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ROBOTECH Returns

 最近知ったニュースの中でも極めつきになんだかわからない話題のひとつに「ROBOTECH20周年を記念して05年待望のアニメ新作の制作が決定!」という話がある(ちなみにこれに並ぶ「なんだか訳のわからないニュース」はカーマイン・インファンティーノがDCを訴えた裁判)。
 まず「世界でも有数の広範なファンを持つサイファイユニバース」『ROBOTECH』についてよく知らないひとのために公式サイト(http://www.robotech.com/)の紹介ページのテキストを引いておこう。

 『ROBOTECH』は異星人の侵略から故郷を守り抜こうとする人類の三世代に渡る戦いを描いた壮大なスケールの記念碑的なSFアニメである。『ROBOTECH』の物語は21世紀目前に地球へと墜落してきた謎の宇宙船に端を発し、以後連続しておこなわれた戦争の渦中に置かれたキャラクターたちの視点で語られる。この宇宙船の存在によって世界の国家は再編され、宇宙船から解明された異星のテクノロジーは地球の「ロボテクノロジー」を急速に発展させた。こうしてつくりあげられたロボット兵器「メカ」は謎の力「プロトカルチャー」を求めて三度に渡っておこなわれることになる異星人の侵略から地球を守る大きな力となる。
(「An Introduction of ROBOTECH」、http://www.robotech.com/infopedia/intro/

 これを読んで「ふーん」と思うか「どっかで聞いたような話だな」と思うかはひとそれぞれだと思うが、ぶっちゃけ実際にサイトにいってみれば一目でわかるように、じつはこれ『超時空要塞マクロス』なのだ。ただし、確かにマクロスなのだが、マクロスであってマクロスではない。なにを訳のわからないことをいっているかというと、『ROBOTECH』は80年代にマクロスのアメリカでの放映権を買ったHarmony Gold社が同時期に放映権を取得した『超時空騎団サザンクロス』、『機甲創世記モスピーダ』の三作品を無理やりひとつながりの物語として再構成したものなのだ。年代的にはマクロスが第一部(「Macross Saga」)、サザンクロスが第二部(「Robotech Masters」)、モスピーダが第三部(「The New Generation」)にあたり、公式サイトにはこの設定にあわせた詳細な年表や用語集などの資料が豊富に集められている。
 この作品はバルキリーやレギオンといった変形トイの魅力もあって80年代にはかなりの人気を博し、Maribu Comicsからコミカライズも発売、アニメにもアメリカ独自のカットが追加されているようだが、コミックス版にもまったくのオリジナルストーリーが含まれていたようだ。
 90年代に入ってその人気は多少陰りを見せるが、21世紀になった辺りから顕著になった『Masters of the Universe』や『G.I. Joe』といったトイがらみの80年代プロパティーのリバイバルブームにあわせて復活、DC/Wildstormから02年以降完全新作のコミックスとして現在までに『ROBOTECH』、『ROBOTECH:INVASION』、『ROBOTECH:LOVE & WAR』の三作のミニシリーズが発売されている(特に最初の『ROBOTECH』は『マクロスゼロ』よりはるかに「それらしい」マクロスの前日譚である)。今年に入ってトイもレギオンの新バージョン(新金型ではなく色替えや頭部バリエーションのみのもの)が発売、デジタルリマスター版のDVDが発売されるなど、微妙に盛り上がっているのは知っていたのだが、まさかアニメーションの新作がつくられるとは思いもしなかった。
 うろ覚えだが、この『ROBOTECH/MACROSS』のアメリカでの権利関係に関してはたしか裁判で争われているはずで、たしか日本側が負けている。だからアメリカでの『マクロス』はイコール『ROBOTECH』を意味するはずなのだが、ややこしいのはにもかかわらずアメリカの熱心なアニメファンの手によって後に「オリジナルバージョンのマクロスとその続編」がアメリカでも紹介されており、コミックスやRPGによって独自のユニバース(というかシェアードワールド)としてもはや原作から独立した存在になっている『ROBOTECH』とマクロスはまた別ものとして認識されていたりもする点だ。
 だからHarmony Goldが取得している『ROBOTECH』のプロパティーは「マクロスであってマクロスではない」アメリカオリジナルの「『ROBOTECH』というプロパティー」なのだし、その意味でアメリカオリジナルの続編がつくられてもさほど不思議はないといえばいえるのだが、でもやっぱりこれはなんだかよくわからない話だと思う。
 ちなみにROBOTECH公式サイトはマーチャンダイズ契約上の問題で、日本の会社のメールアドレスを使うとメンバー登録ができない。

ROBOTECHはアメリカにおけるガンダムである

 これまでの日本での『ROBOTECH』の扱われ方というのは基本的に「トンデモ」なものとしてで、あまりまともなものとしてはとりあげられてはこなかったし、自分でもそれと大差ないスタンスで見てきたのだが、ちょっと調べてみるとこれはなかなかおもしろいトピックであり、作品だと思うようになった。
 『ROBOTECH』のアメリカでの運命やそのユニバースについては「ROBOTECH FAQ」(http://members.aol.com/BruceG6069/RoboTech_faq/Robotech_faq.html)に詳細な情報がまとめられているので興味がある向きはこれを一読してみるといいと思う。
 ここでも個人的に興味のあるいくつかのトピックを訳出してみる。

