「【アレクセイエフ】俺とシュール【米塗れ】」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

【アレクセイエフ】俺とシュール【米塗れ】」(2006/11/04 (土) 17:10:58) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

side other その部屋には計七名の男女が居た。 年は皆、若い。 俺「……どうなってやがんだ」 口を開いた少年は、苦虫を噛み潰したように。 ユウヤ「それは、誰にも何とも言えないよね」 日和「よね」 少年の言葉を肯定するように、別の少年が。 鮫「なんだっていいわ」 何処か冷めたように。 ツン「皆の事、心配だけど……」 シュー「男の事は?」 ツン「べ、別に彼の事だけが心配って訳じゃ無いわよ!」 B「ほんと、此処は何処なんすかねぇ」 …………。 誰も、何も言えない沈黙が降り募る。 全員の話を合わせても、此処が何処なのか特定出来ないし、此処へ、何時、どのようにして来たのかが判らないのだ。 一組の男女を除いては、皆が此処で目を覚ましているという以外は。 俺「ともかく、お前等がいるって事は、他にも誰かがいるって事だろう?」 他に誰かの姿を見た奴はいるか?と問うが、皆が首を振る。 その中で一人、 日和「ころす、みた」 B「コロス、って……」 シュー「殺村か」 鮫「勝手に命名してるし」 ユウヤ「日和、なんで今まで黙ってたんだ?」 日和「ふ?」 俺「それを日和に言っても仕方ないだろう。多分、聞かれなかったからだ」 少年は日和と呼ばれる少女の頭に、ぽんと手を載せて、詳しい話を聞く。 時間は掛かったが、何とか聞き出せた事を統合する。 少女が目を覚ました時、周りには誰もいなかった。 誰かの後に付いていきたくなるという、奇妙な性癖を持つ彼女は、早速誰かを捜しに出掛ける。 暫く迷っていると、窓の外、対面側の廊下を誰かが歩いているという。 それは、同じクラスにいる少女であったと言う。 俺「……そうか、殺村までいるのか」 鮫「だから勝手に……、ああもう。面倒だからいいわ」 やばいなぁ、とつぶやく少年。 シュー「もしかしてあの事を言っているのか俺氏」 ユウヤ「あの事?」 俺「黙っていようと思ったが、いずれ知る事になるだろうからなぁ」 重い口を開く。 廊下中に撒き散らされた、肉片と血の話を。 ゆうやとB、二人の少年とツンは嫌そうに顔を歪める。 鮫子はつまらなそうに溜息を。 約一名、理解してなさそうにゆうやの髪の毛を引っ張って遊んでいる。 それから少年は、自分達は外からここに来たと、最初に語ったが、おそらく一番重要な事を言ってはいなかった。 ソレは獣とも人ともつかない異形の存在。 B「ちょ……!そんなもんまでいるんすか!?」 俺「黙っていて悪かったな。誰かが言い出すまで待ってたんだが、どうやらソレについては俺とシュー氏しか知らなかったみたいだな」 ユウヤ「じゃあ、ここも安全とか言い難いのかな?」 日和「がおーがおー」 鮫「……ふぁあぁ~」 ツン「じゃあどうするって言うの?」 俺「どうにもならん。救助が来るとも思えないしな」 B「そ、それにもしかしたら化け物がもう館の中に入ってきてるかもしれないんだろ?」 俺「それだけじゃない、かもしれない」 ツン「それだけ?」 俺「言っただろう?もう既に一つ、死体が出てるんだ。そして館を彷徨う殺村……」 ユウヤ「……やめようよ、俺君。いくらなんでも彼女を疑うのは……」 シュー「可能性の話だぞ、ゆうや。言うだろう?一粒のお米にも五分の魂って」 日和「ごぶごぶ」 鮫「……言わないわよ」 B「どうして皆落ち着いてられるんだよ!」 