- 現在 PM:17:45 教室
ヴァル「鮫子」
教室で一人ぼうっと座ってる鮫子にヴァルキリーが話しかける
鮫子「うん」
鮫子は目線を向けずただ、外をぼうっと見ている
ヴァル「行かないのか?」
鮫子「ええ、少し疲れたみたいだから」
ヴァル「妹さんも居たぞ」
鮫子「そう」
鮫子「ええ、少し疲れたみたいだから」
ヴァル「妹さんも居たぞ」
鮫子「そう」
やはり目線は動かない
ただ遠く霞を見つめるように焦点は合ってなかった
ただ遠く霞を見つめるように焦点は合ってなかった
ヴァル「最初、メイド服を配ったときに耳打ちした時の内容」
鮫子「・・・」
ヴァル「あれは嘘だ」
鮫子「やっぱりね」
ヴァル「そうか」
鮫子「・・・」
ヴァル「あれは嘘だ」
鮫子「やっぱりね」
ヴァル「そうか」
夕日が赤く二人を染め上げる
- 現在 PM:17:50 教室
ガタン
ヴァルが鮫子の前の席に座る、そして鮫子と同じ方向を見ながら喋りだした
ヴァルが鮫子の前の席に座る、そして鮫子と同じ方向を見ながら喋りだした
ヴァル「鮫子が・・・メイド服握り締めてな、震えてる時。ちょうど私は彼からあるお願いをされていた」
鮫子「どんな?」
ヴァル「・・・」
鮫子「どんな?」
ヴァル「・・・」
鮫子は手元のお茶に手を伸ばし、少し口をつける
ヴァル「そしてそのお願いをどういった形で鮫子に伝えるか、考えていた」
鮫子「ぷはっ・・・ふぅ」
ヴァル「それとも伝えないべきか・・・とかな」
鮫子「言いなさい、ここまで言ったのなら」
ヴァル「・・・」
鮫子「ぷはっ・・・ふぅ」
ヴァル「それとも伝えないべきか・・・とかな」
鮫子「言いなさい、ここまで言ったのなら」
ヴァル「・・・」
机を鮫子が思い切りばんと叩く、上に置かれてたお茶が少し揺れる
鮫子「・・・」
ヴァル「鮫子」
鮫子「何よ」
ヴァル「鮫子」
鮫子「何よ」
ヴァルの息を呑む音が聞こえる
ヴァル「彼はもう・・・死んだんだ」
- 現在 PM:17:50 体育館
俺「くぁーー!!労働の後の一杯はうめぇなぁ!!」
看板娘 『おっさんくさいです、ただのファンタですよぅ』
看板娘 『おっさんくさいです、ただのファンタですよぅ』
体育館にての後夜祭
仲のいい気の合う連中で集まりまだまだ盛り上がる
仲のいい気の合う連中で集まりまだまだ盛り上がる
俺「ふぅ・・・しかも結構儲かったんだろ?」
プロセスが伝票表片手に微笑む
プ「ええ、予想以上の利益でしたね」
軍「ふふ、まあことごとく私の作戦が当たったのは間違い無いが」
俺「うるせーよ」
軍「意外なのが、鮫子さんでした。こういうイベントは何時もやる気が無い印象でしたが」
軍「ふふ、まあことごとく私の作戦が当たったのは間違い無いが」
俺「うるせーよ」
軍「意外なのが、鮫子さんでした。こういうイベントは何時もやる気が無い印象でしたが」
ああ、という顔で皆うなずく
基本的に面倒くさがりのけだるい女というイメージなのか
基本的に面倒くさがりのけだるい女というイメージなのか
鯱「おねえちゃむ・・・うごくのきらい」
日「あ、あはは」
俺「まあな、あの日下庇っての喧嘩なんて・・・鳥肌ものだぜ」
友「あ・・・ああ」
大門「鮫子はん、殴るときも撃つ時も、無表情でごわっさ」
日「あ、あはは」
俺「まあな、あの日下庇っての喧嘩なんて・・・鳥肌ものだぜ」
友「あ・・・ああ」
大門「鮫子はん、殴るときも撃つ時も、無表情でごわっさ」
男「そういや鮫子さんって彼氏さんとか居るの?」
- 現在 PM:17:55 体育館
ヒ「ああ!?おとこおおおお!!さ、さめこのことがっ!」
男「ちちち、違うって!ただそういう話聞かないなって思って」
ク「そういえば・・・あまり色恋の話には乗ってこないな」
ツン「まあ冷めちゃってるのかなぁ・・・結構モテそうだけどね」
男「ちちち、違うって!ただそういう話聞かないなって思って」
ク「そういえば・・・あまり色恋の話には乗ってこないな」
ツン「まあ冷めちゃってるのかなぁ・・・結構モテそうだけどね」
ツンバカ「あ・・・あはは、はは」
鯱子は相変わらず黙々とアイスをむさぼっている
