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内木短編


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   ボクは・・君と一緒にいられるだけでいいと思ってる
   いや・・思っていた――――

私・・・いや、ボクの名前は内木。試立新ジャンル学園3年A級所属
まわりからみたらちょっと女の子顔の、どこにでもいる男子生徒・・だと思う。
いつからだろうか
ボクが男の子の振りをしだしたのは・・ちょっと自分を変えるだけのつもりだった。でもその格好をして
自分を偽っているときに、君に出会ってしまった。肩と肩をぶつけ合い運命もぶつかってしまったみたい。
君がボクの落とした鞄を拾ってくれてすまなさそうに渡してくれた、ボクは顔を隠しながらその鞄を受け取って、小さな声でお礼をいった。
はたからみれば何気ない風景
ボク自身もその”素敵な出会い”に神様が続きをくれるなんて思っても見なかったから
だから――

急な親の転勤、急な転校、急な別れ、そして急な出会い。
めまぐるしく私の周りで起こる私も巻き込んだ変化――そして偶然が私を私の偽りに縛り付ける。
越してきた先の小さな一軒屋。父の仕事も一段落つき、ここに落ち着くことになるそうだ
学校は明日からいくことになっていたけれど業者さんの手違いで荷物が遅れてしまうそうだその中には前の学校の制服もはいっていた
当然こっちの学校の制服なんてまだ作ってないし・・どうしようかとおもっていると
父が学校に電話をしていた。明日一日だけ特別に私服でいいとのこと。不安がないわけではないがいい引越し一日目だなと思った。
太陽はやっと空のてっぺんをちょっととおりすぎたくらい、お昼ご飯は食べ終わってるし
家の車で運んできた荷物も既に入れ終わってる。散歩がてらここらへんの地理を覚えるのもいいかも
日曜日。天候は晴れ、透き通るような青で塗りつぶされた快晴―――。

そのときボクは荷物の整理のしやすい格好だった。よく言えば”ボーイッシュ”な、悪く言えば飾り気のない格好
そのままボクは両親に断りをいれてぶらぶらと散歩に出かけた。当然土地鑑はないけど、道を覚えるのは得意な方
なにより高校卒業するまでここに落ち着くわけだし―
    • ぼんやりと歩いていたらしていたらいつのまにか街のほうに出てたみたいだった。
今でも思う、ここで君とあっていなかったら、ぶつかっていなかったら。いや、まずふらりと散歩にでていなかったら
ボクの世界はちょっとだけ、ほんのちょっとだけ変わっていたのかもしれないと。
でも、それのやり直しがきくとして、それをボクが望むのか望まないのかは、今でもわからないけれど・・・

ボクは人の顔を真っ直ぐ見れない。
いつでも目を逸らしてしまうどんなに優しい人でもどんなに可愛らしい人でも―
理由?さあ・・自分でもわからない・・ただ相手の目を見るのが怖いだけ
目と目を合わせるとボクはすくんでしまう、そうすると会話もままならない。
だから目を合わせない。もしかしたら相手にボクを見透かされることを怖がっているのかもしれない
ボクは本当に弱いから
ボクは人の顔を真っ直ぐ見れない。

日曜の午後とあって街は人がごったがえしていた。といってもここはボクが前にいたトコより
だいぶ小さいところなので人の多さに戸惑うことはなかったけれど。
路地に布を引いて店をだしている露天商のアクセサリーに見とれていた。
ちょっと感じのいい店を見つけて、今度来てみたいなと思ったりしていた。
午後の陽気が、私の心をすこうし空にして―
そして私は運命に会う。
それは肩の衝撃で、次いでお尻の衝撃にとってかわった。
華奢な私は肩をはじかれただけでしりもちをついてしまった。ジーンズが少し汚れたかなと思ったりもしたけれど
もともと作業着のようなものなんだし。とよっこらしょっと立ち上がる。
そこには落としてしまったらしい私の鞄をもった彼がたっていて、心配そうにこっちを見つめていた。
私は彼と、目と目を合わせた。
真っ直ぐに――

「ああ・・ごめんねーちょっとぼーっとしててさ、ホラ今日いい天気だし」
「あ・・はい・・こちらこそごめんなさい」
目が離せなかった。心臓はさっき車から荷物をだしたときよりも疾く打っている。
きれいな人だと思った。一瞬女の人かとも思ったくらいだから。でも言葉遣いや容姿
を見てすぐに男の人とわかった遠慮がちにその男性から鞄を受け取る。
「あ・・ぁりがとうございます・・。」
とボソボソと呟くことしかできなかった、でも、その目は離せない深い眼光に捕まって・・。いや・・離したくない・・?
「うん、それじゃあね。今度からはお互い気をつけよう。陽光に浮かれてドジなんて格好悪いしね。」
「はい・・さようなら」
人から聞いたことしかなかった、マンガでしかみたことがなかった。
一目ぼれ・・・?
春風が私の頬を撫ぜていく。すこしでも、すこしでもこの頬の熱を冷ましてくれたらいい。
私はそう思って、しばらくそこに立ち止まっていた。