ツン「落ち着きなさいよ、みっともないわね」 B「落ち着いてられないだろ!異常な事が起こりすぎてるんだぞ!」 ユウヤ「それを言ったらあの学校はどうなるんだろ……」 小声でゆうやが。 俺「落ち着かなくてもいいから静かにしてろ。何か行動を起こすにしても、もっと考えてからじゃないと駄目だ」 B「だからなんであんたらは平気なんだよ!人が一人、死んでるんだぜ!」 シュー「私達が焦ったところで、その死体は蘇らない。三秒ルールは無効だ」 B「だからと言って……!」 Bは堅く握った拳を震わせる。 B「もういい!なんかもう誰も信じられねぇ!俺は一人で安全な場所に隠れる!」 そう言って、Bは一人で部屋を出て行った。 ばたん!と力任せに閉じられた扉を見た時の全員の心境。 俺(死亡フラグ……) ユウヤ(死亡フラグ……) 鮫(死んだわね) ツン(死亡フラグ乙) 日和(京都焼き討ち……) シュー(それにしてもこのB、ノリノリである) 誰も心配していなかったという。 哀れ、B。 side 俺 出ていったBの事は、まあどうでもいい。 こんな状況で一人になる奴の末路は大体同じだ。 ユウヤ「大丈夫かな、B君」 鮫「ほっときなさいよ。馬鹿は馬鹿なりにやるでしょう」 鮫子は突き放すように言うが、内心ではそれなりに心配しているのだろうと思う。 シュー「ところで皆」 日和の髪の毛をいじりながら、シュー氏。 シュー「お腹空かないか?」 俺「なんだそりゃ。まあ、腹減ってるけどよ」 俺は思ったままを言ったつもりだったが、何故か俺以外の聞かれた面子は不思議そうな顔をした。 なんでだ? そしてその時、 B『ああああああああああああああぁぁぁ!……アッー!』 全員(やっぱり……) 遠くでBの叫び声が聞こえた。 俺「さて、これからどうするか」 ユウヤ「ぅゎぁ、さっきの無視なんだ」 シュー「身をもって証明してくれたのだ、彼は」 ツン「何をよ?」 シュー「死亡フラグは、確実に存在する、と……」 それは何でも身体を張りすぎだ。 鮫「題して、馬鹿の末路」 日和「まつろ」 皆ひでぇな。 その時、俺のキューティーなお腹が空腹を訴える音を出した。 ハラヘッタ。 シュー「俺氏。そんなに腹が減ってるのか?」 俺「かなりな」 シュー「お腹の小鳥がぴーぴー鳴いてるのね」 どんな表現だそれは。 なんか……。 俺とシュー氏の会話はごく普通のもののはずなのだが、それを見るゆうや、ツン、鮫子の視線がなんか変だ。 俺「ともかく、腹が減っては戦は出来ぬ。なんか食うもんがあればな……」 シュー「あったではないか」 俺「あんな、誰が作ったとも知らないもんは食えないね」 シュー「仕方ない。私のお米を分けてやろう」 俺「生で食えるかヴォケ」 シュー「ふふふ。こんな広い館なのだ。キッチンの一つでもあるだろう」 俺「そういやそうだな」 シュー「行こう」 俺「行こう」 そういう事になった。 俺とシュー氏、二人で不気味な、深とした廊下を歩いている。 キッチンを探しながらだ。 程なくして、下階へ向かう階段からキッチンに辿り着いた。 俺「さて、どう思う?」 シュー「どう、とは?」 シュー氏はキッチンの中を漁りながら。 やはり先程、誰かがあの食堂に置いた料理を作ったのか、熱気と匂いが残っていた。 シンクには水が残っており、蛇口から水滴がもの悲しく一滴、また一滴と。 俺「あいつらの反応だ」 シュー「ああ、それは私もおかしいと思っていた」 やっぱりか。 あいつら、空腹ってものを、まるで初めて聞いた事のような表情をしていた。 だからシュー氏は、何度も腹が減ったかと聞いていた。 あいつらの反応がおかしかったが故。 俺「何時の段階で気付いた?」 