661 名前:-記憶篇- 第1話 1/13 ◆u1vJTEYnvg 本日のレス 投稿日:2006/08/11(金) 02:08:35 MSai9ktZ

店内大会はツンとかっていう、ツンツンデレデレしている小娘の優勝で終わり
今日からまたいつも通りに三国志大戦をプレイしている俺。

『いつも通り』というのは勿論、一州の君主カードを使用しての初心者狩りだ。
ひたすら初心者プレイヤーを倒し、四州ぐらいまで上がったら新しい君主カードを購入して一州からやり直す。
といった繰り返しだ。(中には同じ目的でプレイしている奴がいるため、苦戦する時は苦戦するが……)

この事を他人に喋ったら間違いなく俺は気持ち悪がれるだろう。
しかし、その『他人』に初心者狩りをする理由を分かってもらおうとも思わない。
分かるわけがないのだ。



―――俺にとって、初心者狩りというのは一種の習慣だからだ。



662 名前:-記憶篇- 第1話 2/13 ◆u1vJTEYnvg 本日のレス 投稿日:2006/08/11(金) 02:09:18 MSai9ktZ

  ―――ゲーセン「ブランデーハウス」にて。


(・∀・) 「マタ ショシンシャガリシテルゾ!! ショシンシャガリイクナイ!!!!」

後ろの方から聞き慣れた声が聞こえ、俺はつい振り返る。
……またジサクジエンか。
コイツは四州のプレイヤーで、その割には中々な腕を持つ。
だが、マナーに凄くうるさい奴で、コイツのせいで何度か店員に捕まった事がある。
しかし……何故か憎めない奴だ。
どういうキッカケで仲良くなったのかは忘れてしまったが。

コイツの喋り方は独特があるためか、聞きづらかったりする。
『また 初心者狩りをしてるぞ! 初心者狩りイクナイ!』と言っているみたいだ。

( ゚∀゚) 「うるせえなぁ!嫌なら帰ればいいだろうが!」
(;・∀・) 「……デモ、ヒトノプレイヲミルノタノシイ!!! ソレ イイ!!!」

『でも、人のプレイを見るの楽しい! それ いい!』と言っているみたいだ。
……てか、いつの間に俺はコイツの通訳になっているんだ。

( ゚∀゚) 「へっ、だったら大人しく後ろで応援してな!」
(・∀・) 「オウエンハシナイ!!! ……タダ、ミタイダケダ!!!」

『応援はしない! ただ、見たいだけだ!』と言っているのだろうか。
どっちなんだよ……ツンとかっていう小娘みたいな奴だ。

8戦ぐらいやった後、俺とジサクジエンは一息つきに休憩場に行った。


663 名前:-記憶篇- 第1話 3/13 ◆u1vJTEYnvg 本日のレス 投稿日:2006/08/11(金) 02:09:50 MSai9ktZ

  ―――ゲーセン「ブランデーハウス」休憩場にて。


少し潰れてしまった煙草の箱から一本取り出し、愛用の100円ライターで火をつけた。
深々と吸い込み、8戦の疲労と共に煙を吐き出す。
美味い……美味すぎる。
三国志大戦をやった後の煙草は絶品だ。

(・∀・) 「ソウイエバ、マエカラキキタカッタコトガアル」

『飲むとうまい水! 唖泉』というスポーツドリンクを飲んでいるジサクジエンからの一言。
『そういえば、前から聞きたかったことがある』と言っているみたいだ。

( ゚∀゚) 「なんだ?俺のスリーサイズか?」
(・∀・) 「カエレ!!!」
( ゚∀゚) 「分かった!董荼那が何を言っているのか知りたいんだな!」
(・∀・) 「イッテヨシ!!!」

……相変わらず冗談が通じない奴だ。

(・∀・) 「……ナンデ、ショシンシャガリヲヤッテイルンダ?」

『なんで、初心者狩りをやっているんだ?』と言っているみたいだ。
コイツと仲良くなって結構経つが、何を今更といった感じだ。
でもまあ、友人であるコイツになら話してもいいかもな……そう思い、俺は今まで誰にも話さなかった昔の事を話し始めた。


