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男が記憶喪失になったようです25(仮)


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登場ジャンルより表記一例

※注意:多少ゆがんだ観点多いです



新ジャンル全般=男


ツンデレ=ツン


新ジャンル「アンニュイサド」=アサ


新ジャンル「甘え下手の策略アンニュイ」=甘策


新ジャンル「居座り女騎士」=騎士


新ジャンル「こっくり」=狐


新ジャンル「猫雪女」=猫雪


新ジャンル「火銀燈」=火銀












男「ただいま~っと言いたい所だけんども――なんでこんな散らかってんだ!?宴!?宴か!?」

火銀「ぐあぁあああごぁああああ……むにゃ、食い切れねっ、、ごぁっ」

猫「おぅー。男~、お帰りで正解やね~。やからぬっこぬこするがいねー」

狐「あら?男はん。今日はツンさんと一緒じゃないですのん?」

男「いやあ、さすがにもう通学路くらいは覚えたっちゅうか……」

猫「んぉー?どしたがねー?」

男「(昼から何故か声かけづらかったっちゅうか…)…ま、まあこんな日もあらぁなあ!」

猫「ん~お~……」

狐「はぁあ…どすわ」

男「な、なんじゃいっ?ため息なんかついてからに?」

狐「いやあ、相変わらず女心のわからんお人やなぁって……」

男「??
  っつか親父はどこじゃい?騎士の奴も見当たらんし?」

火銀「うぉぉおおおおおおめでとおおおおおお!!騎士ぃぃいい!!……くごっ」

男「おうっ!?」

猫雪「っちゅうわけやがね~」

狐「実は昨日まで暇を出されとったらしいんですわぁ、騎士はん。
  それがめでたく解けはったってんでちょいと送別会してましてん」

男「それでこの有様…ってなにも昼間っからやるもんか?全員そろっとらんちゅうのに…」

猫雪「なんでも主どんに、すぐにでも戻って来いって言われたらしいにょお」

騎士『だ、だが今までどおりちょくちょく顔は出すからなっ!
   何ひとつ変わらんから私が居なくなるからってあんまり喜ばんようにっ!!』

狐「と最後に言うてはりましたけど、ウチら寂しがりこそすれ喜ぶなんて…
  あるわけおまへんがなぁ…うふふふ」

火銀「ライバル減ったしなぁぁあああ!!…はごっ、、ほぇ…
   お、男!帰っってきやがったかぁああああ!!」

狐「こぁっ」

猫雪「にょふっ♪」

男「(江守顔がすごいことに…)っつか親父は?はっ…まさか親父も!?
   ――って、なわけあるかい!」

猫雪「おぉぅっ、きれいなノリツッコミやがねぇ、にょほほ」

狐「お父上は病院ですわぁ。
  保護者として息子の主治医の話を聞いとかなあかんのは常識どすなぁ」

火銀「送別会終わって騎士も出てったかんなぁっ!!」

男「そ、そういえばそれもそうじゃのぅ」



 学校 夕暮れ 教室

ツン「…………」
 ―――ペラ…

ツン「…………」
 ―――ハラ…


アサ「あら?」


ツン「あ…」
アサ「ふふ…どうしたの、誰もいない教室で。男、帰っちゃったけど?」
ツン「あ、いえ、その…」
アサ「今頃迷ってるかも知れないわねぇ、昨日みたいに」
ツン「し、知ってるんですか?」
アサ「筒抜けよ。皆知ってるわ。ついでに貴女が傘を渡しそびれた事もねぇ…」
ツン(///)
アサ「そういう話はすぐに広まる物よ。でも…ふふ、大丈夫かしら?一人で帰らせて」
ツン「その…あの…お、男の事なら心配ないですっ。通学路くらいは流石にもう覚えたでしょうし
   男のお父さんが万一に備えてGPS付きの携帯持たせたそうなんで」
アサ「あら、案外用意が良いのねえ、あの人」
ツン「あの…人?お知り合いなんですか?オジサマと」
アサ「昔の話よ
   十年以上ご無沙汰だから、もう会っても判らないかも知れないわねぇ。顔も、性格も…」
ツン「そんなこと
アサ「そんなものよ……貴女にはまだ解らないでしょうけど」
ツン「……」

アサ「…ところで何を読んでたのかしら?」
ツン「これです。白雪姫。文化祭でやるんですけど、その脚本…」
アサ「へぇ」
ツン「…の出来そこない…」
アサ「出来そこない?」
ツン「書いた人がボツにしたんです。ちょっと面白かったんで……その……」

ツン(気が、紛れるかもって思って…)