シュー「ツンが、食堂に入った時にまるで料理に関心を示さなかったから」 そうでなければツンが料理を置いたかのどっちかだと、とも言った。 俺「おかしなおかしな世界だとは思っていたが……」 他の連中までなんかおかしいとはな。 シュー「それでどうするのだ?」 俺「あん?」 シュー「米」 俺「ああ、なんか調理器具は……」 俺はなんともなしに、調理机に手を乗せる。 妙に熱がある調理机だな。 下部にオーブンが据え付けられている。 まだ火が入っているのかと、開けてみた。 がちゃ。 俺「……」 シュー「……」 ばたん。 閉めた。 俺「調理器具はあるのか?」 シュー「おおーい。さっきのをスルーするかい」 スルーの一つもしたくなる。 俺がオーブンを開けると、肉の焦げる美味しそうな匂い……、それと、タンパク質の焦げる嫌な臭い。 火の入ったオーブンの中で焼かれていたのは、中型犬だった。 口と両手両足が針金で巻かれ、身動きが取れないようにされて放り込まれていた。 おそらく、生きたまま焼かれたのだろう。 俺「この鍋使えないか?」 シュー「鍋で炊くとは、粋な奴め」 俺「何が粋か。……水は大丈夫だろうな」 特にそれがなんでもあっても、俺達のペースは変わらなかった。 いや、やるべき事を知ってやってるだけか。 少しして、火に掛けられた鍋から美味しそうなご飯のにほひが漂い始めた。 シュー「始めちょろちょろ中ババア、赤子泣いても蓋取るな」 中に婆がいたら怖いだろ。 そんなこんなで、俺は飯にありつけた。 飯が食えるって素晴らしい。 side シュー お米様のお米様によるお米様の為のお米様のお陰で、私達は今日も空腹を満たせた。 御米神様に一日に三回お祈りを捧げていたが、今日からは五回にしよう。 それくらい、今日のご飯の出来は良かったのだ。のだのだ。 その時である。 ぱっぱっぱぱっぱ、ぱーるらいす。 停電した。 まっくらもーりーはー。 俺「だから、めっちゃ室内だって」 向かいで、俺氏が空腹を満たせた為か、欠伸をしているのが判る。 緊張感の無い奴め。 ふああぁぁぁ。眠い。 俺「緊張感の無い奴め」 むぅ、そっくりそのままの言葉を返されてしまった。 俺「お題」 シュー「なんだ?」 俺「停電の原因」 シュー「誰かが電話線を切った」 俺「電話線で停電はしないだろーよ。そもそも、こんな場所にどうやって電気が通ってんだか」 それは確かに。 だがまあ、自家発電でもしているのだろう。 自家発電……。 うふふ。 俺「なんだよ、いきなり笑い出しやがって。だがまあ、復旧するかどうかはともかく明かりになる物が……」 ……がしゃん 『ーー……!』 破砕音と共に、悲鳴らしい声が聞こえてきた。 シュー「うわー、たーいーへーんーだー」 俺「そうだな。大変だな。その棒読み加減が」 あの黒光りする化け物が侵入でもしてきたのだろうか? 悲鳴は誰のだろうか? 全ては御米神様のみぞ知る。 次回に続く! 俺「終わってしまえ」 そんな遣り取りをしていたら電気が点いた。 side 俺 俺「さて、この先に何が出るか」 俺達は、美おっさんによって綺麗にされてしまったが、あの肉片がこびり付いていた廊下の先に居た。 目の前には一枚のドア。 最初、俺達を誘導するように閉じる音がした扉の終着点。 シュー「きっと素敵なお米の世界」 なんかもう、鬼でも蛇でも出てくればいいと思う。 扉を開くと、そこには地下に通じる階段。 俺「虎穴に入らずんば」 シュー「米を得ず」 行く事になった。 長い長い、でもやっぱり長くなかったかもしれない階段を下りた。 その先には灯りもぽつぽつとしかない、半ば闇に埋もれた廊下が続いていた。 シュー「この先は研究所に繋がっている」 こらこら、先にネタをばらしちゃ駄目でしょ。 