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家路

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asikaga

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一日が終わり、部活に入っていない二人はとっとと帰路につく。
…というか、この学園に『部活』という概念があるのかどうか疑わしい。

ツンバカ「くはあ~…今日もよく学んだぁ~…おいら、なんだか頭がよくなった気がするでやんす」

ツンサメ「…矢部くん乙。で、どう?あれから進展あった?」

ツンバカ「えっと…いつものように男くんの周りに集まるクーやヒート達に向かって男くんが
『ちょっとすまない。俺はツンバカと話したいんだ』って言った…」

ツンサメ「ええっ!?」

ツンバカ「…そんな夢を見たよ」

ツンサメ「夢かい…。てか、また授業中寝てたの…?」

ツンバカ「違うよ!休み時間だよ!授業の内容は覚えてるもん!………ほんのり」

ツンサメ「………ほんのり、ね」

ツンバカ「それにしても、10分しか寝てないのに長い夢だった…こういうの『かんたん、いっすいのゆめ』って言うんだよね?」

ツンサメ「…ずいぶん難しいワードが出たけど、意味解ってる…?」

ツンバカ「もっちろん!えと、確か…ある旅人が仙人に借りた枕を使って寝たら、お粥が炊ける頃には旅人の人生は終わっていた、て話だよね!?」

ツンサメ「…旅人死んでるわよ、それ…」

ツンサメ「…で、夢じゃなくて実際はどうなの?」

ツンバカ「ふっふっふ…昨日に比べて2倍以上進展したよ!」

ツンサメ「へえ、なんだか知らないけどやるじゃない。で、何をもってして2倍なの?」

ツンバカ「ええとね…昨日は3回しか目が合わなかったけど、今日はなんと7回も目が合ったのだぁ~!」

ツンサメ「………へぇ~、それはすごいわね~(棒読み)」

ツンバカ「えへ~」

ツンサメ「……………で、会話は?」

ツンバカ「…………………会話は……………」

ツンサメ「……………………」

ツンバカ「か、会話は……………………」

ツンサメ「……………朝だけ?」

ツンバカ「……………………(コクン)」

ツンサメ「………………………」

ツンバカ「……………うわあああああん!ツンサメぇ―――!!」

ツンサメ「な!?ちょ…抱きつかないでよ!」

ツンサメ「はあ……そんなんじゃ、あの奇跡の鈍感男とは絶対に近付くないよ……?」

ツンバカ「ううぅ…だって…そんな話すなんて…恥ずかしいし…わたしなんて…(ゴニョゴニョ)」

ツンサメ「…話すどころか、あの二人の羞恥プレイまがいの好き好き攻勢に巻き込まれてもあの冷静っぷりよ?」

ツンバカ「クーとヒートのこと?……あんなに自分の気持ち、素直に出せて…うらやましいな…
あの二人が男くんに『好き』って言うの、聞くたびに…何ていうか…胸が苦しいよ…」

ツンサメ「…だったら、あんたもその気持ちをぶつけるだけよ」

ツンバカ「ぁ…ぅ…そ、それって俗に言う…こ、こここここここここここ…コケ~コッコッコッコケ―――――!!」

ツンサメ「…噛んでいい?」

ツンバカ「ひいっ!ご、ごめん!つい流れで…」

ツンサメ「はあ…本気なんだか、冗談なんだか…」

ツンサメ「それに、信じがたいことに…ツンバカのクラスの実に半分近くが、程度は違えど男くんのこと好きなのよ」

ツンバカ「な、なんだって―――――!?」

ツンサメ「男くん、性格的にもけっこう好青年な上、あちこちでメルヘンばら撒いてるからね」

ツンバカ「そ、そんなぁ…」

ツンサメ「あと、荒鷹さんも男くんに告白したって噂があるわね」

ツンバカ「ええぇ!!あの荒鷹ちゃんまで!?」

ツンサメ「そ。ま、それは作者の都合でパラレルワールドになるかもしれないけどね」

ツンバカ「(何の話だろ…?ま、いっか)あうう…こうして聞いてたら何とライバルの多いことか…前後不覚だよ…」

ツンサメ「だから意味もわからず知ってる単語を(ry。だから、そんな消極的ではダメだって言ってんの!」

ツンバカ「う、うん…」

ツンサメ「明日はもっと積極的に声かけて、せめて会話くらい成立させなきゃ絶望的よ?それに…」

ツンバカ「ふふふ…」

ツンサメ「…何よ」

ツンバカ「ううん。ツンサメ、すごく考えてくれてるんだなー、って」

ツンサメ「…はぁ?何よそれ……」

ツンサメ「何を唐突に…それに、相談してきたのはアンタでしょ?」

ツンバカ「ふふ、さっき話ふってきたのはツンサメだったよね?」

ツンサメ「あ、あれ?そうだっけ?…じゃなくて…そんな言い方…迷惑してるなら、もうこの話やめるけど!?」

ツンバカ「や…ち、違う!違うの!私、ツンサメには、すんごく、すんごく感謝してるよ!」

ツンサメ「……へ?」

ツンバカ「私……頭悪いし……ドジばっかだし……好きな男の子にも…ロクにアプローチできない臆病者だし………」

ツンサメ「…………」

ツンバカ「それでもツンサメは、そんな私の相談にのってくれて…
私のためにいろいろ考えてくれて…」

ツンサメ「そ、それは…アンタがあまりにふがいないから…」

ツンバカ「うん、わかってる。でも、そんなふがいない私なんかのこと、ツンサメはいっしょうけんめい考えてくれてるってこともわかってるよ?」

ツンサメ「……………」

ツンバカ「私は知ってるよ?ツンサメ、ふだんは冷たい感じだけど、ホントはと~っても優しい人なんだってこと、知ってるよ?」

ツンサメ「や、やめてよ恥ずかしい…」

ツンバカ「ツンサメ、いつもいつもありがとうね?私、ほんとに、ほんとに感謝してるよ!」

ツンサメ「な、何よ改まって…恥ずかしいわね…」

ツンバカ「ふふふ、ツンサメ、照れてる~?」

ツンサメ「そ、そりゃそうよ…。アンタこそ、恥ずかしくないの!?」

ツンバカ「ん~ん。だって、ホントのことだもん!」

ツンサメ「たく…その素直さ、男君にも発揮できればねえ…」

ツンバカ「むう~それとこれとは別!ほらほらツンサメ、つっ立ってないでいこ!(がしっ)」

ツンサメ「わ!ちょっと!てか、アンタの家はここ右でしょ!?」

ツンバカ「こっちでいーの!今日はツンサメの家まで送ってく気分なの!」

ツンサメ「送ってくって…ウチまで来たらアンタん家けっこう遠いわよ?」

ツンバカ「いーの!こんなの親友として当然だよ?」

ツンサメ「(………親友、か…)ふふふ、そうかもね……」

―――ツンサメ家前

ツンバカ「じゃあね~!ツンサメぇ~!」

ツンサメ「うん、また明日ね」


ツンサメ「ふう…ほんと、まっすぐなコね…」

ツンサメ「それにしても、あんなにストレートな性格してるのに、何で男くん相手だとあんなにツンツンなんだろ…」

ツンサメ「いつもの感じで接したら、あんな素直で危なっかしいコ、男共はほおっておかないと思うけどな…」
~♪

ツンサメ「ん?メール?ツンバカから…?」


件名:迷った!
本文:帰り道がぁ~!助けてツンサメ!(´;ω;`)


ツンサメ「………………」

ツンサメ「ほんと、ほおっておけないわね…」

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