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外伝 “実力の差”」(2010/08/24 (火) 21:31:49) の最新版変更点

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|580 :長編第十一戦“実力の差”:2008/10/09(木) 15:48:48 ID:CsVQB+OY0| ――本社の、部長です ξ;゚⊿゚)ξ「……え?」 自分でも情けない、と思うような声を出してしまった。 まさか、目の前にいるこの人が「SSQ」の代名詞と、言われている部長だなんて。 そう思わずには、いられなかった。 ξ;゚⊿゚)ξ「……確かなの?」 思いがけなく、疑問の言葉が漏れてしまった。 この人が部長とは思えなかったから。 出来れば、否定の言葉を聞きたかった。 爪'ー`)「ええ、確かです。先程の招待状にも、書かれていたはずですが」 一呼吸置いて、きびきびとした声で肯定の言葉が帰ってきた。 見た目は目尻などの皺が目立つものの、若々しい。 聞いた話では、四十代と聞いたが実際に見てみると三十代前半に見えるぐらい若い。 確かにあの手紙の最後に、“部長”という文字があった。 でも、あれが本当だったなんて、信じられない。 爪'ー`)「それでは、お覚悟はよろしいですか?」 しばらくの間、思考している時に部長がネクタイを直しながら、声をかけてきた。 そういえば、目的はこの男――部長を倒す事だった。 無言で頷いたのはいいものの、数々ある三国志大戦の台に戸惑いを隠せなかった。 |581 :長編第十一戦“実力の差”:2008/10/09(木) 15:51:40 ID:CsVQB+OY0| 爪'ー`)「これは失礼しました。ツンさん、あなたの台は――ver2.01のこちらの台です。      武将カード、君主カードについてはそちらにありますので、自由にデッキをお組みになさって下さい」 随分と丁寧な言動だ。 部長なのだから当然、と言われたら返す言葉は無いのだが。 私は言われた通りにカードの山から緑のカードを選び、君主カードを一つ選んだ。 指定された台にあった椅子に座り、君主カードを差し込んでスタートボタンを押す。 ―店内対戦― 先程、あのグラサンさんが「俺より強い」と言わしめたほどの部長。 それほどの実力の持ち主に、私如きが敵うものなのか。 ξ゚⊿゚)ξ(……ううん、こんなに弱気なんて私らしくない) そう、やるしかないのだ。 ――勝つしか、ない。 ――対戦相手が見つかりました―― 三国志大戦軍 覇者 徳1 勝率66.7% 『LE諸葛亮 R馬超 UC張飛 UC周倉 C廖化』 三国志大戦軍 一州 498勝 2敗 勝率99.6% 『R田豊 R袁紹 UC劉備 Cトウ頓 R陳琳 SR甄洛』 ξ゚⊿゚)ξ「……本気を出しなさい。私がそれを砕くわ」 爪'ー`)「ほほう、身の程を知らないのかよっぽど腕に自信があるのか……      ふふふ、よろしいでしょう。真の地獄というものを見せて差し上げますよ」 |582 :長編第十一戦“実力の差”:2008/10/09(木) 15:56:11 ID:CsVQB+OY0| 声調がやや強くなったように感じた。 それでも関係無い。 私に残されている選択肢は、この勝負で負けるか、勝つか。 しかし、私は気になっていた。 498勝 2敗 勝率99.6% この、異常な戦績。勝率。 普通ならば、考えられない事だ。 爪'ー`)「この戦績が気になりますか?」 私の考えている事を見通すような、眼で話しかけてきた。 群雄伝のテスト辺りであの戦績なのだろう。 2敗は、店内対戦のコストオーバー辺りだろうか…… 爪'ー`)「残念ながら、ツンさんが考えている「群雄伝、店内対戦のCPU相手」ではありません。      スタッフの皆さんや“あなたと同じ立場の方々”との対戦での戦績ですよ」 ……“あなたと同じ立場の方々”? という事は、この部長は過去にも同じ事を繰り返している? それならもう噂は広まってもおかしくないはず。 しかも、この戦績はCPU等で出来たものではなく対人戦だという。 