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優 「出来るよ、私はコレなんだよ」 そう言うと優は目にかかってる髪の毛をそっと流す その髪の毛の下には赤い目 猫 「…」 優 「いいの?」 優の言葉を待たず、猫は男のところへ歩いていく 男 「ね、こ…すま、ない、ツン子守れなかった…」 猫 「最悪だ、お前は」 男は力なく笑うと、息荒く血を吐き出す 猫 「ツン子の事…好きか?」 男 「ごほっ!ごほっ!!…あ、ああ。好きだ」 猫 「愛してるか?」 男 「あ、いしてる…」 鮫子と渡辺さん、佐藤さんは猫と男を静かに見つめる 優もまた悲しげに男を見つめていた 猫 「どのような姿でも、ツン子の傍に居れるか?」 男 「ツンじゃなきゃ…いやだ、なぁ、はは」 ふっと猫が笑った。そしてくるりと猫は優に向かい 優 「猫さん…猫さんが死んじゃうって事なんだよ…」 猫 「聞いたろ、頼む」 優 「…」 佐藤さんが体を乗り出し、優に話しかける 佐藤「一体なんの話、なの?そもそも猫が喋るなんて…」 渡辺「優…ちゃん、男君助けられるの?」 鮫子「…」 優が深く深呼吸する そして意を決したかのように話し始めた 優 「男君とツン子さんを猫にするの…」 鮫子「言ってることが全然わかんないわよっ!!」 急に鮫子が叫ぶように、優につかみ掛る 優 「鮫子…さん」 鮫子「さっきから聞いてたら…猫にする!?バカにしないでよっ!」 優 「…」 鮫子「そんな力があるなら…今ここで死にそうな男君を…ツン子を助けてよ…」 渡辺さんと佐藤さんが鮫子を抑える 優は悲しそうに俯きながら首を振った 優 「私は…そんな力は無いんだよ…」 鮫子「じゃあなんで猫にするの!?意味がわかんないわよ!」 猫がまっすぐ鮫子を見据えながら叫ぶ 猫 「それで一緒にいられるんだ!!!それでも…二人は」 鮫子「…」 優 「何時かは人間に転生できるかもしれない、それまでは」 猫 「次は犬かもしれん、鳥かもしれん、もしかしたら海の生き物、色々おるわ」 鮫子「…」 優 「鮫子さんなら判る…繋がり続ける事の価値が…」 鮫子「ごめん…叫んで、ごめん」 優 「いいんだよー」 ふわっと笑顔で返す優に苦笑する鮫子 その笑みは優への信頼 猫 「それじゃ時間無いぞ、さっさとしてくれ」 優 「うん、わかったんだよー」 いそいそと猫を抱き上げる優に佐藤さんが話しかける 佐藤「ちょっと待って、一つだけ聞かせて」 優 「?」 佐藤「仮に猫になって…寿命を迎えたときに…またその繋がりは…その、違う生き物になるとか」 優はふふっと笑いながら、答える 優 「大丈夫だよー私も一緒に行くから…」 渡辺「ええぇっ!ゆ、優ちゃんも猫になるの!?」 優 「違うよ…私は普通じゃないから…」 優が呟くように、その言葉を紡ぎだすと、赤い目が光り始める そしてその光は男とツン子も包み始める 猫 「さて…やってくれや」 優 「うん」 鮫子、渡辺、佐藤の三人が駆け寄る しかし何か違う力に遮られて猫と優に近寄れない 鮫子「じょ、冗談じゃないわよ!優!あんたたち!まさか!」 渡辺「優ちゃーん!猫さーん!!!」 佐藤「お願い!!返事して!!!お願い!!!!」 