ふと誰かが鯱子に声をかける
ふと誰かが鯱子に声をかける
日「鯱子ちゃん?アイス美味しい?」
鯱 こく
俺「んあ?鮫子姉ちゃん、彼氏さんとか連れてきたりする?鯱子ちゃん」
鯱 こく
俺「んあ?鮫子姉ちゃん、彼氏さんとか連れてきたりする?鯱子ちゃん」
鯱子は俺君に軽く目線を向け、またアイスに集中する
友「ま・・・まあ個人のプライバシーだぜ!なぁ!」
ツンバカ「そそそそそ・・・そうよぅ!ダメだよ!そんなの聞いたら!!」
俺「んーま、そうだな、ごめんなしゃちk」
ツンバカ「そそそそそ・・・そうよぅ!ダメだよ!そんなの聞いたら!!」
俺「んーま、そうだな、ごめんなしゃちk」
鯱「おかあさむが、いってた。さめこおねえちゃむのこいびとは、おほしたまになったって」
- 現在 PM:18:00 体育館
俺「-------え?」
男「お星様って?」
男「お星様って?」
シーンと水をうったように静かになった
鯱子の言う事をただ単純に受け止めたら、鮫子の大切な人の、死
鯱子の言う事をただ単純に受け止めたら、鮫子の大切な人の、死
ツンバカ「しゃ・・・鯱子ちゃん!!アイス!!取りに行こうよ!」
友「あちゃあ。」
友「あちゃあ。」
ヒー子とクー子も声が出ない
向こうの騒がしさが耳に映える
ホム「角材ドーン!!」
ホム「乾杯ドーン!!」
ホム「角材ドーン!!」
ホム「乾杯ドーン!!」
鯱子が席を外した事を確認すると友が俯き加減で話し始める
友「友達だったんだよ、鮫子の彼氏とは」
日「あ・・・」
友「二年の時にな、同じクラスだったんだよ、鮫子と・・・その彼氏とオレは
そしてちょうど一年くらい前か?事故で・・・亡くなったんだわ」
日「あ・・・」
友「二年の時にな、同じクラスだったんだよ、鮫子と・・・その彼氏とオレは
そしてちょうど一年くらい前か?事故で・・・亡くなったんだわ」
- 現在 PM:18:00 教室
鮫子「そう」
ヴァル「時間が無いのだ、彼には」
鮫子「それで、貴方に?」
ヴァル「時間が無いのだ、彼には」
鮫子「それで、貴方に?」
ヴァルは俯きながら目を閉じる、おそらく肯定だろう
鮫子「一発、ぶん殴らないと気がすまないわね・・・」
ヴァル「彼をか?」
鮫子「あんたもよ」
ヴァル「な!?」
ヴァル「彼をか?」
鮫子「あんたもよ」
ヴァル「な!?」
がす
鮫子「さすが神人、頑丈ね」
ヴァル「ぐ・・お・・・ぉ」
鮫子「ごめんね、でも黙ってた罰よ」
ヴァル「ぬううう・・・しかし」
鮫子「今すぐ、彼の所に行くわ」
ヴァル「・・・」
ヴァル「ぐ・・お・・・ぉ」
鮫子「ごめんね、でも黙ってた罰よ」
ヴァル「ぬううう・・・しかし」
鮫子「今すぐ、彼の所に行くわ」
ヴァル「・・・」
小高い丘の上の一本の木
ここに彼はいる
ここに彼はいる
- 現在 PM:18:10 教室
友「鮫子の彼氏、去年校門からすぐの角で事故あったろ?あいつだよ」
男「覚えてる・・・全体集会で黙祷したよな」
俺「あ・・・話したこと無いけど・・・顔は知ってるな」
男「覚えてる・・・全体集会で黙祷したよな」
俺「あ・・・話したこと無いけど・・・顔は知ってるな」
友「元々クラスには内緒っつーか・・・あんまりこういうの喋るタイプじゃ無かったしなお互い」
友「ただ何時も放課後は、あの丘の上の木の下で待ち合わせしてたな」
友「ただ何時も放課後は、あの丘の上の木の下で待ち合わせしてたな」
看板娘(あの夜の・・・場所)
ca、メイドのきっかけとなる光る丘の上の鮫子。あの場所が彼との待ち合わせ場所
ツンバカ「鮫子、葬式でも泣いてなかったもんね・・・誰も気付かなかったよ」
ふと横にツンバカが立っていた
ふと横にツンバカが立っていた
ツンバカ「鯱子ちゃんは日下さんが面倒見てるよ、こっちには来ないから」
友「あー確かに・・・異常な程・・・気丈だった」
ツンバカ「だからこの事は知ってる人・・・あまり居ないの、だから」
皆、暗く少し俯くようにうなずいた
- 現在 PM:18:15 廊下
ヴァル「鮫子。行かないほうがいい!彼を天に帰すんだ!!」
鮫子「帰るがいいわ、だけどね一発だけは殴るの」