となると、ほぼ無敗に等しいほどの腕前。 ――いや、今はこの勝負だけを集中しよう。 |583 :長編第十一戦“実力の差”:2008/10/09(木) 16:00:20 ID:CsVQB+OY0| 部長のデッキは6枚栄光隙無き。 ver2.01と部長は言っていた。つまり、隙無きの士気バック制限が無い。 という事は、隙無き→隙無き→栄光隙無き+大攻勢というパターンにはまれば終わりだ。 それなら、栄光が使えない序盤で勝負を付けるしかない。 狙うは、開幕八掛。となれば、兵法はこれだろう。 部長もこちらの狙いは分かっているはず。 何らかの方法で、それを防ぎに来るだろう。 ξ゚⊿゚)ξ(相手の兵法は大攻勢、で考えた方がよさそうね。      この形の五枚八掛相手なら、間違いなく大攻勢で凌いでくる……) 重く、古びた青銅色の扉が開かれていく。 その先にある景色は、櫓すらも無い平地だった。 配置は最前線に諸葛亮。 全体的に知力が低いので、伏兵が踏めるのは廖化と諸葛亮しかいない。 出来れば早く伏兵を解除し、田豊をさっさと踏みたい。 勿論、せっかく付いている伏兵を無駄にする気はさらさら無い。 諸葛亮の後ろに張飛、周倉と配置し、その右隣の前に廖化、後ろに馬超。 一方、部長の配置は城門前に密着しており、開幕から攻める気は無いようだ。 開幕に仕える気軽な計略も無く、それぞれ武力も低い為、開幕が弱いからだろう。 田豊がどこにいるのかが予想しにくいが、やるしかない。 |584 :長編第十一戦“実力の差”:2008/10/09(木) 16:03:40 ID:CsVQB+OY0| ―開戦― 開戦の音が鳴り響くと共に、私は全ての部隊を慎重に前進させる。 士気はまだ溜まっていない。しばらくの間は、様子見だ。 しばらくの間、お互いに部隊を動かしていたが―― <ジャーンジャーンジャーン> 『伏兵』「諸葛亮」 <生兵法とはまさにそなたの為にある言葉よ> ξ;゚⊿゚)ξ(なっ!? 伏兵が見えてるの!?) 突然、袁紹が躊躇いも無く、伏兵に一直線で向かってきた。 張飛と周倉の槍で迎撃しようとしても、ギリギリの所で止まって突撃オーラを消して、踏んできた。 踏まれた諸葛亮を弓を撃たれないべく、一旦下がらせて廖化で威嚇しようとした。 迎撃 槍撃による槍オーラが伸びる事を利用し、刺してきた。迎撃されないと思ったのに。 ―――― (;^ω^)「お!? あれで刺さるのかお!」 (;━〇∀〇)「ギリギリですが……刺さります。しかし、的確な槍撃ですね。        これは流石の僕でも、辛そうです」 (メ▼▼)「…………」 |586 :長編第十一戦“実力の差”:2008/10/09(木) 16:07:07 ID:CsVQB+OY0| (`・ω・´)「グラサン、これは……どう思う?」 (メ▼▼)「そうだな……」 一瞬、グラサンの声が低くなった。 そしてグラサンの重い、口が動いた。         ――ツンは、一体も撃破出来ずに落城する (´・ω・`)「「やはり……ね(か)」」(`・ω・´) 一同「え……?」 ―――― |587 :長編第十一戦“実力の差”:2008/10/09(木) 16:10:31 ID:CsVQB+OY0| 迎撃されても、まだ兵力が5割あったのに……弓と鬼のような槍撃で瞬く間に僅かにまで減ってしまった。 私は廖化を弓の射的範囲から逃し、城へ戻らせようとした時。 『撤退』「廖化」 <ここは退かせてもらう> ξ;゚⊿゚)ξ(くっ、トウ頓の戦器の効果(射的距離UP)で逃げ切れなかった!?        まさか、戦器の効果・与えられるダメージまで把握して……?) 廖化が撤退してしまったが、退く訳にはいかない。 士気は2.5――こっちは魅力が1人、でも相手は3人。 つまり、相手の士気はもう3.5という事だ。 ここで退いてしまったら、万全の体制で隙無きを使われて――終始、相手のペースになってしまうだろう。 撤退しない限り、士気バックによって永遠に続く武力+3。 八掛を使って対応しようとすれば、転進でスルーされるか 大攻勢を使い、武力+6にされて逆に押しつぶされてしまう。 