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はぁ。気が重い。すみません。でも、御影先生にダメな子だと思われていたらと思うと……いえ、御影先生はそんな、すぐに生徒を見捨てるような人では。でも、迷惑をかけてしまったのは確かだし……。き、気を取り直して。それでは、御影先生のところへ行くついでに職員室のご案内をしましょう。教職員は基本的に、男性は神主装束、女性は巫女服の着用を奨励されています。とは言っても、正式な衣装は着付けにも時間がかかりますし、動きづらいので、学生服と同様、簡易なデザインのものがあります。にもかかわらず、その決まりにちゃんと従っている教員が少ない!
「お、設楽か? どうした? あ、紗月ンとこか」
「こんにちは、鈴置先生。Tシャツ、ジャージ姿でどちらへ? 部活の指導ですか?」
「ん? これは別に意味はないけど?」
風紀委員長を勤めた私からすれば、教師がこの為体というのは実に嘆かわしい状況。スカート丈の長さと同じで、範囲が決められているからと言って、必ずその下限に目標を合わせる事はないのです。そう言った点でも御影先生は見本となる方です。常にきっちりと巫女服を着用しています。風紀委員の顧問を務めるだけあって、素晴らしい心がけです。
「紗月なら自席にいるから。んじゃ」
「はい、失礼します」
私は、鈴置先生と入れ替わるように職員室に入りました。職員室も特に一般の学校と違いがあるとは思いません。……中学からこの学校で生活している私たちが何をもって「一般の学校」という基準にしているのかは分かりませんが。ただ、先生方の机の上にある授業の道具や、背後の本棚に入っている本は、きっと普通ではないのでしょう。
かぐら学園の教師陣は、大体、一人で一般科目と専門科目の二つを受け持ちます。例えば先ほどの鈴置鳳先生なら、一般科目では社会科(特に歴史)を専門としますが、専門科目ではお札の作り方や式神の扱い方といった術式一般を受け持っています。御影紗月先生ほどにもなると、一般科目として国語を受け持ちながら、その授業の一環として古文書文献読解を手がけ、さらに祭礼儀式等の作法を専門で教えてしまうような離れ技を見せてくれます。その上、高等部、大学の方でも時折教鞭をとっているというのですから、本当に尊敬してしまいます。ステキです。
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