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男「……なあアンタ」 女「ん、何?」 男「アンタ、何なんだ?神なのか?」 女「神?何それ、マジ笑えない」 男「違うのか」 女「違うわ、いい?少年。ここに全知全能の絶対神が居たとするわ。絶対神さまの思考は、人間には理解できないほどに深慮に満ちている。だからこそ、神性が強くなればなるほど、その性質は単純な理念そのものになる。例えば『愛』とかね」 男「…………」 女「それほど大きな存在になると、勝手な私欲では動いてはならないのよ」 男「…つまり、アンタは私欲で動いてるのか」 女「半分はね」 男「…………」 ヴァ「…………」 女「ねぇ。戦乙女様が聞いて呆れる」 ヴァ「………これから何が起きる?」 女「さあね、でも」 男「…………」 女「あの娘は、ちょっと人を殺しすぎた」 男「…………」 女「生きていく為には、数が大き過ぎた」 男「…………」 女「だから、きっと裁かれるわ」 男「誰にだ」 女「誰にでもないわ。誰にでもない」 男「……行き着く先は地獄の門」 女「この場所に、環境に、周囲に裁かれる」 男「…………」 女「正直、ここまで思惑外れになるとは思わなかったし………まあ、やらなきゃいけなかった事は全部片付けたからもういいのよ」 男「……よく分からないけど、狂に随分執着してる事は分かった」 女「ええ」 男「だけどあの俺女は何の関わりがある」 女「…きっかけね、強いていうなら。きっかけを作る力。無責任な魂を宿してる」 男「…………」 女「彼を殺すのは惜しいわ」 男「あいつも、今ホテルに居る。狂に得物を返してる」 女「だから何よ」 男「あいつ………狂に殺される」 友「…………」 男「あいつが狂に殺されたら、何もかも台無しになるな」 女「……?」 男「どうなんだ。アンタ」 女「……どういう事」 男「とぼけるな、アイツが死んだらアンタも困るんだろう?……助けに行かないのか」 女「………何を言ってんのアンタ?私が彼を助けるように仕向けてるワケ?何で?」 男「…………」 女「精一杯の抵抗?にしても、言ってる意味が分からないんだけど。久しぶりに意味不明……ねえアンタも、こんな物騒なもの向けてないで、説明しなさい」 ヴァ「…………」 男「……???」 友「…………あ」 男「どうした」 友「…………まさか」 女「……。あ、分かった。アンタ達は知らないのか」 男「?」 女「後ろの彼は気付いたみたいね」 友「……そういう事か」 男「え?」 女「だって、あの娘今、誰も殺せないもの」 ガキッ! 狂「………え?」 俺「………。お前は俺の髪を切りたかったのか?」 狂「えっ?」 ヴヴヴヴヴヴッ 狂「ひゃぁんっ!」 ドデッ 俺「よいしょ。……だから騎乗位はやめとけって言っただろ、胸ポケットの携帯がいつかかってくるか分からなかったから」 狂「………??」 俺「呆けた顔も可愛い」 狂「え?」 俺「お前が丁度股の下に携帯踏んづけてたからドキドキしてた。……パンツ見えてるぞ」 狂「あっ……?」 ピッ 俺「もしもし……。うん、時間に間に合って良かった。………愛してるよ。………。調子はどうだ?ん、ちょっと待て」 狂「………?」 俺「ああ、うん、お前は知らなくていい。ゆっくりしてろ……。ああ分かった。じゃ」 狂「…………」 俺「狂、お前に電話だ」 狂「え?」 俺「早く取れ」 狂「あっ、うん」 狂「……もしもし……」 優「―――――狂ちゃん?」 狂「………ゆう………ちゃん……?」 優『狂ちゃん?久しぶりー』 狂「えっ、な、ええっ……?」 優『狂ちゃん、学校さぼってたんだってー?』 狂「あっ、……うん」 優『狂ちゃんあんまりさぼってたら内申に響くよー?』 狂「うん……」 優『旅行ー?』 狂「まあ……うん」 優『何処に行ってたのー?』 狂「……なんか、知らない街を」 優『いいなー。私も放浪したいなー』 狂「…。」 優『今度会ったらお話聞かせてねー』 狂「えっ、あ、うん」 優『じゃあねーばいばーい』 狂「……バイバイ」 ピッ 狂「………」 俺「……今朝、意識が回復したんだ」 狂「………」 俺「お前、やっぱり、殺したと思い込んでたんだな」 狂「………」 俺「言っただろ、お前は殺せないって。正直賭けだったんだが」 狂「………」 俺「お前の気持ちは分からないでもない」 狂「………」 俺「俺が小学校の時の話。隣のクラスにめちゃくちゃ可愛い転校生が来た。小学生にして一目惚れした。初恋だった。毎日休み時間にその娘を見に来た。困った事に帰り道を付けたりもした。こっそり消ゴムをパクって使ったりもした。