それは考えすぎでは、とふと思った。 でも、相手はグラサンさんより強いと言われているほどの実力の持ち主。 万が一、という事も考えなくてはいけない。 ξ;゚⊿゚)ξ(落ち着いて……こっちの兵法は増援。それぞれの武力は低い。       一体ずつ撃破してから、兵法増援と開幕八掛で畳み掛ける。これでいいはずよ) 私は諸葛亮を前に出し、ラインを上げていく。 諸葛亮を敵軍の前で動かし、伏兵がいない事を確認してから後ろにいた張飛、周倉、馬超を前線に出す。 |589 :長編第十一戦“実力の差”:2008/10/09(木) 16:19:28 ID:CsVQB+OY0| ジャーンジャーンジャーン 『伏兵』「田豊」 <油断大敵じゃな> 伏兵を合図する銅鑼の音と共に、陰陽太極図が現れる。 踏んだ部隊は――いや、踏んでしまった部隊は…… 『撤退』「張飛」 <ぬぅあぁぁーっ!> ξ;゚⊿゚)ξ「あ……ぅ……」 絶対に、踏んではいけない張飛で踏んでしまった。 徐々に頭が真っ白になっていくのが分かる。 無意識に全軍を退かせ、これ以上被害が広がらないようにした。 でも、逃げようとしても相手の弓は嘲笑うように、容赦無く撃ってくる。 『撤退』「諸葛亮」 <智謀ばかりでは勝てぬか> 諸葛亮が撤退してしまった。 これで、八掛が出来なくなってしまった。 敵軍が固まってラインを上げてきた。左側に田豊がいて、無言のプレッシャーをかけてくる。 中央ラインまで到達した辺りで、馬超をビタ止まりさせて周倉で槍撃を繰り出した。 焼け石に水なのは分かっている。 分かっているけれど、少しでも兵力を減らさないといけない。 |590 :長編第十一戦“実力の差”:2008/10/09(木) 16:21:57 ID:CsVQB+OY0| 『全体強化』―ALL POWER UP― ― 攻撃あるのみじゃ ― #asciiart(){『        隙無き攻勢   [知力時間]       味方の武力が上がる   さらに効果終了時に士気が上がる   』 } 田豊がやや後ろに下がり、悪夢の始まりである隙無き攻勢を使ってきた。 すぐ馬超と周倉を退かせるが、袁紹が突撃してきたので周倉で迎撃した。 『撤退』「周倉」 <ぬぅあぁぁーっ!> しかし、相手は迎撃を気にせずに、そのまま乱戦してきた。 ジュバジュバと聞きなれた槍撃の音と共に、周倉が瞬く間に撤退してしまった。 すぐ馬超を城に戻らせ、二度目の隙無きに備える。 田豊が城門に張り付いて、その後ろで袁紹が募兵。槍兵も槍撃を的確に繰り出しながらマウントを取っている。 さらに、弓兵も田豊の後ろでこちらからVと見える位置にいて、弓を撃とうと待ちかえている。 『田豊』 『 三国志大戦軍 』 ― まだ若いな ― #asciiart(){          『攻城』      ―TARGET STRIKE― } |591 :長編第十一戦“実力の差”:2008/10/09(木) 16:25:46 ID:CsVQB+OY0| 浅く攻城していたようで、城壁を攻城するムービーが流れた。 その後、隙無きの効果が切れ部長に士気がバックする。 このverは2.01。士気バックが部隊数の頃だ。 つまり―― ξ;゚⊿゚)ξ「……泥沼にずぶずぶと沈んでいく気分だわ……」 爪'ー`)「おやおや、最初の威勢はどうしましたか? まだまだ地獄というものはこれからですよ……」 ―――― (;,,゚Д゚)「これで士気が6もバック……なるほど、一体も撃破出来ずに落城する、という事は間違いではなさそうだ」 (;^ω^)「お、あんなに強いツンが抵抗も出来ずに落城するなんて信じられないお!」 ブーンは思わず否定の言葉を叫んでしまった。 しかし、ブーンの目にもこの絶望的な状況は分かっている。 だが、何よりも友人であり、目標の一つでもあるツンが“完敗する”という事を認めたくなかったのだろう。 (メ▼▼)「……甘いな」 (;^ω^)「お……」 ただ、一言。 その一言だけで、ブーンは圧倒された。 甘い。その一言の中にある意思を、ブーンはすぐ理解したからだ。 (メ▼▼)「その甘い考え……断てなければ負けるぞ」 (;^ω^)「…………」 |593 :長編第十一戦“実力の差”:2008/10/09(木) 17:17:22 ID:CsVQB+OY0| ブーンは何も言わなかった。いや、言えなかった。 「万が一」・「もし」という事を、ブーンは追ってしまっている。 「万が一」・「もし」などいう、そんな儚い事を追いかけていて勝てる訳が無い。 全ては「現実」の中にある。 『勝つ』という事は現実の中の出来事。 「現実」を追求せずして勝てる訳が無い…… グラサンの言葉から、そんな意志が聞こえてくるよう―― ブーンはただ項垂れながら、これから始まる“公開処刑”とも言うべきものを、ただただ見る事しか出来なかった。 ―――― 『全体強化』―ALL POWER UP― ― 攻撃あるのみじゃ ― #asciiart(){『        隙無き攻勢   [知力時間]       味方の武力が上がる   さらに効果終了時に士気が上がる   』} 全ての部隊に赤いオーラが包まれる。 あの狭い範囲を、完璧に把握しているのか。 |594 :長編第十一戦“実力の差”:2008/10/09(木) 17:19:54 ID:CsVQB+OY0| 部長の部隊はまだ一体も撤退していない。 士気計算をすると、士気8で隙無きして、士気3。 効果時間は8cほどだから、士気3から5になる。 その時に、士気バックするとしたら。 ――およそ士気は11.5。栄光隙無きに繋げられてしまう。 そんな事をされたら、私のプライドが許さない。 でも、この状況をどう覆すのか? ξ ⊿ )ξ(……完敗、かぁ) カードを動かす手が止まった。 どんなに抵抗しても、栄光隙無きにまで繋げられ、落城されるだろう。 それなら、早めに終わらせて欲しい―― 私が絶望しようとした時、何故かブーンの事を思い出していた。 ―――― ξ゚⊿゚)ξ「ブーンの城ゲージは赤で、こっちは無傷。しかも、挑発車輪入りの大徳。      特攻もいない騎馬単求心じゃ、こんな状況じゃ勝てないでしょ? 諦めなさいよ!」 ( ^ω^)「ブーンは諦めないお! まだ落城されてないお!        勝つ可能性はたった1%でも、勝てる時もあるんだお!」 ―――― ブーンはどんなに絶望的な状況でも諦めなかった。 そのしぶとさで、何度か勝ちを拾った事もある。 |595 :長編第十一戦“実力の差”:2008/10/09(木) 17:24:45 ID:CsVQB+OY0| ―――― (メ▼▼)「あいつは、俺より強い。それがどういう意味かは分かるな?」 ( ^ω^)「……それでも、やってやるお。必ず負ける勝負、という事はあり得ないんだお」 ―――― あのグラサンさんでさえも、自分より強いと言わしめたほどの実力者。 それでも、ブーンはひるまなかった。 ここで諦めてしまってはブーンに怒られてしまうだろう。 止まった手を動かし、カードを、部隊を動かす。 右側に張飛、馬超、廖化と出撃させてから左側も諸葛亮を出撃させる。 ξ゚⊿゚)ξ(よし、三人掛け……) 私の手がボタンに伸ばした時。 『撤退』「張飛」 <ぬぅあぁぁーっ!> 寒気がする槍撃の音が聞こえてきたかと思うと、兵力が8割もあった張飛が瞬く間に撤退してしまった。 それなら、八掛一人掛け――!? そうだ、三人掛けをする為に廖化と馬超がほぼ同じ位置にいてしまっている。 これだと二人掛けになってしまう。 迎撃 迎撃 『撤退』「諸葛亮」 <智謀ばかりでは勝てぬか> |596 :長編第十一戦“実力の差”:2008/10/09(木) 17:29:53 ID:CsVQB+OY0| そうこうしている間に、廖化と馬超が迎撃された上に諸葛亮も撤退してしまう。 すぐ諸葛亮の計略を諦め、馬超のカードを擦りボタンを押した。 『強化』―POWER UP― #asciiart(){『         一騎当千   [知力時間]         武力が上がり    敵の計略の対象にならなくなる    』} 馬超に赤いオーラが包まれたかと思うと、再び画面が暗くなった。 何度も見て、何度もこのムービーに落胆したり勝ち誇ったりしたのだろうか。 兵法マスタァァァー! プラス外伝! 