思えばいつも、同じ空
見渡せばそこに広がっている
見渡せばそこに広がっている
どれだけ長い間
僕らは見守ってこられたのだろう
僕らは見守ってこられたのだろう
これは、とある夏の
とある、物語
とある、物語
ソラノキオク
………
……
…
……
…
私の私だけの部屋
そこはとても気持ちのいい場所
そこはとても気持ちのいい場所
今静かに荷物をまとめる
ことの始まりは、一本の連絡網
ことの始まりは、一本の連絡網
「 クラスで旅行行かない? 」
夏休みだというのに忙しいことね
しかしイベントの大好きなクラスの皆のこと
きっと皆参加するから
しかしイベントの大好きなクラスの皆のこと
きっと皆参加するから
たった2・3日だと言うのに、退屈な時間は私を追い込んだ
隣の家なんだから、いつでも会えるのに
でも、会う理由がなかった
だからだろう、男に会う理由ができた
隣の家なんだから、いつでも会えるのに
でも、会う理由がなかった
だからだろう、男に会う理由ができた
それだけで、私は嬉しかった
夏休みに入ってから、何故かあけなかった窓ガラスを開けた
屋根の上に転がる小さな小さな石ころ
それを男の家の窓に向かって投げた
それを男の家の窓に向かって投げた
───コン
心地よい音が響く
一回じゃ、反応はない
二回、三回、そしてやめる
一回じゃ、反応はない
二回、三回、そしてやめる
するとガラガラと窓を開く男
「ツンか?」
寝ぼけ眼でこちらを見る
「ツンか?」
寝ぼけ眼でこちらを見る
「ごめん、寝てた?」
「ん、今寝ようと思ってたとこだが」
「ん、今寝ようと思ってたとこだが」
「あのさ……」
不意に私は口を開く
「ん、なんだ?」
不意に私は口を開く
「ん、なんだ?」
「…なんでもない、明日の旅行、楽しみね」
「ん、そうだな」
「ん、そうだな」
他愛のない世間話、それがとても幸せだった
どうでもいい会話
だけど、幸せな会話
だけど、幸せな会話
そうして夜は更けていく
「じゃ、明日」
「おう」
「おう」
会話を切り上げて、窓を閉める
月明かりのみが差し込む暗闇の部屋
月明かりのみが差し込む暗闇の部屋
私のその部屋の中央に置かれた一つのかばん
明日からのクラスでの旅行
明日からのクラスでの旅行
それはどこにでもありふれた
だけど、とても楽しみな旅行
だけど、とても楽しみな旅行
カーテンを閉める前に、月を眺める
そしてそっと願いを込める
そしてそっと願いを込める
- 明日からの4日間が、幸せなものでありますように -