803 :ある人の日常:2008/05/08(木) 17:42:30 ID:1RzGbg9X0
ある休日、サングラスを掛けた男はある友人との約束で、その家に行く為に出かけた。
どうみても“その道”を歩んでそうな風貌で、最初は周りから敬遠されていた。
しかし、時が経つにつれて周りはその男の事を徐々と理解していった。

男性「おう、いつもの事だがいい体してんな! 昨日は農家の手伝いありがとうよ!」

「良い運動になった。俺のわがままを聞いてくれて礼を言う……その野菜は?」

女性「これはお礼よ。世話になってるからね」

「それは有り難い。友人と会いに行く約束をしているんだが、この野菜を使って昼食を共にする事にしよう」

このような会話も、もはや普通の光景になっていた。


少女「わーい、三段アイスだ……わっ!」

この男がいつも利用している、人通りが多い駅に辿り着いた。
しかし、三段アイスを手に走り回っていた少女が男のズボンにぶつかり、アイスをべっとりと付けてしまった。
少女を追って少女の後ろから来た父親が男の風貌を見て、顔が青ざめた。

少女「あ……アイスが……」

父親「あ、あわわ……う、うちの娘がとんだ失礼を……!」

「…………」

男はアイスが消えてしまったショックで、今にも泣きそうな少女の頭を手を乗せた。

804 :ある人の日常:2008/05/08(木) 17:44:33 ID:1RzGbg9X0
そして、アイスではなくなったモノを持つ手の逆の手を開かせ、サイフから千円を取り出し渡した。

少女「……ふぇ?」

「悪いな、俺のズボンがアイスを食っちまった。この金で五段アイスを買うといい」

少女「……ありがとう、怖い兄ちゃん!」

父親「か、重ねすみません! え、えっと、クリーニング代を……」

思いがけない事が起こったのかように、父親はさらに動揺した。
いつの間にか集まっていた野次馬も意外だ、という顔をしている。

「いや……近くに知り合いのクリーニング店があるんでな。そろそろズボンをクリーニングし終わってる頃だろう」

父親「は、はぁ……」

男はそう言い残すと、さっさと駅から出てしまった。
――余談であるが、その光景を見ていたアイス屋が漢を感じ、サービスとして5段ではなく10段アイスにしたそうだ。


駅から出てすぐ見えるクリーニング店に男は入り込み、声をかけた。

「……いるか?」

店長「おや、あんたかい。どうした……っと、ズボンに大きな染みがあるじゃないか!」

男は言いにくそうな表情をし

「少女のアイスがな……勿論弁償はした」

と呟いた。

805 :ある人の日常:2008/05/08(木) 17:46:05 ID:1RzGbg9X0
店長は笑いつつ、ビニールに包まれたズボンをビニールから取り出し、グラサンに渡した。

店長「ほい、頼まれていたズボンを渡すよ。そのズボンは……クリーニングするかい?」

「ああ、頼む……いくらだ?」

店長「うーん……一日一善、という事で今日はサービスだよ! 今までのよしみもあるしね」

男はフッと笑うと、取り出そうとした財布を再びポケットに収めた。

「……すまんな」

店長「いいって事だよ。着替えはあそこでよろしく」

着替えが終って男は再び礼を言い、駅に向かって電車に乗った。


ガタン、ゴトン
ガタン、ゴトン


電車に揺れながら、ゆっくりとした景色を眺めている内に眠気が襲ってきた。

――次は○○――

しかし、目的の駅のアナウンスが聞こえ、男は席から立ちドアからホームへ出ていった。

改札口を抜けた所で大柄な男と、その男に釣り合わなさそうな赤い髪をした女性が男に向けて手を振っていた。

806 :ある人の日常:2008/05/08(木) 17:47:23 ID:1RzGbg9X0
( ΦωΦ)「おお、グラサンよ、来たか!」

ノパ⊿゚)「おいすー! 手に持ってるのは……大根と白菜?」

(メ▼▼)「ヒートとロマネスク、久しぶりだな。これは行く途中で貰った。これを使って料理は出来ないか?」

ヒートと呼ばれた赤い髪をした女性は勿論だ、と微笑みながら言った。
グラサンは意外そうな顔をし、今度は疑いの表情に変わった。

ノハ#゚⊿゚)「信用してない顔だな! そりゃ、昔は出来なかったけどさ!」

( ΦωΦ)「うむ、昔が嘘のように今はかなり美味い飯を作ってくれている。
       ここで話すのも何だから、早速我が家に向かおうではないか?」

それもそうだな、と意見が一致した所で早速ロマネスクとヒートの家に向かった。


この後、ヒートが作った料理の美味さに驚きつつ、家にいたジュニアと共に夜まで語り合ったという――