不意に優の声が三人の中に響く ----三人にお願いがあるんだよ…私たちは何時かきっと帰ってくるから ----その日までに…私たちの帰る場所を、守って欲しいんだよ… ----そこは私たち皆の「すたーとらいん」で…一番好きだった場所なんだよ ----そして三人だけは、私たちの事を…忘れないでいて欲しいんだよ、そうすれば… ----きっとまた会えるから 鮫子・渡辺・佐藤の三人は目も開けられない強い光に飲まれていく 三人は気がついたときには、ホテルの駐車場の一角にいた 鮫子「は、はは…まったく優ったら、皆に何て言えばいいのよ…」 スカートについた埃をぱんぱんとはたいていく 渡辺「…優、ちゃん…男君…ツン子さん…」 呆然と立ち上がる渡辺さん 佐藤「…優さん」 強い目のまま遥か上空を見上げ動かない佐藤さん 三人は優の言葉を何度も何度も反芻する そこへ先に脱出した上田班の脇谷が駆け寄ってくる 脇谷「だ、大丈夫!?何時出てきた…の?」 脇谷さんはその三人を見て言葉が出なくなった 遥か上空に広がる一面の夜空 三人はただ、上空を見上げながら涙を流していたのだ 猫 「いいんかい?」 優 「いいんだよー」 光の中、猫と優が話している 猫 「別にオレに付き合う必要も無いと思うんだが」 優 「あはは、もし猫の次に…男君が鼠で、ツン子さんが猫になったら大変なんだよ」 猫 「…それもまた面白いんだがな」 優 「ふふ、これで幸せにならなかったら…承知しないんだよ…」 不意に地べたに寝転がる男が話しかける 男 「優…猫、やめ、ろ」 優 「あ、あははー聞こえてたんだ…」 猫 「さっさと死ね、バカサル」 男 「優っ!頼むっ!お前には…お前と猫にも未来があるだ」 パンっと音をたてると男は一瞬にして光の玉となる そしてもう一つ、ツン子もまた同じく光の玉になり、優の手の中に納まる 優 「…大丈夫だよ…二人には…そして皆には」 幸せになってもらいたいんだよ
優 「出来るよ、私はコレなんだよ」 そう言うと優は目にかかってる髪の毛をそっと流す その髪の毛の下には赤い目 猫 「…」 優 「いいの?」 優の言葉を待たず、猫は男のところへ歩いていく 男 「ね、こ…すま、ない、ツン子守れなかった…」 猫 「最悪だ、お前は」 男は力なく笑うと、息荒く血を吐き出す 猫 「ツン子の事…好きか?」 男 「ごほっ!ごほっ!!…あ、ああ。好きだ」 猫 「愛してるか?」 男 「あ、いしてる…」 鮫子と渡辺さん、佐藤さんは猫と男を静かに見つめる 優もまた悲しげに男を見つめていた 猫 「どのような姿でも、ツン子の傍に居れるか?」 男 「ツンじゃなきゃ…いやだ、なぁ、はは」 ふっと猫が笑った。そしてくるりと猫は優に向かい 優 「猫さん…猫さんが死んじゃうって事なんだよ…」 猫 「聞いたろ、頼む」 優 「…」 佐藤さんが体を乗り出し、優に話しかける 佐藤「一体なんの話、なの?そもそも猫が喋るなんて…」 渡辺「優…ちゃん、男君助けられるの?」 鮫子「…」 優が深く深呼吸する そして意を決したかのように話し始めた 優 「男君とツン子さんを猫にするの…」 鮫子「言ってることが全然わかんないわよっ!!」 急に鮫子が叫ぶように、優につかみ掛る 優 「鮫子…さん」 鮫子「さっきから聞いてたら…猫にする!?バカにしないでよっ!」 優 「…」 鮫子「そんな力があるなら…今ここで死にそうな男君を…ツン子を助けてよ…」 渡辺さんと佐藤さんが鮫子を抑える 優は悲しそうに俯きながら首を振った 優 「私は…そんな力は無いんだよ…」 鮫子「じゃあなんで猫にするの!?意味がわかんないわよ!」 猫がまっすぐ鮫子を見据えながら叫ぶ 猫 「それで一緒にいられるんだ!!!