H17.10.14 松山地方裁判所 平成16年(ワ)第152号 保険金請求事件

判         決
主         文
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事 実 及 び 理 由
第1 当事者の求めた裁判
1 請求の趣旨
(1) 被告は,原告に対し644万5560円及びこれに対する平成16年2月4日から支払済みに至るまで年6分の割合による金員 を支払え。
(2) 訴訟費用は被告の負担とする。
(3) 仮執行宣言
2 請求の趣旨に対する答弁
(1) 原告の請求を棄却する。
(2) 訴訟費用は原告の負担とする。
(3) 仮執行免脱宣言

第2 当事者の主張
1 請求原因
(1) 被告は,損害保険等を業とする株式会社である。
(2) 原告は,平成15年4月5日,別紙1物件目録(省略)記載1の自動車(以下「アルファード」という。)を516万5560円で購入(但し,訴外Fのローンを利用したことから,所有者は訴外Fで原告は使用者である。)し,同年10月30日,別紙1物件目録(省略)記載2の自動車(以下「ファンカーゴ」という。)を代金128万円で購入した。【争点】
(争点に関する主張)
アルファードの購入代金は,車両本体価格のほか,同時に車両の付属品であるサンルーフ,カーナビゲーション,モニターカメラ,パワードアなどの特別仕様の購入代金(合計約200万円)を合わせたものである。原告は,損害保険契約締結の際に特別仕様を含めた購入価格を損害保険契約の対象としたものであって,被告との間の保険契約に適用される自動車保険普通約款(以下「約款」という。)においても付属品に対して保険金が支払われること(約款第5章第1条2項)からすれば問題はなく,アルファードの購入代金が車両本体価格より高額であることを指摘する被告の主張は失当である。また,ファンカーゴについては,車両購入価格と保険に表示された車両の価格に107万円余りの差があるが,これはファンカーゴを購入した訴外Aとは別の会社に依頼して装着したカーナビゲーション,タイヤ,フロントスポイラー,サイドステップなどの付属品にかかったものであるから本件では請求をしていない。被告は弁護士会からAへの照会に対するAの従業員の訴外Bの回答が不自然であるとするが,弁護士会からの照会にどのような形で回答するかはその会社に任されるべきで,不自然とまではいえない。
(3) 原告と被告は,アルファード及びファンカーゴに偶然発生した事故によって生じる損害を填補することを目的とする以下の内容の損害保険契約を締結した。
ア アルファード分
(契 約 日)平成15年9月11日
(保険の種類)自動車総合保険(SAP)
(証券番号)(省略)
(保険期間)平成15年9月15日午後4時から平成16年9月15日午後4時までの1年間
(保険金額)車両保険金額520万円,新車価格相当額530万円
イ ファンカーゴ分
(契 約 日)平成15年11月13日
(保険の種類)自動車総合保険(SAP)
(証券番号)(省略)
(保険期間)平成15年11月13日午後1時から平成16年11月13日午後4時までの1年間
(保険金額)車両保険金額235万円,新車価格相当額235万円
(4) アルファード及びファンカーゴは,平成15年12月22日午前2時ころから同日午後2時ころまでの間に,何者かによって,原告宅に併設された駐車場(以下「本件駐車場」という。)から窃取された(以下「本件盗難」という。)。【争点】
(争点に関する主張)
この点,被告は,本件盗難には偶然性がない,すなわち,本件盗難は偽装のものである可能性が高い旨主張する が,以下の点を総合的に勘案すれば,本件盗難が偶然発生したものであることは明らかというべきである。
