hanrei @Wiki H17.10.25 甲府地方裁判所 平成16年(ワ)第301号,平成17年(ワ)第205号,第273号 自衛隊イラク派遣違憲確認等請求事件 当裁判所の判断(要旨)



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          当裁判所の判断(要旨)

1 平和的生存権,平和追求権及び戦争や武力行使をしない日本に生きる権利について
(1) 原告らは,本件派遣によって,憲法前文を根拠とする平和的生存権,憲法前文及び13条を根拠とする平和追求権並びに憲法前文の平和的生存権を制度的に具体化した憲法9条を根拠とする戦争や武力行使をしない日本に生きる権利という憲法上保障された人権が侵害されたと主張する。
(2) 確かに,平和主義が憲法上極めて重要な理念であることはいうまでもない。そして,全世界の国民が平和のうちに生存することは,その基本的人権の保障の基礎的な条件であって,憲法が全世界の国民について平和のうちに生存する権利を確認し,それが実現されることを希求していることも解釈上疑義がない。
 しかしながら,憲法が上記のような理念を採用していることと,憲法前文に規定されている「平和のうちに生存する権利」がその侵害に対して裁判上の救済を求めることが憲法によって保障されている具体的権利ないし利益であることとは,解釈上別個の問題である。
 「平和」という概念は,万人によってその実現を希求されるべき究極の理想ではあるものの,あくまでも理念ないし目的としての抽象的概念であって,各人の思想,信条,世界観及び価値観などによって,多義的な解釈を余儀なくされるものである。また,「平和」とは,ひとり個人の内心において達成できるものではなく,常に他者との関係を含めて達成し得るものであり,「平和」を具体的に実現する手段や方法も,様々な考え方が成り立ち得る多様なものである。そして,憲法前文や9条など現行憲法の規定からも,「平和」の概念や「平和」を達成するための手段や方法のうち,いずれが正当であるか,また,いずれが優れているかを直ちに導き出すことはできない。したがって,現行憲法の解釈によって「平和のうちに生存する権利」の個別具体的
な内容を一義的に確定することは困難であり,結局,権利の個別具体的な内容を確定し得ない以上,憲法前文によって「平和のうちに生存する権利」という具体的権利ないし利益が保障されていると解することはできない。
(3) そして,上記(2)で述べた「平和」概念の多義性やその達成手段の多様性によると,平和追求権についても,同じく憲法上保障された具体的な権利ないし利益とはいえないと解さざる得ない。
(4) また,上記(2)に述べたところに加えて,憲法9条が国家の統治機構ないし統治活動について定めたものであって,国民の権利を直接保障したものとはいえないことにかんがみると,戦争や武力行使をしない日本に生きる権利についても,憲法上保障された具体的権利ないし利益であるということは到底できない。
2 原告らの主張する人格権又は人格的利益について
(1) 原告らは,本件派遣によって,戦争や人殺しに加担したくないという信念を踏みにじられ,イラクで子供を含む多数の市民が死亡していることや日本人が拉致,殺害されたことに深い悲しみを覚え,無差別テロ行為の被害に遭いたくないという恐怖感を抱くなど,本件派遣による不快感,不安感及び焦燥感などの精神的苦痛は深刻であると主張する。
(2) しかしながら,本件派遣によって,原告らの人格権又は保護に値する人格的な利益が侵害されたとはおよそ認められず,そもそも,本件派遣によって原告らの人格権又は保護に値する人格的な利益が侵害されるという事態は想定し得ないというべきである。その理由は,次のとおりである。
  ア まず,本件派遣は,原告らに対して何らかの直接的な義務を課したり効果を及ぼしたりする性質のものではない。したがって,本件派遣によって,直接,原告らの生命,身体に対する侵害への恐怖と不安が発生するとはいえない。この点,原告らは,本件派遣によって,日本人又は日本で生活する者に対して無差別テロ行為の危険性が高まったと主張する。しかしながら,テロ行為の動機,原因が多様であることは公知の事実であり,本件派遣によって原告らの主張するような無差別テロ行為の具体的,現実的危険性が高まったか否かはそもそも確定できる性質のものではないから,原告らの主張は採用することができない。