それでも…二人は」 鮫子「…」 優 「何時かは人間に転生できるかもしれない、それまでは」 猫 「次は犬かもしれん、鳥かもしれん、もしかしたら海の生き物、色々おるわ」 鮫子「…」 優 「鮫子さんなら判る…繋がり続ける事の価値が…」 鮫子「ごめん…叫んで、ごめん」 優 「いいんだよー」 ふわっと笑顔で返す優に苦笑する鮫子 その笑みは優への信頼 猫 「それじゃ時間無いぞ、さっさとしてくれ」 優 「うん、わかったんだよー」 いそいそと猫を抱き上げる優に佐藤さんが話しかける 佐藤「ちょっと待って、一つだけ聞かせて」 優 「?」 佐藤「仮に猫になって…寿命を迎えたときに…またその繋がりは…その、違う生き物になるとか」 優はふふっと笑いながら、答える 優 「大丈夫だよー私も一緒に行くから…」 渡辺「ええぇっ!ゆ、優ちゃんも猫になるの!?」 優 「違うよ…私は普通じゃないから…」 優が呟くように、その言葉を紡ぎだすと、赤い目が光り始める そしてその光は男とツン子も包み始める 猫 「さて…やってくれや」 優 「うん」 鮫子、渡辺、佐藤の三人が駆け寄る しかし何か違う力に遮られて猫と優に近寄れない 鮫子「じょ、冗談じゃないわよ!優!あんたたち!まさか!」 渡辺「優ちゃーん!猫さーん!!!」 佐藤「お願い!!返事して!!!お願い!!!!」 不意に優の声が三人の中に響く  ----三人にお願いがあるんだよ…私たちは何時かきっと帰ってくるから  ----その日までに…私たちの帰る場所を、守って欲しいんだよ…  ----そこは私たち皆の「すたーとらいん」で…一番好きだった場所なんだよ  ----そして三人だけは、私たちの事を…忘れないでいて欲しいんだよ、そうすれば…  ----きっとまた会えるから 鮫子・渡辺・佐藤の三人は目も開けられない強い光に飲まれていく 三人は気がついたときには、ホテルの駐車場の一角にいた 鮫子「は、はは…まったく優ったら、皆に何て言えばいいのよ…」 スカートについた埃をぱんぱんとはたいていく 渡辺「…優、ちゃん…男君…ツン子さん…」 呆然と立ち上がる渡辺さん 佐藤「…優さん」 強い目のまま遥か上空を見上げ動かない佐藤さん 三人は優の言葉を何度も何度も反芻する そこへ先に脱出した上田班の脇谷が駆け寄ってくる 脇谷「だ、大丈夫!?何時出てきた…の?」 脇谷さんはその三人を見て言葉が出なくなった 遥か上空に広がる一面の夜空 三人はただ、上空を見上げながら涙を流していたのだ 猫 「いいんかい?」 優 「いいんだよー」 光の中、猫と優が話している 猫 「別にオレに付き合う必要も無いと思うんだが」 優 「あはは、もし猫の次に…男君が鼠で、ツン子さんが猫になったら大変なんだよ」 猫 「…それもまた面白いんだがな」 優 「ふふ、これで幸せにならなかったら…承知しないんだよ…」 不意に地べたに寝転がる男が話しかける 男 「優…猫、やめ、ろ」 優 「あ、あははー聞こえてたんだ…」 猫 「さっさと死ね、バカサル」 男 「優っ!頼むっ!お前には…お前と猫にも未来があるだ」 パンっと音をたてると男は一瞬にして光の玉となる そしてもう一つ、ツン子もまた同じく光の玉になり、優の手の中に納まる 優 「…大丈夫だよ…二人には…そして皆には」 幸せになってもらいたいんだよ

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