ハズブロとレベルによる日本へのアプローチ
 アメリカの玩具メーカー、ハズブロ社は彼らの乗り物が巨大ロボットに変形する玩具ライン「トランスフォーマーズ」のために日本でのジェット戦闘機が変形する玩具として『マクロス』を発見した。
 いっぽうプラモデルメーカー、レベル社も当時同社で展開しようとしていたロボットプラモデルのライン「ROBOTECH Defenders」のために日本製のモデルキットを探していた。この「ROBOTECH Defenders」はその後マクロス、ダグラム、オーガスのプラモデルを使って展開されることになる。
 日本の巨大玩具メーカー、バンダイがマクロスをベースにしたトイの商品化権を取得した際に、バンダイはハズブロとレベルのそれぞれから別途にマクロスのバルキリー戦闘機(ロボットに変形するジェット機)のアメリカでの販売権の売渡しを求められた。バンダイは「双方の」企業に別途この権利を売却し、ハズブロのトイは「ジェットファイア」の名で知られるようになり、レベルのプラモデルで「ベクサー」、「アクソイド」、「オービッド」と呼ばれるものは1/72スケールのバルキリーVF-1S、VF-1J、VF1-Dのプラモデルを色がえしたものである。

ハーモニー・ゴールド参入
 1984年の半ばから末にかけてのどこかでアメリカでのマクロステレビシリーズの権利をアメリカの企業ハーモニー・ゴールド社が取得した。当初ハーモニー・ゴールドはよりオリジナルに近い形での翻訳放映を計画しており、この計画に基づいてテレビアニメ最初の三話がテレフューチャー版として試験的に放映された。ところが、当時のテレビシンジケートにおける「ゴールデンナンバー」は65話であり(週末を除く毎日13週間の放映)、マクロスはというと全36話しかなかった。
 そこでハーモニー・ゴールドのプロデューサー、カール・メイセックはある日彼にはとてもすばらしく思えるが、多くの純粋主義者には承服しがたいあるアイディアを思いついた。メイセックは当時マクロスの他にサザンクロスとモスピーダのアメリカでの放映権を買っていた。彼は三本のプロットを書き換え、多少なりとも関連した一本のプロットに作り直したのである。この何世代にも渡る物語の各「チャプター」は現在では「The Macross Saga」(マクロス)、「The Robotech Masters」(サザンクロス)、「The New Generation」(モスピーダ)として知られている。
 これに「Macross Saga」と「Masters」をブリッジするエピソード(すべて既存のカットからつくられたもの)を加え、エピソードは全85話になった。そしてそのすべてを統合するタイトルが必要になった。

三つ巴の戦い
 レベルは「Robotech Defenders」ラインでの別メディアでの展開を模索していた。そこでDCコミックスから2イシューのリミテッドシリーズが発売されたが、このシリーズはどのオリジナルアニメシリーズともハーモニー・ゴールドの計画ともまったく無関係なプロットでつくられていた。
 ハーモニー・ゴールドによるマクロスのアメリカ展開の計画を知って、レベルはハーモニー・ゴールドに対しそのタイトルから「ロボテック」の文字をはずすよう起訴を起こし、同時にハズブロに対しても「ジェットファイア」の生産を取りやめるように訴えた。この訴訟はハズブロ側が勝利している。
 そして1985年『ROBOTECH』のアメリカでの放映が始まり、アニメーションの歴史にその名を刻むことになった。

 キリがないんでこの辺でやめるが、以上はいずれも「Section I: Introduction」から。以後ROBOTECHは1986年に完全オリジナルの新作『ROBOTECH2: The SENTINELS』、日本産OVA『メガゾーン23』をベースにした『ROBOTECH The Movie』が企画されながらも両方ぽしゃって映像からは縁遠くなるのだが、コミックス、RPG、小説でオリジナル展開をしていったのは前述の通り。
 前回「コミックスはMalibuから」とか書いていたが、これは厳密には間違いでオリジナル版のコミカライズはComico、幻の『ROBOTECH2: The Sentinels』の企画(というかいちおうテレフューチャーで試作版はつくられている)をベースにしたオリジナルコミックスの最初の版元がEternity/Malibu(ちなみにMalibuはもともと小出版社の寄り合い所帯でEternityはそのうちのひとつ。イメージコミックスも発足当初はMalibuに参加していた)、Malibuがマーヴルに買収されて以後もこのオリジナル展開は続いており、94~96年はAcademy Comicsで、97~98年はAntarctic Pressから出版されている。
 RPGに関してはアメリカのロボットバトル系RPGの元祖で一時期テーマパーク形式の操縦シミュレータゲームが日本でもプレイできた『BATTLE TECH』がマクロスのメカをそのまんまパクったりとROBOTECHの完全な影響下でつくられており、実質的にはこれがゲーム版といってもいい気がするのだが、Palladium Booksからオフィシャルも出ている。
 DEL REYからはJack McKinneyというひとの手でオリジナルシリーズのノベライズの他、これもSentinelsベースのオリジナルノベルが何冊も出ている。
 前述したように特にSentinels以降のROBOTECHはもはやアメリカオリジナルの作品といっていいもので、Sentinelsのパイロットフィルムやコミックスで見られるRick Hunter、マクロスにおける一条輝などまるでキャプテン・ハーロックのような渋いオヤジになっていてほとんど原型をとどめていない。Zentraedi、Robotech Masters、Invidのそれぞれに関係を持たせて一本にしているSF的なアイディアもそれほど悪くないし、これはこれで独立した作品として評価してもいいんじゃないかと思う。
 なによりファンのリアクションやメディア展開を見ると、どうやらROBOTECHはアメリカにおいて日本でガンダムが果たしたような役割(いわゆる「リアルロボットアニメ」的な作劇とマーチャンダイズジャンルの確立)を果たしたのではないかと思われる節がある。
 こういうものを「トンデモ」として笑い飛ばすのはそれはそれで思考停止ではないかと思うので誰かまじめなアニメ研究者にちゃんと研究してほしいものだと思う(自分でやるのはイヤなので)。




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