まず,原告が本件盗難当時に生活費等の金銭に窮していた事実がないことに加え,盗難届を提出し,捜査の結果盗難の偽装が発覚すれば刑事責任を問われる一方,その結果得られる報酬は大した金額ではないことからすれば,原告が本件盗難を偽装する動機はないというべきである。次に,アルファードには盗難防止のイモビライザーが装着されているとはいえ,レッカー車により牽引をする方法で窃取することが物理的に可能であることは被告提出の鑑定書からも明らかであり,牽引作業及びその準備作業に伴う騒音を原告はもちろん近隣住民が目を覚まさない程度で抑えながら作業をすることは十分あり得るというべきであるし,そのほか,窃盗手段としてイモビライザーそのものを切断する方法もある以上,鍵の所持者である原告の関与が本件盗難に必要とはいえない。また,本件盗難を当日中に訴外Cが知らなかったのは原告との付き合いが金銭の貸し借りにとどまるものであったからで,原告の妻である訴外Dが本件盗難のあった日の夕方の行動を覚えていないのは単に記憶の減退によるものであって,被告が指摘する事実が本件盗難の偶然性について影響しないことは明らかである。
(5)  原告は,平成16年1月5日,被告に対し,本件盗難により,約款第5章第5条1項により定められる保険価格であるアルファード及びファンカーゴの価格の支払いを求めるため,保険証券に添えて自動車保険金請求書等を提出し,本件盗難の日の翌日である平成15年12月23日から60日以内に約款第6章第20条2項所定の手続を履践した。
(6) よって,原告は,被告に対し,損害保険契約に基づく保険金及びこれに対する遅延損害金の支払を請求するものである。
2 請求原因に対する認否等
(1) 請求原因(1),(3)及び(5)の各事実はいずれも認める。
(2) 請求原因(2)の事実のうち,アルファード及びファンカーゴの購入価格がそれぞれ516万5560円と128万円であることは不知。【争点】
なお,被告はその余の事実について明確に争わず,金額を除く売買の事実等について弁論の全趣旨から争ったとまでは認められないから自白したものと見なす。
(争点に関する反論)
アルファードという車種の車両の新車価格は320万円であり,ファンカーゴという車種の車両のそれは124万円である。これに比べて原告が主張するアルファードの購入価格は極めて高額であるし,アルファード及びファンカーゴの売買に関与したAの従業員Bは,調査会社による調査に対し,アルファードの価格は490万5930円でローンを組む方法で,ファンカーゴの価格は167万4080円で即時現金払する方法で,支払ってもらったと口頭で供述していたが,弁護士会からの照会に対しては,Aに対する照会であるにもかかわらず代表者ではないB個人がこれに回答するという形式的に不自然な行為があることは当然,内容についても,新車注文書とともに送付された車両入金日報にはアルファードの支払と思われる入金は450万円,ファンカーゴの支払と思われる入金は128万円(但し手数料210円を含む。)にすぎないなど書類との不一致,著しい変遷をしており,更には,いずれの代金額も結局は保険契約の際に表示された新車相当価額とは異なるものであるから,売買契約の代金にかかる原告の主張は信用できないものである。
(3) 請求原因(4)の事実は否認する。
(争点に関する反論)
アルファードという車種の車両にはイモビライザーが標準装備されている。イモビライザーを装着した車両を他人に悟られることなく運転して窃取するためには,イモビライザーの防犯性能からすれば,実際のところは正規の鍵を使用するしかないというべきである。また,原告は,アルファードをレッカー車で牽引して本件駐車場から離れた安全な場所まで持ち去った上でイモビライザーを切ったと推測できる旨主張するが,本件駐車場は,車両を2台入れる程度のスペースしかない上,屋根が低く,また前面道路も幅員が約4mしかないため,車高が高く車長の長いレッカー車を用いてアルファードを移動することは不可能であるか可能であっても著しく困難を伴うものであるし,また,原告宅は住宅街にあるから,夜間にそのような作業を行えば,その物音で原告宅や付近の住民に気付かれる恐れが高く,その上車庫には2基の防犯用ライトが設置されており,そのライトに照射されながら敢えて本件車両の窃取作業を行うことは犯罪をする者にとって極めて危険な行為である。更には,イモビライザーを装着した車両を窃取しても,それを通常の使用に供するためには,イモビライザーを解除しうる電気抵抗を持つキーを何らかの方法で作成又は調達するか,又は,イモビライザーのシステム全体を載せ替えるかの方法によらなくてはならない。このような困難を承知でレッカー移動を行うことは通常考えることはできず,結果,本件盗難が偶然のものであることに疑問を挟むには十分である。