ともかく先に進むしかない俺達は歩く。 暫く歩くと、どこからともなく声が聞こえてきた。 ?「……アッー!」 俺「……この声」 シュー「私と同じ読みの囚ちゃんね」 あ、そう言えばそうだな。 ともかく声のした方に(と言っても一方通行なのだが)急ぐ事にした。 ガコン。 囚「アッー!」 あ、やってるやってる。 看守の奴がスイッチを下ろしては上げてを繰り返している。 ガコン。 囚「アッー!」 それは硝子を一枚隔てた部屋の中で行われていた。 動物園のパンダだとかのコーナーだと思ってもらえばいい。 その部屋の中で、看守と囚人コンビがいつもの事をやっていた。 ガコン。 囚「アッー!」 なんか……。 シュー「変じゃね?」 がこん、がこん、がこん。 囚「アッー!アッー!アッー!」 俺「変じゃなくね?」 見ようによっては普段の光景であるが……、看守の目が、酷く虚ろだ。 ガコン。 囚「アッー!」 なんともシュールな光景だ。 シュー「呼んだ?」 俺「お前じゃない」 先に続く廊下の向こうにも、この部屋と同じガラス張りの部屋があると気付いた。 そこには……。 葬男「……」 葬女「……えっぐ、ぅぐ」 葬式sがいた。 そのもの、葬式の会場みたいに内装された部屋に二人はいた。 俺「おーい」 がんがんがん。 硝子を叩いてみても、二人は反応しない。 シュー「おーい」 もにょんもにょんにゅみょん。 どんな擬音だ! しかし二人は反応しない。 俺たちの聲が聞こえていないのだろうか? 葬男「……」 葬女「……ぁぅ、ううぅ」 俺「……」 シュー「……」 果たして、あの二人は誰の葬式を行っているのだろうか。 俺「さて、次の部屋には誰がいるか……」 シュー「ん?なんか明るく……」 ひょこ、と覗いてい見る。 そこには……。 シュー「……おぉ」 流石のシュー氏でも少し引いたっぽい。 その部屋には、無数の白い花が咲き乱れていた。 その中心で眠る一人の少女。 俺「……うわ、荘厳さんだ」 咲き乱れる花の中で眠る、正しく眠り姫。 俺「王子様のキスでも待ってるのかね」 シュー「蛙なら……」 誰もそのネタ判らねぇよ。 俺「さーて次回のサ●江さんは」 シュー「何気に楽しくなってきているだろ」 まね。 覗く次の部屋。 美容師「ちょwwwwお客さんwwww髪長いっすねwwwww」 美容師が居た。 その事については、まあどうでもいい。 問題は、美容師の客が生首だって事だ。 台の上に置かれた、腐敗し始めている、口から血を零す生首。 美容師「お客さんwww童貞っすか?wwwww」 じょき、じょき、じょき。 切る、切る、切る。 俺「……」 シュー「……」 美容師「それにしてもwwwwwお客さんwwww髪長いっすねwwww」 切れども切れども、すぐに髪が伸びる生首の髪を切り続ける美容師。 シュー「……ある種の永久機関?」 俺「不毛だな」 シュー「次」 俺「パトラッシュ、僕はもう疲れたよ」 シュー「嫌でも続く。それが現実」 俺「正論過ぎて耳に痛いね」 続く次の部屋の、硝子越しに見える世界。 くちゃ、くちゃ、くちゃ。 何か柔らかいものを咀嚼する音。 湿ったく響くその音。 俺「あー、そういやいたね。肉食」 シュー「喰われてるのゾンビ妹じゃん」 肉食「くちゃくちゃ」 ゾン「ヴあ゙あ゙あ゙ぁぁ」 シュー「……美味いのか?」 俺「色々と人肉に関しては論があるがな」 くちゃくちゃくちゃ。 肉食の腹が壊れない事を祈って、次。 シュッシュッシュ。 何かが空を切る音。 俺「を、最近出番の少なくなったランダエタだ」 シュー「ランダランダ~♪」 それを言うならリンダだろ。 ランダエタはリングのように設えられた部屋で、水槽に入れられた亀を相手にシャドーボクシングをしていた。 