665 名前:-記憶篇- 第1話 4/13 ◆u1vJTEYnvg 本日のレス 投稿日:2006/08/11(金) 02:10:21 MSai9ktZ

  ――――時は数ヶ月前に戻る。


三国志大戦2が稼動してから13日目ぐらいだろうか。
あの頃は、ほとんどのプレイヤーが手探りで戦法を発見次第、ひたすら研究をするという混沌の時代だった。

そんな中、俺はいつもと変わらずにケニアデッキを使い、八州まで上がっていった。

ケニアデッキというのは高コスト武将3枚で編成されるデッキで、『ケニア』という覇王プレイヤーがSR呂布・SR趙雲・SR馬超のデッキを
使用して連勝しまくり、そのプレイヤーのインパクトにより、高コスト武将3枚で編成されるデッキを総じてそう呼ばれるようになったらしい。
(※三国志大戦wiki 『ケニアデッキ』参考)

俺がこのデッキを使っている理由は、そのプレイヤーを尊敬しているとかそういうのではない。
……3枚というデッキは、頭が悪い俺でも動かしやすいからだ。
どうも4枚以上のデッキになってしまうと、どれを動かしているかたまに分からなくなってしまうのだ。

八州に上がるまでの間、勿論俺は初心者狩りをしていた。
稼動したばかりの今なら一州に色んなプレイヤーがゴロゴロいるからだ。

中には「お前、元覇王だろ?!」と思うほど、強すぎなプレイヤーもいたが……


666 名前:-記憶篇- 第1話 5/13 ◆u1vJTEYnvg 本日のレス 投稿日:2006/08/11(金) 02:10:58 MSai9ktZ

  ――――『2ちゃんねる』という掲示板がある。


その掲示板には、『ハッキングから今晩のおかず』というキャッチフレーズがあり、その通り多数の分野がある。
『ニュース』と『社会』や『音楽』、そして『雑談系』などだ。
その多数の分野の中に『アーケード』というものがあり、アーケードゲームの話題を扱っている。
そこで三国志大戦の話題が沢山あるのだが、その中に初心者狩りについての話題があり、俺はよくそこを覗く。

何連続狩れたかの自慢、一州でどんなデッキと戦ったか……などの書き込みが多い。

初心者狩りを始めた頃は、こんな事をしているのは自分だけじゃないのかと少し心配していたが
ここで同じ事をやっている人達の書き込みを見た時は正直ホッとした。
気が合うかどうかは分からないが、お互い同じ目的のためか『仲間』のようなものを感じたのだ。



そんな事を思いながら書き込みを見ていると、気になる書き込みが俺の目に入った。


667 名前:-記憶篇- 第1話 6/13 ◆u1vJTEYnvg 本日のレス 投稿日:2006/08/11(金) 02:18:28 MSai9ktZ


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600
 :ゲームセンター名無し :2006/08/10(木) 19:01:45
そういやお前ら、『とあるゲーセン』に十州以上の初心者狩りが三人いるのを知ってるか?
そいつらは自分が十州以上なのにも関わらず、堂々と初心者狩りをしているらしい。

人に見られているのに、よく堂々とやれるよなぁ……どういう理由で初心者狩りをしているんだろ。

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……初心者狩りをしている人達は大抵、人の目が届かない所でやるか
もしくは適当に遊んでからわざと押され気味になるようにする。(初心者の振りをするといった感じか)
堂々と初心者狩りをするというのは、勇気があるというかなんというか……

しかし、この『三人』はどういう理由で初心者狩りをしているのだろうか。
俺も堂々と初心者狩りをする方だが、実は俺には初心者狩りをする『まともな』理由が無いのだ。
楽しいからやっているとかそういうものでしかない。

……だからこそ、この『三人』が気になるのだ。


669 名前:-記憶篇- 第1話 7/13 ◆u1vJTEYnvg 本日のレス 投稿日:2006/08/11(金) 02:19:33 MSai9ktZ

  ――――三国志大戦2稼動から14日目、『とあるゲーセン』にて。


入り口の自動ドアが開き、俺は一目散に三国志大戦がある場所へと向かった。
……一台空いている。人混みは無いようだ。
俺は、例の『初心者狩り』がいるかどうか一台一台よく確かめる。


