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イギリスのことは気になるが店のことも疎かにするわけにはいかない。
だから予定どおり品評会を行った。
品評会は美味いものを作れば採用されるというものではないということが
証明されたといってもいい結果だろう。
今回採用となったのは佐渡山の料理。
素晴らしく柔らかい煮込みハンバーグだった。
俺の考案したアランチーニ。ハバネッロは佐渡山は絶賛していたが
辛味の調整が難しく、最後までこれという決定打を打てなかったのが
料理に出てしまったのだろう、安定感の欠ける一品となってしまった。
小野瀬の料理は一言でいうとがんばりすぎだった。
中落ちを使ったカルパッチョは学食には少々値が張りすぎる。
坂上のトルティーヤ・ブリートは手軽で無難な出来だったが
無難すぎて面白みに欠ける、という意見が出てしまった。
ヴァイスブルク姉妹に関してはいつもの完璧主義が出た。
リンケの名前は忘れたが羊肉の煮込みは
作業工程が複雑で完全にシェフの出すディナー料理のレベルであり、
昼の忙しい時間にできる料理ではなかった。
レヒトさんの出してきた料理は野菜スープのパイ包み。
佐渡山をしてあんな繊細な調理は無理だと言わせる技法を使っていた。
どちらも味は絶品だったのだが、場所を弁えろと言いたい。
というか言った。
佐渡山のは火加減が一定なら誰でも同じ味を再現できる。
仕込みさえしっかりしていれば仕上げは手軽なものだ。
ただ、仕込みにかかる労力は相当のものだろうと推測できる。
ドM気質全開の料理なのだろう。
秋に全員倒れるようなことがなければいいのだが。
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