俺「……皮肉か?」 シュー「皮肉だろうな」 そのランダエタの、一生懸命な姿を来たら……。 見ていられないので次。 シュッシュッシュ。 俺「……と思ったら行き終わりか」 廊下の行き当たりには、廊下と同じ大きさの扉があった。 俺「しかし、なんだったんだこの廊下は?」 シュー「きっと、作者の野郎が『これで出したぞ!』とかってゆーオナニーがしたかったのだろう」 作「ちょwwwwあるあ……あるよwwww」 俺「……きっと大ブーイングになるぞ、これ」 シュー「ぶー、ぶー」 お前がやるな。 なんかもー訳が判らなくなってきてるけど、俺達の目的は当初のように先に進む事。 行方不明になった連中を探す事。 あ?ここに居た連中? しらねーよバーローwwwww そしてこの館からの脱出と、ここに来てしまった俺達の原因究明。 シュー「めんどくさい」 俺「……」 早くも挫折しそうだった。 そうして、次への扉が開かれる。
side other その部屋には計七名の男女が居た。 年は皆、若い。 俺「……どうなってやがんだ」 口を開いた少年は、苦虫を噛み潰したように。 ユウヤ「それは、誰にも何とも言えないよね」 日和「よね」 少年の言葉を肯定するように、別の少年が。 鮫「なんだっていいわ」 何処か冷めたように。 ツン「皆の事、心配だけど……」 シュー「男の事は?」 ツン「べ、別に彼の事だけが心配って訳じゃ無いわよ!」 B「ほんと、此処は何処なんすかねぇ」 …………。 誰も、何も言えない沈黙が降り募る。 全員の話を合わせても、此処が何処なのか特定出来ないし、此処へ、何時、どのようにして来たのかが判らないのだ。 一組の男女を除いては、皆が此処で目を覚ましているという以外は。 俺「ともかく、お前等がいるって事は、他にも誰かがいるって事だろう?」 他に誰かの姿を見た奴はいるか?と問うが、皆が首を振る。 その中で一人、 日和「ころす、みた」 B「コロス、って……」 シュー「殺村か」 鮫「勝手に命名してるし」 ユウヤ「日和、なんで今まで黙ってたんだ?」 日和「ふ?」 俺「それを日和に言っても仕方ないだろう。多分、聞かれなかったからだ」 少年は日和と呼ばれる少女の頭に、ぽんと手を載せて、詳しい話を聞く。 時間は掛かったが、何とか聞き出せた事を統合する。 少女が目を覚ました時、周りには誰もいなかった。 誰かの後に付いていきたくなるという、奇妙な性癖を持つ彼女は、早速誰かを捜しに出掛ける。 暫く迷っていると、窓の外、対面側の廊下を誰かが歩いているという。 それは、同じクラスにいる少女であったと言う。 俺「……そうか、殺村までいるのか」 鮫「だから勝手に……、ああもう。面倒だからいいわ」 やばいなぁ、とつぶやく少年。 シュー「もしかしてあの事を言っているのか俺氏」 ユウヤ「あの事?」 俺「黙っていようと思ったが、いずれ知る事になるだろうからなぁ」 重い口を開く。 廊下中に撒き散らされた、肉片と血の話を。 ゆうやとB、二人の少年とツンは嫌そうに顔を歪める。 鮫子はつまらなそうに溜息を。 約一名、理解してなさそうにゆうやの髪の毛を引っ張って遊んでいる。 それから少年は、自分達は外からここに来たと、最初に語ったが、おそらく一番重要な事を言ってはいなかった。 ソレは獣とも人ともつかない異形の存在。 B「ちょ……!そんなもんまでいるんすか!?」 俺「黙っていて悪かったな。誰かが言い出すまで待ってたんだが、どうやらソレについては俺とシュー氏しか知らなかったみたいだな」 ユウヤ「じゃあ、ここも安全とか言い難いのかな?」 日和「がおーがおー」 鮫「……ふぁあぁ~」 ツン「じゃあどうするって言うの?」 