その中に、他の2人とは違う雰囲気を漂わせる人物がいた。


武将カードの動かし方、引き返しのタイミングの見極め、妨害計略範囲からの回避。
他にも注目するべきところがあったかもしれないが、この3つだけでも充分上手いと思った。
『彼』は一州で、象兵デッキを使っていた。

コイツかもしれない……俺は、その人物のプレイを見学する事にした。


670 名前:-記憶篇- 第1話 8/13 ◆u1vJTEYnvg 本日のレス 投稿日:2006/08/11(金) 02:20:16 MSai9ktZ

  ~状況~

残り50カウント

『彼』 城ゲージ100%  士気10    兀突骨、金環三結、帯来洞主、朶思大王、孟優
対戦相手 城ゲージ100% 士気不明 R孫堅、周泰、呉夫人、虞翻、R太史慈


マップは、中央に荒地。対戦相手が柵を自城ゾーンを守るように横三列に設置。柵の耐久力は3つとも黄色。
金環三結と朶思大王と孟優が対戦相手の左柵、中柵を破壊しに突撃。
対戦相手は柵を利用してR太史慈、呉夫人、虞翻が金環三結→朶思大王の順番で1体集中砲火。(金環三結撤退)
ここで朶思大王が『毒泉の計』を使用。虞翻が毒状態になる。
『彼』は孟優は兵力3割の状態で自城に戻した。

対戦相手の柵状態・・・中柵(赤)、右柵(黄)

『彼』は孟優が自城に引き返すと同時に兀突骨と帯来洞主を出撃させ、対戦相手が虞翻を城内に引っ込ませるまで
柵より下の方で突撃準備をする。
数カウント後に、対戦相手が虞翻を城内に引っ込ませたと同時に兀突骨と帯来洞主が中柵に突撃。
対戦相手のR太史慈が『天衣無縫』を使用。
兀突骨に攻撃するが、兀突骨は戦器を装備していたため一気に兵力が減るのではなく、徐々に兵力が減るという感じだった。
兀突骨を兵力2割の状態で自城に戻し、帯来洞主で中柵を破壊するが、周泰の槍撃+R孫堅の突撃で撤退してしまう。


※兀突骨の戦器装着後は、魏武状態の曹操とホウ徳の2人と乱戦しても余裕だと思えるほど硬くなるらしいです。


671 名前:-記憶篇- 第1話 9/13 ◆u1vJTEYnvg 本日のレス 投稿日:2006/08/11(金) 02:21:05 MSai9ktZ

対戦相手の柵状態・・・右柵(黄)

対戦相手は全武将を城内に戻して武将を回復させ、数カウントの間お互い沈黙の状態になる。
その沈黙を破ったのは『彼』の兀突骨、金環三結、帯来洞主、朶思大王、孟優。
その4体をバラバラに突撃させている中、対戦相手は全武将を出撃。
朶思大王の『毒泉の計』を虞翻にかけ、『彼』は全武将を左端から攻める。
対戦相手は虞翻の『火計』で2武将を狙おうとするが、狙いすぎたためか撃つ前に虞翻が撤退してしまう。

兵法マスター! 他勢の大攻勢MASTER
『彼』が兵法を使用した。

兵法マスター!プラス外伝! 連環の法MASTER+再建
『彼』が兵法を使用してすぐ、対戦相手が兵法を使用した。

残り28カウント。対戦相手の再建の外伝によって、『彼』の武将は二手に分かれてしまう。

柵外→金環三結、帯来洞主
柵内→兀突骨、朶思大王、孟優

金環三結はそのまま中柵への突撃、帯来洞主は城内に戻ろうとし、左端を守っていた周泰とR孫堅を兀突骨と朶思大王で城門の方へ弾き
孟優は左端の城壁で攻城開始した。


673 名前:-記憶篇- 第1話 10/13 ◆u1vJTEYnvg 本日のレス 投稿日:2006/08/11(金) 02:21:50 MSai9ktZ

R太史慈が孟優にターゲットを移そうとするが、朶思大王がR太史慈に『毒泉の計』を使用。
R太史慈が武力4下げられた事により、孟優へのダメージが軽減されてしまう。
孟優を再妨害しに来た周泰とR孫堅を兀突骨と朶思大王での乱戦で押さえ、呉夫人も金環三結での乱戦で押さえられ、孟優は『象の休息』で必死に耐える。

