備わりきっていないらしく
なんとなく命令でこの戦いに参加することに決まったようだ。
正義さんはいろいろな人に触れることで少しづつ育んでいけばいいと言っていた。
精神回路が発現した時点で奇跡なのだと。

話を聞くと本当に奇跡としか思えなかった。
流馬が
ライラックの基本能力にディーンの戦闘経験値、俺の土壇場の機転と決斗の順応性を
兼ね備えたヴァルキリーと戦ってみたい、と適当にプログラムを積み込んだ挙句、
アグニーの動力で無理矢理動かしたら目覚めたのだそうだ。

ただし、まともな判断力が計算されていないのでディーンの経験だけが彼女の
行動基準になっているということらしい。

今日の俺との戦いもライラックの動きをフェイントに使ったエルティナに
ひっかかった演技で騙し討ちにして勝ったから、根本的に読み合いになると弱いのかもしれない。

自分より優れている者の模倣をすることで少しづつ学んでいるつもりなのだろうが
常に俺の後ろを歩いて俺の行動を逐一真似するのはいかがなものだろうか。

トイレにも行けないのは正直本当に困るんだが。

残りの三試合はどれも距離というものを考えさせられる戦いだった。

中州で行われた試合はディーンから聞いた話なので正確ではないが大体のことは理解できた。

譲のグラーシャの破壊爪による攻撃に対抗するため決斗が重装備中距離タイプを選び、
譲はそれを本来の戦術である遠距離魔術によって封殺したという話だった。
決斗の戦術が悪いというよりアイラ、金侍という防御に難はあるが完全前衛の二人と
中距離万能タイプの叢雲を接近戦での魔力撃で倒し、
接近戦で戦う印象を持たせていた譲が異常なだけだろう。

ディーンは金執事を高く評価していた。
セラが持久戦に徹しなければ勝敗は逆だったかもしれないと。
あれほど互角に戦える人物も少ないだろう、とも言っていた。
セラと戦うにはまず彼女の土俵に上がらないこと、
何よりも瞬発力、一瞬の攻防で決着することが唯一の手段だと思っていたが、
予測を駆使することでああも戦えるものなのだと認識を改めることができたと語った。
しかし結局、金執事でも時間という変え難い距離の前に膝を折った。
セラとの戦いは時間との戦いであるとはっきり認識できる試合だったようだ。

流馬と昴の戦いは距離を制しきった流馬の圧勝だった。
遠距離で戦おうとする昴の攻撃を炎の剣で全て叩き落し、
自分の射程に入るまで気取られないように少しづつ距離をつめ、
届くと感じた瞬間には一気に距離を零にしていた。
そこからは一度も離れることなく戦いを終わらせた。
試合後に遠距離での攻防の話を両者に聞くと
昴は剣から身体までの距離があんなに遠く感じるとは思わなかったと言い、
流馬は遠距離だろうが超遠距離だろうが着弾するときは至近距離だと言った。
理屈が通じない相手はエミュレイターだけで十分だ。

明日戦う流馬への対処方法が見つからない。
できれば自力勝負はしたくないが、それしかないんだろうな。


カテゴリ: [闘技] - &trackback() - 2011年08月12日 00:22:42

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