  イ また,確かに,原告らの多くが本件派遣に対して激しい嫌悪感等を抱いていることは容易に推測でき,これを精神的苦痛と表現することができないわけではない。しかしながら,それは間接民主制の下において決定,実施された国家の措置,施策が自らの信条,信念,憲法解釈等に反することによる個人としての義憤の情,不快感,焦燥感,挫折感等の感情の領域の問題というべきであり,そのような精神的苦痛は,多数決原理を基礎とする決定に不可避的に伴うものである。そして,①本件派遣が原告らに何らかの直接的な義務を課したり効果を及ぼしたりする性質のものではないこと,また,②本件派遣が多数決原理によっても侵すことのできない原告らの人権を侵害するものではないことにかんがみると,本件派遣によって原告らに生じた精神的
な苦痛は,間接民主制の下における政策批判や原告らの見解の正当性を広めるための活動等によって回復されるべきか,又は,間接民主制の下において不可避的に発生するものとして受忍されるべきである。したがって,本件派遣によって原告らの感じた精神的な苦痛が原告ら個々にとって主観的にはいかに深刻であろうとも,こうした個人の内心的感情が法的保護に値するものであるということはできず,本件派遣によって原告らの人格権が侵害されたとか,原告らの精神的な苦痛が社会通念上受忍すべき限度を超えたものであるということはできない。
3 本件派遣差止めの訴え及び本件違憲確認の訴えについて
(1) 上記1,2で判示したとおり,原告Aほか9名が本件派遣差止請求及び本件違憲確認請求の根拠として主張する平和的生存権,平和追求権及び戦争や武力行使をしない日本に生きる権利は,憲法上保障された具体的権利ないし利益とはいえず,また,同原告らの主張する人格権又は人格的利益も,本件においては法的保護に値するものではない。したがって,本件派遣差止めの訴え及び本件違憲確認の訴えは,同原告らの固有の法律上の利益に基づき提起されたものと認めることはできず,その実質は,単に国民ないし市民一般の地位に基づき,本件派遣の差止め及びその違憲の確認を求めるものであるというべきである。すなわち,いずれの訴えも,「(国の)機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟」で,「自己の法律上の利益にかかわらない
資格で提起するもの」であり,行政事件訴訟法に規定された民衆訴訟(行政事件訴訟法5条)に該当し,民事訴訟としては不適法である。そして,民衆訴訟は,「法律に定める場合において,法律に定める者に限り,提起することができる」(同法42条)が,本件派遣差止めの訴え及び本件違憲確認の訴えに類する訴訟は現行法上認められていないから,結局,いずれの訴えも法律に定めのない民衆訴訟であり,行政訴訟としても不適法というほかない。
(2)ア 仮に,原告Aほか9名が主張するように,本件派遣差止めの訴え及び本件違憲確認の訴えを同原告らの個人的な権利利益を目的とする主観訴訟と解するとしても,以下のとおり不適法というべきである。
  イ 本件派遣は,政府が閣議決定した基本計画とこれに基づく防衛庁長官の実施命令を根拠とするものであるが,閣議決定及び実施命令は,国民の具体的な権利義務を形成し,又は確定する効力をもつものではない。したがって,いずれも行政処分には当たらず,本件派遣差止めの訴えは,行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟,すなわち抗告訴訟(行政事件訴訟法3条1項)には当たらない。
