宇宙と私


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宇宙法と私


アンダーソン・毛利法律事務所

弁護士 佐々木 満男


■本稿は週刊法律新聞の新年企画「新法分野のパイオニアたち」―1999.1.2号―の原稿です。



私は高校生の時に地学(天文地球物理)を学んだことから宇宙天文に関心を持つようになりました。弁護士になってから外国留学中に、セスナ機に乗せてもらえるというので興味本位に航空法(Air Law)をかじったりしたことがあります。

同じ時期に大学で聖書を学ぶ機会が与えられ、やがて天地万物を創造し、これを完璧に維持・運行している全知・全能の神の存在を信じるに至りました。そして次第に、遺伝子に象徴される極小の世界から大宇宙の無限の拡がりを持つ極大の世界までを貫く、神の完全な秩序・法則があることに気がついてきました。

そのような漠然とした思いを持って帰国したところ、ある国における人工衛星の追跡基地にかかわる紛争事件を手がけることになりました。これをきっかけに、宇宙開発に係わる諸官庁、諸団体、諸法人から、次々に宇宙開発に関する法律相談の依頼を受けるようになったのです。

具体的案件としては、人工衛星の打ち上げ・追跡・利用、スペース・シャトルの打ち上げ・利用、宇宙飛行士の養成・訓練、スペース・ステーション(宇宙基地)の構想プロジェクト、通信衛星の運用等に関する日本及び外国の法律の調査、法案や意見書の作成、契約書の作成、条約や契約の交渉・助言等を、同じ事務所の数人の弁護士と協働して行っています。

現在のところ世界で最も宇宙開発が進んでいるアメリカのNASAの法制度や宇宙法学者の文献を参考にしつつ、各国の専門的弁護士と協力し合いながら具体的案件の処理に当たっています。

世界各国の宇宙開発の進展に伴い、宇宙法(Space Law)を整備していく必要が急速に増大していますが、未だに初歩的な段階にあり、包括的な宇宙法の提言はなされておりません。その都度必要に応じて最少限度の条約の制定と国内法の立法及び修正がなされるに止まっています。

例えば、何万個という使い古された人工衛星が大気圏外の一定の軌道に浮遊して宇宙塵を形成しています。この数は増えつづけ、新しく打ち上げられる人工衛星の運行の妨害になるだけでなく、やがて次々に大気圏内に落下してきます。このような問題について未だに国際間で法的に解決するメドが立っていません。

また、宇宙開発に関する複雑な法的紛争を避けるために、当事者同志が多額の保険をかけてお互いに損害賠償請求権を放棄して訴訟を提起しない約束(Cross Waiver)をするのが通例になって来ています。しかし将来はこのシステムでは解決されない問題も発生してくることが予想されます。宇宙法の紛争処理に関する権威と専門的能力のある国際的仲裁機関や国際的司法裁判所の創設が必要であると思われます。

21世紀に向けて、当然のことながら、宇宙法の分野においても統一的法制度の整備が必要とされます。もし各国が軍事目的のために宇宙を無秩序に利用していくならば、人類滅亡の危険が増大します。人類の共存・共栄のために、各国の利害打算を越えた宇宙の平和的管理と利用を促進する合理的なルールの検討と制定に関して、法律実務家として微力ながら貢献できればと思っています。
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