アサ「その?」
ツン「な、なんでもないですっ!!」
アサ「そう?ふふ……で、その面白い台本…見せてもらっても?」
ツン「え?…ええ。でも、ボツ台本ですよ?」
アサ「けど、面白いんでしょう?」
ツン「まあ…………じゃあ、どうぞ…」
アサ「ん。素直な子は好きよ。……ここ、座らせてもらうわね」
 ガタ…


 ――パラ…

 ――サラ…  

 ―――パラリ……

 ―――ペラ………

アサ ふぅむ…

ツン「どう…です?」
アサ「そうねぇ…
   わがままで一人じゃ何もできないお姫様が、森の小人との共同生活によって成長した
   って解釈は悪くないと思うわ…」
ツン「あ、やっぱりそう思いますか?
  子供向けの童話でも、捉え方次第でちゃんと脚本になるんだなって私も感心してたんです
  なんでボツにしたのか不思議なくらいで…」
アサ「クス…それはね、眠ってしまうのが白雪姫だからじゃないかしら?」
ツン「え…?眠るのは白雪姫…ですよね…それでいいんじゃないですか?」
アサ「グリム童話に載っているものではそうねぇ
   でも、その原初の形態においては眠りについた7人の小人を森の美女が起こす話であった
   とも言われているのよ」
ツン「何でそれがいけない理由に……普通に王子様がお姫様を起こす話でも…」
アサ「あら?ツンはそれでいいのかしら?」
ツン「え?」
アサ「せっかく大切なことを学んだはずなのに、
   愚かにも見知らぬ人の林檎を口にして眠りこけてしまう
   結局は眠り続ける間の世話も、それを解いてもらうのも人任せ
   これじゃああんまりよねぇ…ふふ…クスクス……ボツにしたのは正解
   書いた子はこのクラスの事、良く分かってるわぁ…クスクス…おかしぃ」
ツン「そんなに笑う事…」
アサ「本当はね、起こしてくれるのは誰でも良かったのよ
   ただお姫様が眠りこけているのだけが我慢ならなかった。その王子様は
   うふふ…いじらしいわねぇ

   ―――まるで貴女のよう」
ツン「な、何を言って…っっ」
アサ「違うのかしらぁ?ふふ…ねぇ、ツンだけよ?
   男の記憶が戻ってきてほしい、なんて悩んでるのは」クスクス
ツン「そ、そんな訳ないじゃない!!誰も男の記憶が戻らなければ良いなんてっ!!」
アサ「あら…日本語ってむずかしいわねぇ…
   記憶を取り戻してほしくない人なんていないわ
   みんな多かれ少なかれ男が記憶を取り戻すのを望んでる…でも、ねぇ」クスッ

アサ「記憶が戻らないと嫌だ、なんて言ってるのはツンだけなのよ?」

ツン「!!」
アサ「あんな性格だし、症状だって日常生活に支障を来たすほどじゃない
   事実、記憶を失ってしばらくは私だって気がつかなかった
   ――変わらないのよ、あの子
   記憶を失った後も、前も。昔の事を覚えてるかどうかなんて誰も気にならないくらいに
   むしろ人によってはその方が嬉しいって子もいるんじゃないかしら?」クスクス

 ガタッ

アサ「あら?」
ツン「変わります!!記憶を失う前と後じゃっ!!他の誰にとっても変わりがなくても!!

   私にとっては全っ然!違うんだから!!」

アサ「――言うわね…」
ツン はあはあ…
アサ「本当に、そう思ってるのかしら?ツンは」
ツン「当たり前、です…っ」
アサ「心から?」
ツン「絶対に」
アサ「そう…」
ツン コク
アサ「記憶を取り戻す方法―――知りたい?」
ツン「ふぇ?」
アサ「あら、かわいい。ふぇ、だなんて」
ツン(///)「あ、その…――きっ、記憶を取り戻す方法って…判ったんですか!?治す方法!?」
アサ「……――――ごめんなさいね。試すような真似しちゃって
   こんな時はついつい意地悪になっちゃうんだけど、それだけじゃないわ
   今から伝えるのは、割に合わない、賭けのような、
   もしかしたら当然のように何一つ起こらないかもしれないお姫様のキスよ
   仮に失敗に終わっても挫けない想いがあるかどうか確かめたかった……
   目の前の魔法使いを信じるかどうかは貴女次第―――ふふ…聞きたぁい?」
ツン「聞き…たい…聞きたいです。教えてくださいっ」
アサ「そ。じゃあ、よく聞きなさい」