 とはいえ,本件派遣差止めの訴えは,行政権の行使に直接介入することを目的とするものであるから,抗告訴訟と同様の規律に服すべきである。このような観点からみると,本件派遣差止めの訴えは,抗告訴訟でいえば,義務付けの訴え(同法37条の2)又は差止めの訴え(同法37条の4)のいずれかに相当すると解される。そして,義務付けの訴え,差止めの訴えのいずれにおいても,訴えを提起しようとする者に「重大な損害を生ずるおそれ」のあることが訴訟要件となっているところ(同法37条の2第1項,37条の4第1項),本件において原告Aほか9名が主張する権利ないし利益は,上記1,2で詳論したとおり,具体的権利ないし法的保護に値する利益とはいえないから,同原告らについて「重大な損害を生ずるおそれ」を観念すること
ができない。そうすると,本件派遣差止めの訴えは,抗告訴訟としての義務付けの訴えや差止めの訴えの場合と同様,その余の点について判断するまでもなく訴訟要件を欠き,不適法といわざるを得ない。
  ウ また,本件違憲確認の訴えは,確認の訴えであるから,まずもって原告Aほか9名の有する権利又は法律関係に現に存する不安ないし危険を除去すべき現実的必要性があって初めて訴えの利益が肯定される。しかし,これも上記1,2で詳論したとおり,同原告らの主張する権利ないし利益は,具体的権利ないし法的保護に値する利益とはいえないから,それらに対する不安ないし危険は存在せず,訴えの利益を認めることができない。したがって,その余の点について判断するまでもなく,本件違憲確認の訴えは不適法である。
(3) 以上のとおり,本件派遣差止めの訴え及び本件違憲確認の訴えは,いずれの見地から検討しても不適法であるから却下すべきである。
4 本件損害賠償請求について
(1) 原告らは,本件派遣によって,平和的生存権,平和追求権及び戦争や武力行使をしない日本に生きる権利並びに人格権又は人格的利益を侵害され多大な精神的苦痛を被ったと主張する。
(2) しかし,まず,上記1で判示したとおり,原告らの主張する平和的生存権,平和追求権及び戦争や武力行使をしない日本に生きる権利は,具体的権利ないし利益とはいえないから,本件派遣によって,これらの権利が侵害されることはあり得ない。次に,上記2で判示したとおり,本件派遣によって,原告らの人格権又は国家賠償法上保護に値する人格的利益が侵害されたとはおよそ認められず,そもそも,本件派遣によって原告らの人格権又は国家賠償法上保護に値する人格的な利益が侵害されるという事態は想定し得ない。
(3) そうすると,その余の点につき検討するまでもなく,原告らの本件損害賠償請求は,いずれも理由がないから,これを棄却すべきである。

1 平和的生存権,平和追求権及び戦争や武力行使をしない日本に生きる権利について
(1) 原告らは,本件派遣によって,憲法前文を根拠とする平和的生存権,憲法前文及び13条を根拠とする平和追求権並びに憲法前文の平和的生存権を制度的に具体化した憲法9条を根拠とする戦争や武力行使をしない日本に生きる権利という憲法上保障された人権が侵害されたと主張する。
(2) 確かに,平和主義が憲法上極めて重要な理念であることはいうまでもない。そして,全世界の国民が平和のうちに生存することは,その基本的人権の保障の基礎的な条件であって,憲法が全世界の国民について平和のうちに生存する権利を確認し,それが実現されることを希求していることも解釈上疑義がない。
 しかしながら,憲法が上記のような理念を採用していることと,憲法前文に規定されている「平和のうちに生存する権利」がその侵害に対して裁判上の救済を求めることが憲法によって保障されている具体的権利ないし利益であることとは,解釈上別個の問題である。
 「平和」という概念は,万人によってその実現を希求されるべき究極の理想ではあるものの,あくまでも理念ないし目的としての抽象的概念であって,各人の思想,信条,世界観及び価値観などによって,多義的な解釈を余儀なくされるものである。また,「平和」とは,ひとり個人の内心において達成できるものではなく,常に他者との関係を含めて達成し得るものであり,「平和」を具体的に実現する手段や方法も,様々な考え方が成り立ち得る多様なものである。そして,憲法前文や9条など現行憲法の規定からも,「平和」の概念や「平和」を達成するための手段や方法のうち,いずれが正当であるか,また,いずれが優れているかを直ちに導き出すことはできない。したがって,現行憲法の解釈によって「平和のうちに生存する権利」の個別具体的
