ミスファイアリングシステム

ミスファイアリングシステム(英: Missfiring system)とは、アクセルオフ時に混合気をタービン直前で燃焼させ、タービンを回し続ける事によってターボラグ(スロットルラグ)を無くす装置である。

使用状況と目的


ターボラグの解消

運転時の排気タービンは、常時十数万rpmで回り続けている。減速時には排気圧の低下に合わせ、タービンの回転数も徐々に下がる。その後再加速を行なう段階で、コンプレッサーの回転が再び上昇するまで、十分な過給が行なえない状態となる。この応答の遅れをターボラグと言う。
そこで競技車両には、タービン直前の排気管内(エキゾーストマニホールド内)で未燃焼ガスを燃焼させることにより、タービンの回転を維持してターボラグを解消する装置が取り付けられることがあり、ミスファイアをしているような作動音がすることから、ミスファイアリングシステムと呼ばれている。

主に中低速の加速力を重要視するWRC等のラリー競技やダートトライアル競技、またジムカーナなどの低速重視やドラッグレースなどのゼロ加速でその有効性を発揮させる事が多く、それらの参加車両にはこの機構を採用している。
また、ル・マン24時間レースやSUPER GTに使用されるGT車両等は、比較的に車重が重く(最低車重は1,000kg以上,フォーミュラ車両のほぼ倍)それらにも採用例が在るが、減速時にフューエルカットしないため燃費の悪化が著しく、予選時のみ使用し決勝では作動させない例もある。


名称と装置の作動

名称としては富士重工業がミスファイアリングシステム、トヨタ自動車がアンチラグシステム(フレッシュエアシステムとも)、三菱自動車では2次エア供給システム(PCCS:ポスト・コンバッション・コントロール・システム)と、各社によって呼び方に違いがある。 なお、このシステムはエキゾーストマニホールド内で燃焼させないとタービンが回らずに意味がない。さらに、タービン以降で燃焼してしまうと、アフターバーニングを作り出してしまい、触媒装置(キャタライザー)などの排気系パーツへのダメージが高く、使用し続けていることで車検不適合な状態になる事が多い。また音に関してはポンポンと太鼓を叩いたような音から、バンバンとそのまま爆発音といったような感じのものなどもある。
最終更新:2007年10月17日 20:50