  保健室

甘策「それで――教えちゃったの…姉さん」
アサ「どうせどっかから伝わるわ、そのうち
   それに一般論を言うなら記憶は取り戻すべきものだもの。保健医としての義務ねぇ」
甘策「私が男の記憶、取り戻してあげればアドバンテージとれたのに…」
アサ「ふぅ…お姉さん悲しいわぁ。こんな覇気のない妹だなんて」
甘策「な、なにがっ…」
アサ「ちょっとライバルが有利になったくらいでもう諦めるなんて…」
甘策「~~っ……そ、それもそうね……やることは変わらないし…
   ところで姉さん、煙草、切らしてるんじゃない?」
アサ「あら…………よく解ったわねぇ。今朝から見当たらないのよ」
甘策「で」
アサ「?」
甘策「ね」
アサ「隠してたのねぇ。流石わが妹…と言いたい所、だけども――それで?」
甘策「…うぅ~~」
アサ「何で・隠した・のかしら?…うふふ」
甘策「その…私が男の記憶取り戻せるように手伝って…」
アサ「それだけぇ?」
甘策「ふぅっ………
   ~~~~~~っ………デート…」
アサ「聞こえなぁい」
甘策(///)「もし記憶を取り戻せたらデートできるように取リ図ハカラッテクダサイッ、男ト…」
アサ「素直でよろしい♪」





登場ジャンルより表記一例


精神科医=オリジナルで「西沢」


新ジャンル「興味津々」=興味(何にでも興味を示す。どんどん覚える)


新ジャンル「興味津々」の男=興男(興味津々の彼氏。アッーではない)


裏新ジャンル「都市伝説」の男=都市(チート、にわかオタ、平和島静雄、若干S)


新ジャンル「メリー」=メリー(電話口から愛を伝える都市伝説大好き娘)


ドM推奨・新ジャンル「貞子タンから愛の霊的束縛を受ける」の貞子=貞子(ビデオから以下同文)


新ジャンル「口裂け女」=口裂(街角で以下同文)


新ジャンル「最強の一般人」=最強(チート、常識的に考えて、進清十郎、やや天然)


新ジャンル「最強の一般人」の天使=天使(最強の一般人の家に居候。結構高位の天使っ娘)


新ジャンル「最強の一般人」の悪魔=悪魔(最強の一般人の家に居候。割と高位の悪魔っ娘)


新ジャンル「居座り女騎士」=騎士


男の父親=父親 





西沢「ふむ。健忘症。それも生活史だけでなく一般的な社会通念にも著しい障害が見られる、と」

興津「なあ、お前、なんで顎に髪の毛あるんだっ?」

西沢「これかい?」

興津「引っ張っていいかっ?」

西沢「ははは、困るなぁ。引っ張られると痛いんだよ」

興津「ほぉほぉ」 ギュッ

西沢「あだだだだ……」

興男「こらっ、ダメですよ。引っ張るなって言われたでしょう?」

興津「あ……う、うんっ。スマン…オッサン」

西沢「いやいや、好奇心があることはいい事だよ。
   脳神経と言うのは網の目のようになっていて日々新しい回路が作られているからね
   君みたいに刺激を受け続けていれば、
   ひょんな事から回路が繋がって忘れていたことを思い出したりもするんだ」

興津「???
   ……………あぅ…えっと……私にも鬚は、生えるのかっ?」

興男「女の子には鬚は生えませんよ。彼はつまり…」

西沢「うん。今みたいに何にでも興味を持っているれば、すぐに治るさ」

興津「おおっ、そっかそっか♪それはイイコトだっ、皆喜んでくれしなっ」


   ◆ ◆ ◆


西沢「幻覚、幻聴がひどいそうだね」

都市「ええ。もうね、ウットーしくて…何とかしてほし

貞子「ひっ!ひどいっ!鬱陶しいって何よ!!」

口裂「あ、あんた誰!?いつの間に!?」

貞子「はっ?あんたこそ誰よ!都市のなんなの!?」

口裂「キイィ!呼び捨て!?都市くん呼び捨て!!?ありえない!!」



都市「あ~~、すっげえ。幻覚の内容言うのもアレなんですがね、すっげえっすよ?
   そろそろキャットファイト始まりますって
   なんすかコレ?無意識下の抑圧された性的闘争本能の発現?」

西沢「うん。君、解って言ってるよね」

都市「ええ、こんなにはっきり見えるもんですからね
   迷惑しとるんですわ。たま~~~にっすけど普通の人と間違えそうになったり」

西沢「うん。確かに普通でないのは認めるけどね」

 ブルルルルルブルルルルル

都市「っていうかこの幻覚、電話とか使ってくるんですけど
   知り合いが『鳴ってるよ』とか言うんで出たらですね――幻聴ですよ。マジウゼエ」

西沢「鳴ってるよ」

都市「またっすか」

 ――pi

都市「あ~、今ちょっと診察受けてっから後で。あ゙?今俺の後ろだ?……へえ」



