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男と脇谷 ~はじまりの日~」(2007/04/30 (月) 06:11:41) の最新版変更点

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男と脇谷 ~はじまりの日~ いまでも、私のヒーローは男だ。 そしてあの日まで、ヒロインは私だった。 今でもはっきり覚えてる。 あの夕焼けの帰り道。 私はヒロインじゃないんだと知った、あの日のこと。 あの時、私は6歳だった。 いつもの公園、いつもの3人。 初めは私が怪我をした。 おいかけっこで滑って転んですりむいて。 膝から沢山血がにじむ。 それでも男は笑って言った。 「どんくさいなぁ。何してるんだよ」 私は笑って返事した。 「あはは、ドジっちゃった」 本当は泣きたいくらい痛かったけど、私は笑って返事した。 私が泣けば、きっと男は困るから。 帰り道、女の子が怪我をした。 ちょっとつまづいてすりむいて。 たいしたこと無い怪我だった。 それでも男は、心配そうに駆け寄った。 「おい、大丈夫か?」 女の子は、恥ずかしそうに返事した。 「こ、このくらいなんでもないわよ!」 男はしゃがんで背中を向けて。 「家までおんぶしてやるよ!」 女の子は恥ずかしそうに、男の背中によりかかる。 転んで怪我した女の子を、幼い男が背負って歩く。 怪我した私はその後ろ、一人でとぼとぼついて行く。 おかしいね、私だって怪我してるのに。 夕焼けで真っ赤に染まった帰り道。 私は思い知らされた。 ああ、男のヒロインはあの子なんだ。 十字路で二人と別れ、しばらく歩いて泣き崩れた。 痛くて、辛くて、悔しくて。 遠巻きに過ぎるお姉さん。 無視して歩くお兄さん。 無関心な大人達。 膝を抱えて泣いてても、誰も助けてくれなかった。 おかしいね、ヒロインが困ってるなら、必ず誰かが助けに来るのに。 どうして誰も私を助けてくれないの? そして、思い知らされた。 そうか、私はヒロインじゃないんだ。 だから、誰も助けてくれないんだ。 私は立ち上がった。 誰も助けに来ないなら、自分の足で歩かなきゃ。 涙を拭いて、顔上げて、深呼吸をひとつして。 誰も助けに来ないなら、私は強くならなくちゃ。 一人で強くならなくちゃ。 夕闇迫る帰り道、私は脇役になった。
男と脇谷 ~はじまりの日~ いまでも、私のヒーローは男だ。 そしてあの日まで、ヒロインは私だった。 今でもはっきり覚えてる。 あの夕焼けの帰り道。 私はヒロインじゃないんだと知った、あの日のこと。 あの時、私は6歳だった。 いつもの公園、いつもの3人。 初めは私が怪我をした。 おいかけっこで滑って転んですりむいて。 膝から沢山血がにじむ。 それでも男は笑って言った。 「どんくさいなぁ。何してるんだよ」 私は笑って返事した。 「あはは、ドジっちゃった」 本当は泣きたいくらい痛かったけど、私は笑って返事した。 私が泣けば、きっと男は困るから。 帰り道、女の子が怪我をした。 ちょっとつまづいてすりむいて。 たいしたこと無い怪我だった。 それでも男は、心配そうに駆け寄った。 「おい、大丈夫か?」 女の子は、恥ずかしそうに返事した。 「こ、このくらいなんでもないわよ!」 男はしゃがんで背中を向けて。 「家までおんぶしてやるよ!」 女の子は恥ずかしそうに、男の背中によりかかる。 転んで怪我した女の子を、幼い男が背負って歩く。 怪我した私はその後ろ、一人でとぼとぼついて行く。 おかしいね、私だって怪我してるのに。 夕焼けで真っ赤に染まった帰り道。 私は思い知らされた。 ああ、男のヒロインはあの子なんだ。 十字路で二人と別れ、しばらく歩いて泣き崩れた。 痛くて、辛くて、悔しくて。 遠巻きに過ぎるお姉さん。 無視して歩くお兄さん。 無関心な大人達。 膝を抱えて泣いてても、誰も助けてくれなかった。 おかしいね、ヒロインが困ってるなら、必ず誰かが助けに来るのに。 どうして誰も私を助けてくれないの? そして、思い知らされた。 そうか、私はヒロインじゃないんだ。 だから、誰も助けてくれないんだ。 私は立ち上がった。 誰も助けに来ないなら、自分の足で歩かなきゃ。 涙を拭いて、顔上げて、深呼吸をひとつして。 誰も助けに来ないなら、私は強くならなくちゃ。 一人で強くならなくちゃ。 夕闇迫る帰り道、私は脇役になった。  

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