その他にも色々、言えない様な事をした」 狂「………」 俺「でも、その頃俺は今みたいな冒険野郎じゃなかったからな。話も出来なくて、悶々としていた。毎日夢に出てきた。ついには………叶わないなら、あの娘を殺して俺も死んでやろうかと思った」 狂「………」 俺「だけど卒業式前日になって……、思いきって俺は話しかけてみたんだ。そしたらその娘何て言ったと思う?」 狂「………」 俺「こう言ったんだ。『えっ、男だったの?』……そういうの昔からなんだ」 狂「………」 俺「結局お前も所有欲の話だろ、突き詰めれば。昔の俺と同じで」 狂「………」 俺「でもな、よく聞け」 俺「殺す必要は何処にも無いんだ」 狂「………」 俺「お前は殺したと思い込んでいた。殺して、自分の中にいると」 狂「………」 俺「でも優は生きてて、お前に話しかけただろう」 狂「………」 俺「他人を殺す必要は何処にもないんだ」 狂「………」 俺「話は変わるが」 狂「………」 俺「お前、結局その果物ナイフじゃ駄目なんだな。不能なんだ。俺が今持ってるこれじゃないと駄目なんだ」 狂「………」 俺「優も殺せなかったし、俺も殺せなかった。もしかしたら他のヤツもだ。何が、こっちのナイフにあるんだ?」 狂「………」 俺「このナイフじゃないと人を殺せないのか?人を……」 狂「………」 俺「……。……お前は狂ってる」 狂「……違う、わたしは……」 俺「いいや、人を殺さないと心が癒されないなんて、そんなのは病気だよ。考えてみろ。人を殺すんだぞ?」 狂「……人を……殺す」 俺「そんなの考えただけで、胸糞悪い。そんな必要無いのに」 狂「………」 俺「……。このホテル、何で潰れたか知ってるか?」 狂「………」 俺「七年前の事だ。ここで殺人事件が起きた。犯人は当時、十七歳の少年だった。少年は逮捕されて、事件は解決した。それ以上の事は詳しく知らない。もしかしたらもっと根は深いのかもしれない」 狂「………」 俺「……なあ狂よ」 狂「………」 俺「俺は一応、お前のクラスメイトだ。運命の繋がりがある。特に鬱陶しい類のな」 狂「………」 俺「俺はお前が苦しんでるなら、助けたい。こうなったからには。他の皆だってそう言うに決まってる。それが、お前を裁く事になっても」 狂「……言ってる意味が、分からない。私、苦しくなんかない」 俺「………。狂、ほら。返す」 カラカラ… 狂「………?」 俺「その柄の所を見てみろ」 狂「………」 俺「……このホテルのロゴだ」 狂「………!!」 俺「いいか、狂、聞け」 狂「………嫌」 俺「もうすぐ他の奴らもやってくる。皆お前の味方だ」 狂「………嫌、来ないで」 俺「教えてくれ」 狂「……来ないで、近寄らないで」 俺「……狂」 狂「来ないで!!近寄らないで!!来ないでええぇぇ!!」 俺「……狂!!待て!!お前もここに居たんだ!七年前に!お前もここに居たんだ!!」 友「一番最初の事件なんだけど」 男「……ああ」 友「何だ」 男「ウチの学校の、女子が殺された?」 友「違う」 男「え?」 友「それより前にあっただろ」 男「…………男子が二人殺された?」 友「それだ。何でお前が知ってる」 男「……新聞とかで見たから……狂がやったって……それでアイツが狂の得物を……」 友「そこ」 男「え」 友「何故、新聞で見ることができたんだ」 男「それは……得物を…………あっ」 友「そうだ、気付いたか。最初の二人の時は、狂はまだマイナイフを持っていた。なのに、マスコミにバレた」 男「………」 友「そしてマイナイフを奪われた後、優を殺そうとして、未遂に終わった」 男「どういう事?」 友「こういう事だと思う」 友「その時、ウチの学生二人を殺したのは、狂じゃなくてアンタだった」 女「ピンポン」 友「アンタ、ウチの美少女をけし掛けたみたいな事言ってたよな」 女「そうよ………」 友「アイツが人を殺せないってのは本当なのか」 女「殺せない。誤算だった」 友「何故」 女「ただの果物ナイフじゃ、あんだけ狂っていても結局、精神にブレーキがかかるみたいね」 友「…………」 女「自分の得物によっぽど思い入れがあるのね」 男「……って事は、アイツが居ない間に殺された奴らは」 女「そう、私が殺してたの。あの娘は虫一匹殺してない」 男「…………」 女「大変だったんだから。いちいち刺すギリギリまで待ってから、あの娘の意識を飛ばして、それから殺してくのは」 友「…………」 女「しかし………、あの変態親父はいただけなかったわ………本気出しちゃったじゃない………」

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