俺「どうにもならん。救助が来るとも思えないしな」 B「そ、それにもしかしたら化け物がもう館の中に入ってきてるかもしれないんだろ?」 俺「それだけじゃない、かもしれない」 ツン「それだけ?」 俺「言っただろう?もう既に一つ、死体が出てるんだ。そして館を彷徨う殺村……」 ユウヤ「……やめようよ、俺君。いくらなんでも彼女を疑うのは……」 シュー「可能性の話だぞ、ゆうや。言うだろう?一粒のお米にも五分の魂って」 日和「ごぶごぶ」 鮫「……言わないわよ」 B「どうして皆落ち着いてられるんだよ!」 ツン「落ち着きなさいよ、みっともないわね」 B「落ち着いてられないだろ!異常な事が起こりすぎてるんだぞ!」 ユウヤ「それを言ったらあの学校はどうなるんだろ……」 小声でゆうやが。 俺「落ち着かなくてもいいから静かにしてろ。何か行動を起こすにしても、もっと考えてからじゃないと駄目だ」 B「だからなんであんたらは平気なんだよ!人が一人、死んでるんだぜ!」 シュー「私達が焦ったところで、その死体は蘇らない。三秒ルールは無効だ」 B「だからと言って……!」 Bは堅く握った拳を震わせる。 B「もういい!なんかもう誰も信じられねぇ!俺は一人で安全な場所に隠れる!」 そう言って、Bは一人で部屋を出て行った。 ばたん!と力任せに閉じられた扉を見た時の全員の心境。 俺(死亡フラグ……) ユウヤ(死亡フラグ……) 鮫(死んだわね) ツン(死亡フラグ乙) 日和(京都焼き討ち……) シュー(それにしてもこのB、ノリノリである) 誰も心配していなかったという。 哀れ、B。 side 俺 出ていったBの事は、まあどうでもいい。 こんな状況で一人になる奴の末路は大体同じだ。 ユウヤ「大丈夫かな、B君」 鮫「ほっときなさいよ。馬鹿は馬鹿なりにやるでしょう」 鮫子は突き放すように言うが、内心ではそれなりに心配しているのだろうと思う。 シュー「ところで皆」 日和の髪の毛をいじりながら、シュー氏。 シュー「お腹空かないか?」 俺「なんだそりゃ。まあ、腹減ってるけどよ」 俺は思ったままを言ったつもりだったが、何故か俺以外の聞かれた面子は不思議そうな顔をした。 なんでだ? そしてその時、 B『ああああああああああああああぁぁぁ!……アッー!』 全員(やっぱり……) 遠くでBの叫び声が聞こえた。 俺「さて、これからどうするか」 ユウヤ「ぅゎぁ、さっきの無視なんだ」 シュー「身をもって証明してくれたのだ、彼は」 ツン「何をよ?」 シュー「死亡フラグは、確実に存在する、と……」 それは何でも身体を張りすぎだ。 鮫「題して、馬鹿の末路」 日和「まつろ」 皆ひでぇな。 その時、俺のキューティーなお腹が空腹を訴える音を出した。 ハラヘッタ。 シュー「俺氏。そんなに腹が減ってるのか?」 俺「かなりな」 シュー「お腹の小鳥がぴーぴー鳴いてるのね」 どんな表現だそれは。 なんか……。 俺とシュー氏の会話はごく普通のもののはずなのだが、それを見るゆうや、ツン、鮫子の視線がなんか変だ。 俺「ともかく、腹が減っては戦は出来ぬ。なんか食うもんがあればな……」 シュー「あったではないか」 俺「あんな、誰が作ったとも知らないもんは食えないね」 シュー「仕方ない。私のお米を分けてやろう」 俺「生で食えるかヴォケ」 シュー「ふふふ。こんな広い館なのだ。キッチンの一つでもあるだろう」 俺「そういやそうだな」 シュー「行こう」 俺「行こう」 そういう事になった。 俺とシュー氏、二人で不気味な、深とした廊下を歩いている。 キッチンを探しながらだ。 程なくして、下階へ向かう階段からキッチンに辿り着いた。 俺「さて、どう思う?」 シュー「どう、とは?」 