な内容を一義的に確定することは困難であり,結局,権利の個別具体的な内容を確定し得ない以上,憲法前文によって「平和のうちに生存する権利」という具体的権利ないし利益が保障されていると解することはできない。
(3) そして,上記(2)で述べた「平和」概念の多義性やその達成手段の多様性によると,平和追求権についても,同じく憲法上保障された具体的な権利ないし利益とはいえないと解さざる得ない。
(4) また,上記(2)に述べたところに加えて,憲法9条が国家の統治機構ないし統治活動について定めたものであって,国民の権利を直接保障したものとはいえないことにかんがみると,戦争や武力行使をしない日本に生きる権利についても,憲法上保障された具体的権利ないし利益であるということは到底できない。
2 原告らの主張する人格権又は人格的利益について
(1) 原告らは,本件派遣によって,戦争や人殺しに加担したくないという信念を踏みにじられ,イラクで子供を含む多数の市民が死亡していることや日本人が拉致,殺害されたことに深い悲しみを覚え,無差別テロ行為の被害に遭いたくないという恐怖感を抱くなど,本件派遣による不快感,不安感及び焦燥感などの精神的苦痛は深刻であると主張する。
(2) しかしながら,本件派遣によって,原告らの人格権又は保護に値する人格的な利益が侵害されたとはおよそ認められず,そもそも,本件派遣によって原告らの人格権又は保護に値する人格的な利益が侵害されるという事態は想定し得ないというべきである。その理由は,次のとおりである。
  ア まず,本件派遣は,原告らに対して何らかの直接的な義務を課したり効果を及ぼしたりする性質のものではない。したがって,本件派遣によって,直接,原告らの生命,身体に対する侵害への恐怖と不安が発生するとはいえない。この点,原告らは,本件派遣によって,日本人又は日本で生活する者に対して無差別テロ行為の危険性が高まったと主張する。しかしながら,テロ行為の動機,原因が多様であることは公知の事実であり,本件派遣によって原告らの主張するような無差別テロ行為の具体的,現実的危険性が高まったか否かはそもそも確定できる性質のものではないから,原告らの主張は採用することができない。
  イ また,確かに,原告らの多くが本件派遣に対して激しい嫌悪感等を抱いていることは容易に推測でき,これを精神的苦痛と表現することができないわけではない。しかしながら,それは間接民主制の下において決定,実施された国家の措置,施策が自らの信条,信念,憲法解釈等に反することによる個人としての義憤の情,不快感,焦燥感,挫折感等の感情の領域の問題というべきであり,そのような精神的苦痛は,多数決原理を基礎とする決定に不可避的に伴うものである。そして,①本件派遣が原告らに何らかの直接的な義務を課したり効果を及ぼしたりする性質のものではないこと,また,②本件派遣が多数決原理によっても侵すことのできない原告らの人権を侵害するものではないことにかんがみると,本件派遣によって原告らに生じた精神的
な苦痛は,間接民主制の下における政策批判や原告らの見解の正当性を広めるための活動等によって回復されるべきか,又は,間接民主制の下において不可避的に発生するものとして受忍されるべきである。したがって,本件派遣によって原告らの感じた精神的な苦痛が原告ら個々にとって主観的にはいかに深刻であろうとも,こうした個人の内心的感情が法的保護に値するものであるということはできず,本件派遣によって原告らの人格権が侵害されたとか,原告らの精神的な苦痛が社会通念上受忍すべき限度を超えたものであるということはできない。
3 本件派遣差止めの訴え及び本件違憲確認の訴えについて
(1) 上記1,2で判示したとおり,原告Aほか9名が本件派遣差止請求及び本件違憲確認請求の根拠として主張する平和的生存権,平和追求権及び戦争や武力行使をしない日本に生きる権利は,憲法上保障された具体的権利ないし利益とはいえず,また,同原告らの主張する人格権又は人格的利益も,本件においては法的保護に値するものではない。したがって,本件派遣差止めの訴え及び本件違憲確認の訴えは,同原告らの固有の法律上の利益に基づき提起されたものと認めることはできず,その実質は,単に国民ないし市民一般の地位に基づき,本件派遣の差止め及びその違憲の確認を求めるものであるというべきである。すなわち,いずれの訴えも,「(国の)機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟」で,「自己の法律上の利益にかかわらない