袁紹軍の大攻勢-MASTER [正兵] [増援] ―袁紹軍の味方の武力が上がる― 敵軍全てに赤い光の柱が舞い降りる。 『撤退』「廖化」 <ここは退かせてもらう> ξ;゚⊿゚)ξ「うっ……」 馬超で場内乱戦をするものの、兵力は減っていく一方だ。 城に戻し、回復を図る。 城ゲージがさらに削れていき、色が2~3割ほどの橙色になってしまった。 部長の弓部隊がラインを上げてきて、城に張り付いた時に大攻勢、そして隙無きの効果が切れ―― |598 :長編第十一戦“実力の差”:2008/10/09(木) 17:37:38 ID:CsVQB+OY0| #asciiart(){『英傑号令』―HEROIC COMMND― ―     我     が     軍     の     力        に     仰     天     せ     よ     !     ― 『      栄光の大号令   [知力時間]       味方の武力が上がる   士気ゲージの値が多いほど効果大   』 『全体強化』―ALL POWER UP― ―    攻    撃    あ    る       の    み    じ    ゃ     ― 『        隙無き攻勢   [知力時間]       味方の武力が上がる   さらに効果終了時に士気が上がる   』 } 聞こえてくる言葉、そして流れるムービーがやけに遅く感じた。 ついに、使わせてしまった。 袁家の最終兵器、とも言うべきの栄光隙無きを。 『落城』「田豊」 ――    少々早すぎましたかな    ―― |599 :長編第十一戦“実力の差”:2008/10/09(木) 17:42:38 ID:CsVQB+OY0| 増援を使う間も無く、田豊の攻城によって落城してしまった。 残りカウントは59。 今まで“完敗”という事を何回も経験した。 でも、万全の体制で隙無きを使われ、そのままマウントを取られ。 そして、再び2度目の隙無きを使われ、大攻勢も使われ。 そして、相手のデッキにとって、最速であろう栄光隙無きを使われ、落城した。 さらに……部長の武将を、一回も撤退させる事さえも出来なかった。 今まで“完敗”だと思っていた敗北もただの負けになってしまった。 これが、本当の“完敗”。 ξ゚⊿゚)ξ「……はぁ」 爪'ー`)「少々、大人気が無かったでしょうか」 やや心配そうな声が聞こえてきた。 ξ゚⊿゚)ξ「いえ、いい経験になったわ……ちょっと、質問いいかしら?」 爪'ー`)「答えられる範囲なら」 ξ゚⊿゚)ξ「最初に言ったあの言葉。“あなたと同じ立場の方々”は、どういう事かしら?」 私の最大の疑問。 それは、最初に言ってきた“あなたと同じ立場の方々”との対戦。 つまり、この“ゲーム”は過去にも行われているという事。 爪'ー`)「言葉どおりですよ。過去にも、この“ゲーム”が行われました」 ξ゚⊿゚)ξ「……目的は?」 |600 :長編第十一戦“実力の差”:2008/10/09(木) 17:45:52 ID:CsVQB+OY0| 爪'ー`)「そうですね……ツンさん、先程の対戦はどうでしたか?」 思い出すだけでも、辛い。 隙無きから、二度目の隙無き。そして大攻勢、栄光の大号令…… 完膚なきまでに、叩き潰された。 ξ゚⊿゚)ξ「……今まで、してきた事は全てぬるま湯だった、と実感したわ。      あんなぬるま湯で、満足してしまった私が恥ずかしくなってくるわね」 爪'ー`)「よい体験になったようで、よかった。     私の目的はそれを気付かせる為の起爆剤――と言ってもよいでしょう」 ξ゚⊿゚)ξ「でも、それならもっと他にも候補はいたじゃないの?      何でまた、バーボンハウスにいた人ばかり……?」 爪'ー`)「確かに他にも候補はいました。ですが、偶然「バーボンハウス」で見たあの大会。     そう、覇業への道~若獅子の鼓動~です。あれを見て、あなた達に決めたという訳ですよ」 グラサンさんの優勝で終わった、あの大会。 爪'ー`)「正直言って、驚きましたよ。     素晴らしい素質を秘めたプレイヤーが多くいたのですから。     