第3 当裁判所の判断
1 請求原因(1),(3)及び(5)は当事者間に争いがない。
2 請求原因(4)について
(1) 証拠によれば,請求原因(4)に関連して以下の事実が認められる。
ア 原告宅及びその周囲の状況について
(ア)  本件駐車場及びこれに接する原告宅西側の道路の平成15年12月22日当時の状態は,別紙2の図面(省略)記載のとおりである。本件駐車場は,原告宅の方から道路に向かって緩やかに下り勾配となっており,上にはアーチ型の屋根がかけられているほか,原告宅西側壁面に防犯用照明器具(100w電球2つが120度の範囲(駐車スペースの大部分がその対象範囲となる。)で人などの動きを検知して点灯するもの。)が設置されている。また,本件駐車場と別紙2の図面(省略)に「U字溝上蓋」と記載された部分との境目には55mmないし61mmの段差があり,本件駐車場の方が道路よりも高い位置にある。この段差についてスロープ等の設置はない。
原告宅のある地域は,一戸建てや集合住宅がある住宅街であると同時に,多数の駐車場が点在する。
(イ) 原告及びDは,本件盗難当時,同人らの子1名とともに原告宅に居住していた。原告らが当時就寝していた場所は,原告宅の2階の東側で本件駐車場の直近というわけではないが,本件駐車場付近での車両のエンジン音や本件駐車場に止めていた車両が出発する際に前記した道路と本件駐車場の境にある段差を通過する際に発生する音などを十分に聞くことができる位置関係にはある。
(ウ) 原告は,平成15年12月22日午前2時ころ,アルファードを運転して原告宅に戻った。その際,ファンカーゴは本件駐車場の北側に先頭部分を原告宅に向けた状態で駐車されており,原告は,アルファードを先頭部分がファンカーゴ同様原告宅に向いた状態で本件駐車場の南側に駐車しし,原告宅に入った。
   イ アルファード及びファンカーゴについて
(ア) アルファードは,全長4800mm,全幅1805mm,全高1935mm,エンジン排気量2.99l,車両総重量2275kgの車で,平成15年4月初年度登録されたものである。アルファードという車種の新車購入価格は320万円であり,標準装備されている鍵は3枚ある。また,盗難防止装置としてイモビライザーが標準装備されている。
(イ) ファンカーゴは、全長3880mm,全幅1660mm,全高1700mm,エンジン排気量1.29l,車両総重量1315kgの車で,平成15年10月初年度登録されたものである。イモビライザーが装備されていた事実はない。ファンカーゴという車種の車両の新車購入価格は124万円であり,標準装備されている鍵は2枚ある。
ウ イモビライザーについて
イモビライザーとは,登録されたエンジンキー以外でエンジンを始動させようとしたときには,エンジンの点火,燃料噴出を禁止してその車を動かない(始動できない)ようにする高度な盗難防止システムである。原理は,エンジンキーのグリップに小型の通信チップ(トランスポンダー)を内蔵し,アンテナコイルでキーに登録されたIDコードを読み取り,エンジンコントロールコンピューター内部に予め登録されたIDコードを照合し,一致した場合のみエンジンを点火,燃料噴出可能状態とする。キーに登録されたコードは車ごとに異なるものになっている。
一般に,イモビライザーを装備した車両を窃取する方法としては,イモビライザーの解除が可能な鍵を用いる方法,イモビライザーを解除しないままレッカー車で牽引して持ち去る方法,イモビライザーのシステム一式の交換や手を加える方法で元々の鍵でなくともエンジンが始動する状態を作出する方法などがあるが,鍵を用いない窃取方法として最も容易なのは牽引による方法で,その他の方法は相当程度の専門知識を要する。
エ 原告の被害申告等について
(ア) 原告は,平成15年12月22日午後2時ころ,本件駐車場内にある郵便ポストを見た直後に,Dに対し,アルファードとファンカーゴが本件駐車場から無くなったと本件盗難の事実を告げた。その後,原告から保険金の支払請求を受けた被告は,調査会社に本件盗難の調査を依頼した。調査会社は,本件駐車場の状況等についての調査を実施したが,その際にもアルファード及びファンカーゴは目撃はされていない(なお,原告がファンカーゴと同じ車種の車両を購入したことから,その車が本件駐車場に駐められてはいる。)。