資格で提起するもの」であり,行政事件訴訟法に規定された民衆訴訟(行政事件訴訟法5条)に該当し,民事訴訟としては不適法である。そして,民衆訴訟は,「法律に定める場合において,法律に定める者に限り,提起することができる」(同法42条)が,本件派遣差止めの訴え及び本件違憲確認の訴えに類する訴訟は現行法上認められていないから,結局,いずれの訴えも法律に定めのない民衆訴訟であり,行政訴訟としても不適法というほかない。
(2)ア 仮に,原告Aほか9名が主張するように,本件派遣差止めの訴え及び本件違憲確認の訴えを同原告らの個人的な権利利益を目的とする主観訴訟と解するとしても,以下のとおり不適法というべきである。
  イ 本件派遣は,政府が閣議決定した基本計画とこれに基づく防衛庁長官の実施命令を根拠とするものであるが,閣議決定及び実施命令は,国民の具体的な権利義務を形成し,又は確定する効力をもつものではない。したがって,いずれも行政処分には当たらず,本件派遣差止めの訴えは,行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟,すなわち抗告訴訟(行政事件訴訟法3条1項)には当たらない。
 とはいえ,本件派遣差止めの訴えは,行政権の行使に直接介入することを目的とするものであるから,抗告訴訟と同様の規律に服すべきである。このような観点からみると,本件派遣差止めの訴えは,抗告訴訟でいえば,義務付けの訴え(同法37条の2)又は差止めの訴え(同法37条の4)のいずれかに相当すると解される。そして,義務付けの訴え,差止めの訴えのいずれにおいても,訴えを提起しようとする者に「重大な損害を生ずるおそれ」のあることが訴訟要件となっているところ(同法37条の2第1項,37条の4第1項),本件において原告Aほか9名が主張する権利ないし利益は,上記1,2で詳論したとおり,具体的権利ないし法的保護に値する利益とはいえないから,同原告らについて「重大な損害を生ずるおそれ」を観念すること
ができない。そうすると,本件派遣差止めの訴えは,抗告訴訟としての義務付けの訴えや差止めの訴えの場合と同様,その余の点について判断するまでもなく訴訟要件を欠き,不適法といわざるを得ない。
  ウ また,本件違憲確認の訴えは,確認の訴えであるから,まずもって原告Aほか9名の有する権利又は法律関係に現に存する不安ないし危険を除去すべき現実的必要性があって初めて訴えの利益が肯定される。しかし,これも上記1,2で詳論したとおり,同原告らの主張する権利ないし利益は,具体的権利ないし法的保護に値する利益とはいえないから,それらに対する不安ないし危険は存在せず,訴えの利益を認めることができない。したがって,その余の点について判断するまでもなく,本件違憲確認の訴えは不適法である。
(3) 以上のとおり,本件派遣差止めの訴え及び本件違憲確認の訴えは,いずれの見地から検討しても不適法であるから却下すべきである。
4 本件損害賠償請求について
(1) 原告らは,本件派遣によって,平和的生存権,平和追求権及び戦争や武力行使をしない日本に生きる権利並びに人格権又は人格的利益を侵害され多大な精神的苦痛を被ったと主張する。
(2) しかし,まず,上記1で判示したとおり,原告らの主張する平和的生存権,平和追求権及び戦争や武力行使をしない日本に生きる権利は,具体的権利ないし利益とはいえないから,本件派遣によって,これらの権利が侵害されることはあり得ない。次に,上記2で判示したとおり,本件派遣によって,原告らの人格権又は国家賠償法上保護に値する人格的利益が侵害されたとはおよそ認められず,そもそも,本件派遣によって原告らの人格権又は国家賠償法上保護に値する人格的な利益が侵害されるという事態は想定し得ない。
(3) そうすると,その余の点につき検討するまでもなく,原告らの本件損害賠償請求は,いずれも理由がないから,これを棄却すべきである。