1%のインスピレーション

ヨハン早稲田キリスト教会 文書宣教部

1%のインスピレーション


弁護士 佐々木 満男


■本稿は“恵みの雨”連載記事「あらゆる問題は解決できる」の1999年5月号の原稿です。



1.インスピレーション


問題を解決するために、主からインスピレーション(ひらめき・アイデア・導き)をいただくことは、非常に大切です。

世界的発明王トーマス・エジソンの成功の秘訣は、「1%のインスピレーションと99%のパースピレーション」であると言われて来ました。すなわち「1%のひらめきと99%の努力」が成功の秘訣であると言うのです。エジソンは自分のベッドで眠ったことがほとんどなく、仕事場で断続的に短い仮眠をとることによって、途切れもせず、飽きもせずに、ひとつのテーマに肉体的・精神的エネルギーを集中しつづけた「努力の人」として賞賛されて来ました。

ところがこれは真実ではありません。エジソンは本当は、「1%のインスピレーションがなければ99%のパースピレーションは無駄である」と語ったのです(サクセス・マガジン、1982年2月号)。エジソンは、「ひらめきの人」としてインスピレーションの重要性を語ったのであり、「努力の人」として尊敬されることに憤慨しています。

主ははじめから、私たちのために問題の解決の道を備えておられます(Ⅰコリント10章13節)。私たちが、これを無視して、自分勝手にがむしゃらに努力して解決しようとしても、その努力は全く無駄であり、疲れ果てて、むなしく終わってしまうことが多くあります。

主の御前に静まって、聖書を深く読んで、よく祈って、主ご自身から解決すべき方法、なすべきことを示していただいて、それに向かって努力を惜しまないならば、主によって問題は必ず解決されるでしょう。主から問題の解決のインスピレーションをいただいているときは、同時に主から絶え間なく新しい力をいただいて、いくら働きつづけても疲れることがありません(イザヤ40章31節)。人の目には「努力の人」に見えますが、本人は寝食を忘れてしまうほど楽しく働いているのです。

エジソンは「電灯のフィラメントは必ず発明できる」というインスピレーションが与えられて、確信をもってこれに取り組みました。成功するまでに一万回の実験を繰り返したと言われています。このように持続する力は、肉的な努力やがんばりからは決して出てくるものではありません。



2.ある契約違反事件


ある契約違反の事件で訴えられた被告側を弁護することになりました。原告側は絶対に勝訴できると信じていたようで、複数の法律事務所に依頼して大型弁護団を組み、莫大な金額の損害賠償と巨額の弁護士費用を合わせて請求して来たのです。

被告側も数人の弁護士で対応しましたが、法律的にも従来の判例・学説からしても非常に不利な事件で、早期に和解して決着することを予定していました。ところが感情的な問題もあってか、当初から原告側は和解はしない雰囲気でしたので、少しでも有利な判決が得られるようにと、解決策を主に祈り求めました。

しばらくして、祈っているうちに、法令・判例・学説上は非常に不利であっても、被告側にどうしてもそうせざるを得なかった事情(正当な理由)があることに気が付きました。そして、もしかしたらこの正当な理由を証拠づけることによって、勝訴できるかも知れないと思いました。裁判の進行とともにさらに祈りつづけているうちに、「きっと勝てる」という確信が与えられました。そうすると正当な理由を裏付ける証拠が、面白いようにどんどん集ってきたのです。

原告側は裁判期日の都度毎回、法廷に弁護団全員を出廷させ、大勢の原告側関係者を傍聴させました。それは原告側が、この訴訟にいかに真剣に取り組んでいるかというしるしであり、また裁判官に心理的圧力をかけるという意味でもあったでしょう。それに対して、被告側は勝訴の確信がありましたので、弁護士費用を節約するためもあって、後半からは弁護士1,2名の出廷に限定しました。

第一審判決が出るまでに五年以上もかかる大事件でしたが、被告側が主張した正当な理由が裁判官に全面的に受け入れられて、被告の勝訴の判決を得ることができました。通常はこの種の裁判では敗訴側は高等裁判所に控訴しますが、それもなかったほどの完全勝訴でした。



3.ひらめきと努力のウェイト


結果的には、この裁判に注ぎ込んだ原告側の人的労力と時間と費用は、すべて無駄になってしまいました。事件の表面的な事実関係を法令・判例・学説に照らし合わせて「絶対に勝てる」と信じ込んでしまったところに、大きな間違いがあったと思います。そうすると、いくら努力しても、その努力は無駄になってしまうのです。

逆に、表面的には不利な事実関係や法律判断にもかかわらず、すべてをご存知であられる主から解決のインスピレーションをいただいたならば、それに注ぎ込むすべての努力は報われるのです。そうすると惜しみなく全力を投入することができます。このようなことは、裁判事件にもよくあることです。

エジソンは、「1%のインスピレーション(ひらめき)」という言葉で「見えない世界」のことを語り、「99%のパースピレーション(努力)」という言葉で「見える世界」のことを語ったのだと思います。そうすると問題解決のウェイト(重さ)としては、「99%がインスピレーション」で「1%がパースピレーション」であると言うこともできるのです。努力してがんばることよりも、主の恵みと祝福に信頼することの方が、はるかに大切なことではないかと思います。
あなたはキリスト・イエスにある恵みによって、強くなりなさい(Ⅱテモテ2章1節)。

主の祝福そのものが人を富ませ、人の苦労は何もそれに加えない(箴言10章22節)。



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最終更新:2012年05月24日 18:22
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