(イ) 原告は,本件盗難の事実を認識して約3時間経過した午後5時30分ころ,E警察署にアルファード及びファンカーゴが窃取されたとして窃盗事件として被害届を提出した。被害届の内容は以下のとおりである。
(被害日時)平成15年12月22日午前2時ころから午後2時ころまでの間
(被害場所)松山市a町b丁目c番d号駐車場
(被害金品)アルファード及びファンカーゴ
(ウ) 原告は,被告から残っている鍵の提出を求められたことから,ファンカーゴの鍵1枚,アルファードの鍵2枚を被告に交付し,被告はこれを受領した。
(エ) 本件盗難の際,原告の生活が経済的に苦しいものであった事実はない。
オ 調査会社が録取した原告,B,D及びCの各供述は以下のとおりである。
(ア) 原告(平成15年12月24日録取)
アルファードの鍵はリモコン付が1枚,ノーマルが2枚で,ファンカーゴはリモコン付が2枚である。
(イ) 原告(平成15年12月25日録取)
アルファードの鍵は2枚,ファンカーゴの鍵は1枚で,ファンカーゴの鍵1枚はアルファードの中に入れてあるのでない。
(ウ) B(平成15年12月25日録取)
ファンカーゴの購入価格は167万4080円で現金での支払を受けた。アルファードはFでローンを組んだ。
なお,この際,調査同日付けの見積書が提出され,それによれば,アルファードは販売価格は490万5930円とされ(特別仕様,付属品価格として109万9000円が計上されている。なお値引きはない。),ファンカーゴは販売価格合計167万4080円,うち車両価格は値引きなしの126万円,特別仕様に14万2000円余りとされている。
(エ) D(平成15年12月29日録取)
本件盗難の日には用事(用事の内容は思い出せない。)があってインスパイアーを使用すると私が原告に言っていたので,原告は,原告の友人に電話をかけたのだろうと思う。原告の友人が原告を迎えに来たが,私は,その人の名前も顔も知らなかった。私は,午後5時ころに出掛け,午後6時には帰宅したが,帰宅した際に家にG保険事務所の人が来ていた。
(オ) C(平成15年12月29日録取)
アルファードとファンカーゴが盗難にあったことは今聞かされて知った。原告が何処に住んでいるのか知らない。Dとは平成15年12月22日午後6時ころに黒のインスパイアーで原告と一緒に来店した時に初めて会った。
(2) 以上の認定事実のうち,エ記載の各事実からすれば,アルファード及びファンカーゴは原告の知らないところで,すなわち偶然の事情で,氏名不詳の第三者によって窃取されたことの立証は十分であるかのようである。
しかしながら,その他の事実に照らせば,以下に説示するように,本件盗難が偶然に発生したといえないばかりか,むしろ行方の知れない鍵について合理的な説明ができない原告による何らかの関与があったと考えるのが合理的ともいえ,偶然性の立証は不十分であるというべきである。
第1に,イモビライザーを解除する能力をもった鍵(以下「適合鍵」という。)で解錠する以外の方法でアルファードを本件駐車場から持ち去る具体的な方法を想定することは極めて困難というべきである。イモビライザー装備車両を適合鍵なしで窃取することは,当該車両をレッカー車で牽引する方法によれば可能であり,この点で原告の主張は正しいものというべきではあるが,本件駐車場の具体的状況,すなわち,夜間の住宅街で防犯灯の明るい光線に照らされながら作業し,かつ,作業の音を原告はもとより原告宅周辺住民に一切気付かれないようにすることは,窃盗を実施する者にとって客観的に実現可能性の低い他人に発見される危険を伴う行為というほかないし,本件駐車場に設置された屋根の形状とアルファードの車両の大きさ,接面道路の幅員などの条件下では,牽引作業そのものにも困難が伴うことは明らかである(なお本件駐車場でイモビライザーシステムに改造を加えればレッカー車を用いることなく窃取することは可能であるが,部品交換に騒音を伴いながら作業に1時間近く要し,かつ,その間中防犯灯に照らされ続けるのであってレッカー車による牽引以上に非現実的である。)。また,仮にそのような方法で窃取しても,アルファードを運転の用に供するためには,適合鍵が入手できなければイモビライザーシステム一式の交換が必要で,そのためには専門知識と金銭的負担が伴うことから,一般に窃取対象がそれなりの高級車でないと割に合わない行為というほかない。以上のとおり,窃盗そのものに相当な困難さを伴い,そのような困難な行為であるにもかかわらず,それを敢行するだけの利益が認められない。