シュー氏はキッチンの中を漁りながら。 やはり先程、誰かがあの食堂に置いた料理を作ったのか、熱気と匂いが残っていた。 シンクには水が残っており、蛇口から水滴がもの悲しく一滴、また一滴と。 俺「あいつらの反応だ」 シュー「ああ、それは私もおかしいと思っていた」 やっぱりか。 あいつら、空腹ってものを、まるで初めて聞いた事のような表情をしていた。 だからシュー氏は、何度も腹が減ったかと聞いていた。 あいつらの反応がおかしかったが故。 俺「何時の段階で気付いた?」 シュー「ツンが、食堂に入った時にまるで料理に関心を示さなかったから」 そうでなければツンが料理を置いたかのどっちかだと、とも言った。 俺「おかしなおかしな世界だとは思っていたが……」 他の連中までなんかおかしいとはな。 シュー「それでどうするのだ?」 俺「あん?」 シュー「米」 俺「ああ、なんか調理器具は……」 俺はなんともなしに、調理机に手を乗せる。 妙に熱がある調理机だな。 下部にオーブンが据え付けられている。 まだ火が入っているのかと、開けてみた。 がちゃ。 俺「……」 シュー「……」 ばたん。 閉めた。 俺「調理器具はあるのか?」 シュー「おおーい。さっきのをスルーするかい」 スルーの一つもしたくなる。 俺がオーブンを開けると、肉の焦げる美味しそうな匂い……、それと、タンパク質の焦げる嫌な臭い。 火の入ったオーブンの中で焼かれていたのは、中型犬だった。 口と両手両足が針金で巻かれ、身動きが取れないようにされて放り込まれていた。 おそらく、生きたまま焼かれたのだろう。 俺「この鍋使えないか?」 シュー「鍋で炊くとは、粋な奴め」 俺「何が粋か。……水は大丈夫だろうな」 特にそれがなんでもあっても、俺達のペースは変わらなかった。 いや、やるべき事を知ってやってるだけか。 少しして、火に掛けられた鍋から美味しそうなご飯のにほひが漂い始めた。 シュー「始めちょろちょろ中ババア、赤子泣いても蓋取るな」 中に婆がいたら怖いだろ。 そんなこんなで、俺は飯にありつけた。 飯が食えるって素晴らしい。 side シュー お米様のお米様によるお米様の為のお米様のお陰で、私達は今日も空腹を満たせた。 御米神様に一日に三回お祈りを捧げていたが、今日からは五回にしよう。 それくらい、今日のご飯の出来は良かったのだ。のだのだ。 その時である。 ぱっぱっぱぱっぱ、ぱーるらいす。 停電した。 まっくらもーりーはー。 俺「だから、めっちゃ室内だって」 向かいで、俺氏が空腹を満たせた為か、欠伸をしているのが判る。 緊張感の無い奴め。 ふああぁぁぁ。眠い。 俺「緊張感の無い奴め」 むぅ、そっくりそのままの言葉を返されてしまった。 俺「お題」 シュー「なんだ?」 俺「停電の原因」 シュー「誰かが電話線を切った」 俺「電話線で停電はしないだろーよ。そもそも、こんな場所にどうやって電気が通ってんだか」 それは確かに。 だがまあ、自家発電でもしているのだろう。 自家発電……。 うふふ。 俺「なんだよ、いきなり笑い出しやがって。だがまあ、復旧するかどうかはともかく明かりになる物が……」 ……がしゃん 『ーー……!』 破砕音と共に、悲鳴らしい声が聞こえてきた。 シュー「うわー、たーいーへーんーだー」 俺「そうだな。大変だな。その棒読み加減が」 あの黒光りする化け物が侵入でもしてきたのだろうか? 悲鳴は誰のだろうか? 全ては御米神様のみぞ知る。 次回に続く! 俺「終わってしまえ」 そんな遣り取りをしていたら電気が点いた。

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示:
目安箱バナー