―――そして約1.5カウント後(残りカウント18)に孟優の攻城が入った。

『彼』 城ゲージ100%       士気4 帯来洞主(自城)
対戦相手 城ゲージ約83.5% 士気不明 左柵(黄)、右柵(赤) 虞翻復活
残りカウント18

攻城に成功した孟優と金環三結はそのまま自城に引き返し、兀突骨と朶思大王は撤退してしまう。
対戦相手は全武将を城内に戻して回復させる事を選択せず、全武将を中間地点に移動させてから
『賢母の助け』→『天啓の幻』の繋ぎで攻める事を選択した。

高武力武将達に攻められる中、『彼』は帯来洞主を出撃させ『はじき戦法』を使用した。
帯来洞主が攻城ゾーンに近寄る武将達を後退させるようにはじき飛ばし、迎撃してくる危険性がある周泰は金環三結と孟優で押さえる。
……そして数カウントが経過し、帯来洞主と金環三結と孟優が撤退し、対戦相手の全武将が攻城を開始しそうになったと同時に
『天啓の幻』の効果が消えた。
対戦相手が全武将を『天啓の幻』の対象にしていたのが災いとなり、無念の叫びと共に全武将が撤退した。

残りカウント7……『彼』の勝ちである。


674 名前:-記憶篇- 第1話 11/13 ◆u1vJTEYnvg 本日のレス 投稿日:2006/08/11(金) 02:26:08 MSai9ktZ

対戦相手もなかなかの腕だったが(初心者では無かったが)、『彼』の腕は相当な物だ。
他のデッキと比べ、弱点だらけの象兵デッキをあそこまで上手く回せているのだから。

やはり『彼』は例の初心者狩りで間違いない。
行動に移っても問題は無いはずだ。

行動の内容は以下の3つだ。

1:『彼』に勝負を申し込む。
2:初心者狩りをする理由を知るために彼と戦う。
3:やった!勝った!ざまあみろ!! m9(^Д^)プギャー

2と3はまあいいとして、問題なのは1だ。
「勝負しませんか?」と言うのは俺の性に合わないのだ。
ましてや、「初心者狩りをする理由を知りたいんです!」なんて馬鹿な事は言えない。

どうすればいいのだろうか……まてよ、あの方法ならいけるかもしれない。
俺は早速、行動に移る事にした。


676 名前:-記憶篇- 第1話 12/13 ◆u1vJTEYnvg 本日のレス 投稿日:2006/08/11(金) 02:27:17 MSai9ktZ

              ( ゚∀゚)
              _,i -イ、
            (⌒`    ⌒ヽ
             ヽ  ~~⌒γ⌒)
              ヽー―'^ー-'
               〉    |

( ゚∀゚) 「待ていっ!」
彼 「!?」
( ゚∀゚) 「初心者と初心者のぶつかり合う狭間に、己が醜い欲望を満たさんとする者よ!
      その行いを恥と知れ!
      人、それを初心者狩りという!」
彼 「誰だ!?」
( ゚∀゚) 「初心者狩りに名乗る名はないっ!」

……キマった。
もし録画していたのなら是非観賞したいくらいだ。

初心者狩りな俺がこういう正義感ぶった事をするのは非常におかしいが、あえて初心者狩り『狩り』になれば
相手は戦うざるを得ないだろう。
とっさにこういう事を思いつく俺は……天才だったのか!?

彼 「よかったのか?そんな事を言ってしまって。 俺は初心者プレイヤーだってかまわないで食っちまう人間なんだぜ」

と、余裕を見せる彼。
後を引けない状態になった今、俺は『彼』に勝負を挑む。

―――彼、そして自分が初心者狩りをする理由を求めて。