そして、その素質を十分に出せないプレイヤーも多かったのです」 ξ゚⊿゚)ξ「まあ、確かにあの大会では激戦が繰り広げられていたものね……」 爪'ー`)「そうですね。恥ずかしながら、私も少々熱くなってしまいましたよ」 いい歳して、と付け加えて部長は笑った。 話を聞くと、悪意は持っていないようだ。 でも、最初のまさに「悪」というような思わせぶりはなんだっただろうか? |601 :長編第十一戦“実力の差”:2008/10/09(木) 17:50:04 ID:CsVQB+OY0| 爪'ー`)「普通に対戦してはい終わり、というのではいけません。     緊迫感を持ってプレイする。そうすると、自然と実力が発揮するものです。     ……遅れましたが、先程の催眠術の件。申し訳ありませんでした」 考えを見抜かれたように、疑問に持っていた事を答えてきた。 ξ゚⊿゚)ξ「でも、それだと私以外にとっては、あなたが「悪」になっちゃうんじゃないかしら?」 爪'ー`)「ふふふ、私は一向に構いませんよ。     私がしてきた事はただのお節介なのですよ。     後であなた達が私の事を何と思われようが、私の目的が達成出来ればそれで構いません」 ξ゚⊿゚)ξ「……お節介、ね。まあ、いい経験になったしそういう事にしておくわ。      それと、後一つ質問いいかしら? 時間はとらせないわ」 爪'ー`)「どうぞ。皆様も待ちかねているでしょうし、手短にお願いします」 ξ゚⊿゚)ξ「さっきの戦績――498勝2敗。あの2敗は、誰につけられたものなの?」 異常な腕を持つ部長が、2敗したなんて信じられない。 そう、私は思っていた。 でも、次に聞こえてきたのは以外な人物だった―― 爪'ー`)「皆さんもご承知の有名な人物ですよ。     一人は三国志大戦1で証2000超えの8さん」 ξ;゚⊿゚)ξ「……え? じゃあ……」 爪'ー`)「ええ、過去に行われた“ゲーム”の参加者ですよ。     まあ、あの恐ろしい腕はこの“ゲーム”のおかげかどうかは分かりませんがね。     あの時の勝負は、お互いに騎馬の城壁攻城1発のみという接戦でしたね……」 |603 :長編第十一戦“実力の差”:2008/10/09(木) 17:53:35 ID:CsVQB+OY0| 一瞬、昔を懐かしむような表情になった。 恐らく、かなりの激戦だったのだろう。 爪'ー`)「もう一人は今、行われているこの“ゲーム”の参加者ですよ」 ξ;゚⊿゚)ξ「……ほぇ?」 思わず、情けない声を出してしまった。 つまり、この“ゲーム”の二度目の参加者という事だ。 部長を倒すほどの実力者。 荒巻さん、天頂さん、シャキンさん、それから――グラサンさん。 この四人なら、可能性はある。 そして、この四人の中で一番強いのは…… ξ;;゚⊿゚)ξ「……まさか?」 爪'ー`)「三国志大戦1ではver1.10が終わる直前に引退。     証は当時ではランカーの中でも8さん以外では異例だった483。     当時のランカー達は、最も脅威だった人物はなんだったのか?     こう口揃えて言ったそうですよ……地獄大都督、そしてネタの猛虎と」 ネタの猛虎。 頂上対決に出る度に、明らかにネタデッキなのにランカー相手に圧勝していた。 私が初心者だった頃、そんなポリシーを持つ人に憧れていた。 爪'ー`)「あの時の私は、彼のデッキをネタデッキと勝ち誇っていた。     その隙を付け込まれ、完敗――そう、ツンさんが味わった完敗です。     ……最も、今のツンさんには聞こえていないでしょうがね」 私は最後の言葉が聞こえなかった。 突然、強い眠気に襲われたからだ。 |604 :長編第十一戦“実力の差”:2008/10/09(木) 17:56:16 ID:CsVQB+OY0| 爪'ー`)「ふう……ツンさんにこの事を話されると困ります。     私が「悪」ではなくなりますからね……     催眠術、重ね重ね申し訳ありません、ツンさん」 もうろうとする意識の中、最後に見えた部長の背中。 それは、どこか寂しげだった――

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