なお,ファンカーゴについては,イモビライザーが装着されていたわけではないが,防犯灯による窃盗の困難性のほか,鍵を使用せずにエンジンを始動させたのであればその作業や運転に関する音が発生し,レッカー車を使用したのであればアルファード同様の作業音や,作業の困難性が伴い,そのほかアルファードと同時期に窃取された事情に鑑みれば,アルファードと同時に窃取されたと考える方が自然であって,その際の作業の困難さや発見可能性はアルファードにおけるそれとともに高まるものであって,盗難の困難さが認められる一方,アルファード以上にその利益は小さいというほかない。
第2に,アルファード及びファンカーゴの鍵の管理についての原告の供述内容が客観的事実などと比較して不自然である。原告は,残された鍵としてファンカーゴ分1枚,アルファード分2枚の鍵を被告に提出しているが,そもそもアルファードに標準装備されている鍵は3枚なのであって,1枚の所在が何らの合理的説明もなく行方がわからない。この点,原告は,原告本人尋問の際には,アルファードの鍵が2枚であったことを断言しているが,同尋問で原告が聴取内容に間違いがないと供述した調査会社の聴取書では,アルファードの鍵は3枚と明確に回答しているが,そのように変遷する理由についても何らの合理的説明をすることができない。また,ファンカーゴについては標準装備される鍵は2枚であるが,原告はうち1枚はアルファードの車内であると述べるにすぎず,アルファードについて上記してきた事情がある以上,鍵が1枚ないことについては合理的説明がないと評価しうるものである。
第3に,保険の前提となる車両購入価額に不自然というほかない事情が認められる。この点原告は,付属品による価格の上昇であるから問題がないかのように主張するが,車両の価格については,Aの担当店員であるBの回答が調査会社に対するものと弁護士照会で回答されたものとで変遷し,その根拠の書類そのものも見積りの日付等不自然な点が散見されるほか,付属品と称するものについてもその明細は存在しておらず(原告は尋問中でアルファードやファンカーゴに載せていたとするが,上記した車両の存在に関する不自然さからすればこれを全面的に信用はできない。)不自然というほかない。また,アルファードは8か月,ファンカーゴは2か月という購入後極めて短期間の間に窃取されている。
第4に,原告の本件盗難の発見直後の行動であるが,平成15年12月22日午後2時ないし2時30分ころ本件盗難の事実を知り,かつ,派出所まで被害申告をしに行った,すなわち直ぐにでも被害申告をしようとしたとしながら,以降,E警察署に被害届を出しに行くまで約3時間もの間隔があることに加え,その際及びこれ以降の原告の行動は,原告と何らの利害対立のないD,Cの供述内容と食い違いがあったり,一致があっても同人らの調査会社への陳述内容(なお,D,Cとも調査会社の聴取内容は原告代理人から示されて内容を確認し,誤りがないと証言した。)との間で記憶の減退で説明できない齟齬があるなどしており,不自然というほかない。
(3) よって,請求原因(4)は認められない。
3 以上のとおりであるから,その他の事実について判断するまでもなく,請求原因は理由がない。
第4 結語
したがって,原告の請求は理由がないから棄却し,訴訟費用の負担については民事訴訟法61条を適用して原告の負担とすることとし,主文のとおり判決する。
(口頭弁論終結の日・平成17年8月9日)
松山地方裁判所民事第1部

裁 判 官  竹 尾 信 道

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最終更新:2005年11月18日 13:43
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