ヴァル「鮫子!!」
鮫子「帰るがいいわ、だけどね一発だけは殴るの」
ヴァル「鮫子!!」
ヴァルの手が鮫子の肩を掴む
背中越しの為表情を読み取れなかったが、彼女の肩は少し震えていた
背中越しの為表情を読み取れなかったが、彼女の肩は少し震えていた
鮫子「最後だけ・・・おねがい・・・まだ話足りない、一杯あったのよ」
ヴァル「鮫子・・・」
鮫子「でも私は口下手だから・・・いつも素直じゃないし、短気だし・・・」
ヴァル「後悔させたくないんだ!!君は・・・まだ生きている」
鮫子「何も伝えてないの!ヒー子みたいに素直に自分の思いを吐き出せたらどんなに幸せか!!」
鮫子「クーみたいに・・・まっすぐ目を見据えて・・・一杯あるの・・・話したいことが沢山あるの・・・」
ヴァル「鮫子・・・」
鮫子「でも私は口下手だから・・・いつも素直じゃないし、短気だし・・・」
ヴァル「後悔させたくないんだ!!君は・・・まだ生きている」
鮫子「何も伝えてないの!ヒー子みたいに素直に自分の思いを吐き出せたらどんなに幸せか!!」
鮫子「クーみたいに・・・まっすぐ目を見据えて・・・一杯あるの・・・話したいことが沢山あるの・・・」
ヴァル「彼の望みは!!鮫子!君が彼の事を忘れて・・・幸せを掴む事だったんだぞ・・・」
鮫子はヴァルの方へ体を向ける、鮫子は泣いていた。
ただそこには気丈な女の顔があった
ただそこには気丈な女の顔があった
鮫子「私は、それでも背負うの。初恋だもの」
ヴァル「鮫子・・・」
鮫子「後悔するでしょうね・・・何時か、でも伝えないまま別れるのだけは・・・許せない」
ヴァル「・・・わかった」
ヴァル「鮫子・・・」
鮫子「後悔するでしょうね・・・何時か、でも伝えないまま別れるのだけは・・・許せない」
ヴァル「・・・わかった」
- 現在 PM:18:20 廊下~丘の上の木
ヴァル「だが彼の力も弱まってる、私が一緒じゃないともはや普通の人間には認識すら出来ない」
鮫子「そう・・・」
ヴァル「後は・・・彼と話してくれ・・・行くぞ!!」
そういうとヴァルは鮫子を掴み空へと舞う、大きな羽を広げ一気に丘の上に到着する
そういうとヴァルは鮫子を掴み空へと舞う、大きな羽を広げ一気に丘の上に到着する
鮫子「ありがとう・・・ヴァル姐」
鮫子は木を優しく撫でる
鮫子は木を優しく撫でる
ヴァル「・・・正直、会わせたくない。鮫子・・・まだ」
鮫子「会わせて」
ヴァル「・・・」
そう鮫子が呟くとヴァルの体が光りだす、ヴァルの姿が認識できないくらいに
鮫子「会わせて」
ヴァル「・・・」
そう鮫子が呟くとヴァルの体が光りだす、ヴァルの姿が認識できないくらいに
鮫子「居る・・・の?」
ひょっこり木の後ろから彼の姿。しかしその姿は、今までの姿とは違い、血だらけの姿だった
彼「すまんなぁ・・・もう隠せないくらい・・・力無いんだわ」
鮫子「馬鹿・・・殴れないじゃない・・・これじゃ」
そう言うと鮫子は彼の頬を優しく撫でるのだった
彼「すまんなぁ・・・もう隠せないくらい・・・力無いんだわ」
鮫子「馬鹿・・・殴れないじゃない・・・これじゃ」
そう言うと鮫子は彼の頬を優しく撫でるのだった
- 現在 PM:18:30 丘の上の木の下
一年前、一人の青年が道に飛び出した子供を助け事故にあい命を落とした
その時の姿だろうか?彼の姿は白い制服は真っ赤に染め上がり
顔には大きな擦り傷、首筋に大きなあざがあった
顔には大きな擦り傷、首筋に大きなあざがあった
鮫子「ねぇ・・・痛くないの?」
彼「はは・・・つか感覚自体あまり無いな・・・困ったのう」
鮫子「・・・」
彼「ん?」
鮫子「じゃあ一発殴るわ」
彼「はは・・・つか感覚自体あまり無いな・・・困ったのう」
鮫子「・・・」
彼「ん?」
鮫子「じゃあ一発殴るわ」
彼「ちょ!ま」 がすん
ヴァル「うげ・・・」
鮫子のグーパンチが彼の脳天を直撃する
彼「うおおお・・・ぉ・・・感覚が鈍い筈なのに痛い」
鮫子「この馬鹿・・・一週間前に会った時は・・・そんなそぶりも見せないで」
彼「は・・・はは」
-------------- 一週間前~回想~