H17. 9.16 東京簡易裁判所 平成17年(少コ)第133号(通常手続移行) 損害賠償請求

平成17年9月16日判決言渡 同日判決原本領収 裁判所書記官
平成17年(少コ)第133号(通常訴訟移行)損害賠償請求事件
口頭弁論終結日 平成17年9月9日
判         決
主         文
1 被告は,原告に対し,10万円を支払え。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用は,これを4分し,その3を原告の負担とし,その余は被告の負担とする。
事 実 及 び 理 由
第1 請求
被告は,原告に対し,40万円を支払え。
第2 請求原因
1 原告は,平成16年11月28日午後1時30分ころ,JR札幌駅構内待合所に入ったところ,先に入所していた被告が禁煙区域であるにもかかわらず喫煙していたので,被告に対し,喫煙指定場所で喫煙するように促した。これに対し,被告は,原告に近寄り「何か文句があるのか。」と威嚇するような発言をしつつ喫煙場所に移動した。
2 約20分後,被告は,上記待合所に戻って再び喫煙を始めたが,原告と目が合うや否や,原告に近寄り喫煙していたたばこの灰を原告の頭上から掛けた。
3 原告は,注意しても改善されないと思い,被告に対する注意をあきらめ,○○警察鉄道警察隊に通報し,その場を立ち去った。その後,原告は,平成16年12月11日,○○警察鉄道警察隊を訪ねて被害届の提出と実況見分に立ち会った。
4 原告は,被告の上記行為によって灰をかぶり着用できなくなったセーター代1万3000円及び慰謝料38万7000円(合計40万円)の損害を受けた。
5 よって,原告は,被告に対し,上記不法行為に基づく損害賠償請求権として40万円の支払を求める。
第3 理由
1 被告は,公示送達により口頭弁論期日の呼出しを受けたが,同期日に出頭しない。
2 証拠(原告本人の供述)によれば,損害額を除き,請求原因事実を認めることができる。原告はセーター代を損害と主張するが,原告本人の供述によれば,セーターを洗濯すれば使用することが可能であることが認められ,他に使用できないと認めるに足りる証拠もないから,セーター代を損害と認めることはできない。
次に,原告は慰謝料を主張するが,原告本人の供述によれば,当時待合所には10名程度の客がいたが,原告以外誰も被告の喫煙を注意しなかったこと,原告が注意したところ,被告から威嚇されたこと,原告は被告から突然頭の上に火の付いたたばこの灰を落とされたこと,原告は被害届の提出などのために東京から札幌まで出向いたことが認められる。そうすると,公衆のマナー違反に対し見て見ぬ振りをする風潮がある中で,正義感から勇気を出して喫煙を注意したにもかかわらず,注意に従わないばかりか,灰を掛けるという反抗までされ,その上被害届の提出などのために再び札幌まで出向かざるを得なかったことにより精神的な苦痛を受けたと考えるべきであり,この原告が受けた苦痛に対する慰謝料としては10万円が相当である。
2 以上から,原告の請求は10万円の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し,その余の請求は理由がないので棄却する。
東京簡易裁判所少額訴訟4係
裁 判 官  行 田   豊

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最終更新:2005年12月14日 17:30
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