メリー「え…あなた達………誰?」

貞子「あら、どこの子かしら?あ、あ、もしかしてぇ
   この不細工と同じ、自分のこと都市の彼女とか思っちゃってる可哀そうな子かしらぁ?」

口裂「ぶ、ぶさっ…!!なんだとぉ!?」

メリー「そ、そうだよっ、何言ってるの?都市くんは私の大切な……」

貞子「あ~あ~。これだからお子様はw
   都市の好みはね、ユニセックスな子なの
   ボーイッシュなのがタイプなの。私みたいな両性具有とか好きなの
   あなた達ぜんぜん違うじゃない?
   ストーカーは、自分は交際してるって思いこむのって本当なのねぇ?」

 ガシャン!

メリー「そんなことないもん!そんなのウソだもん!!都市くんは私だけのものなのっ!!」

口裂「っていうかさっきのブサイク発言、撤回しなさ

貞子「うふふふ。ヒステリックな子ってやぁねえ」

口裂「無視すなっ!」

都市「おい」

貞子「っていうかあんたまだ子供じゃない。自分が恋愛対象になるとでも思って


都市「 お い ! ! 」


貞子「へ、へぃ!?」 
口裂「『へい』ですって…うふふ」
メリー「八百屋さんだね。へいらっしゃい?くすくす」

都市「おめーらよぉ…後ろで騒ぐのはいいがよ?何……診察室荒らしてんの?あ゙」

メリー「はぅ…」 
口裂「ばーかばーかwお子様怒られてる~♪」

都市「な?人様に迷惑かけんなって話だよ。解るだろそれぐらい
   な?だからよ、ちっと黙ってろ…『三人』ともよぉ」 
口裂(///)



都市「と、ね。物質界に影響を与える幻覚なんっすわ」

西沢「うんうん。見事なモノだ
   私もこの仕事は長いし『幽霊が見える』と言い張る患者も診てきたが…
   これほどはっきりと『本物』が見られるとはねぇ。スガスガしいくらいだよ」

都市「売り飛ばせたら売り飛ばしたいですよ。見世物小屋?とかに
   あ、勿論人権とかは考慮した上でね。売り飛ばすってのも言葉のアヤで就職先斡旋?です
   今、幻覚が何人か家に居座ってて…稼いで金入れてもらわないと生活ヤバいんですって」



メリー「うりとば…っ!ひどいよ!!」

貞子「私は別よね!?このカマド猫みたいのとは違うものね!?」

口裂「っていうか私達をなんなんだと思ってるの!?」都市「幻覚」



西沢「ふう……まあ君が健常者だという事は解ったし、次にどこへ行くべきかも伝えられるけど
   ……一つだけ言わせてもらっていいかい?」

都市「どうぞ」

西沢「君、少し女性に優しくなったらどうだい?」

都市「女性には基本優しいですよ?俺。ただ非常識な奴に厳しいだけです」

西沢「なるほどねぇ、わかってないねぇ」


   ◆ ◆ ◆


最強「よろしくお願いします」

西沢「また君か。今度はどんな迷える子羊を連れて来たんだい?確かこの前は――」

最強「自分を神とサタンであると思いこんでいる中年男性二人です
   その前は悪魔、さらにその前は天使」

西沢「っていうか君、『自称神』とか『創造主』とかも連れてきたりしてたよねぇ
   一部の民俗社会では良くある現象だから
   出会い方によってはそういうの、むやみに連れてくるのはいかがな物かと思うんだけど…」

最強「問題ありません
   遠い異郷に踏み込んで連れ去ってきわけではなく、いずれも自宅近い路上での発見です
   自分の生活圏内の一般常識から逸脱した言動が見受けられたため、
   熟慮の上ここに連れてくることを決定しました」

西沢「なるほどなるほど。とりあえず診察だけしておこうか
   まあ気楽にしていいよ。え~っと…?君は騎士だそうだねぇ?」

騎士「あ、主!?まさか私を連れてきたのはっ!?」

最強「それ以外になにがある?診察してもらうべきだろ。常識的に考えて」

騎士「ちょっ」

天使「まあまあ、通過儀礼みたいなもんですってw」

悪魔「諦めが肝心だからな。主はそういう人だ」

騎士「うぅぅ~~~~……」

西沢「君たちも仲良くやってるみたいだね?私も安心だよ
   ああそうだ、さっきね、君たちと似たような子たちを見たよw」

天使「え?」

悪魔「まさか…」

西沢「ん?なにか?」

天使「い、いやあ~、な、なんでもないですよ~」

悪魔「だ、大体、私達と似ている、とは言い難いものなあっ」

騎士「して、どのような?」


西沢「ん~、口裂け女とかメリーさんとか、都市伝説を生で見たのは初めてだったなぁ」


天使・悪魔 キャー!

騎士「?」

最強「あのチンピラか。いずれキツいお灸を据えてやらんとな。デュクシ!デュクシ!」

騎士「はぅっ!あ、主っ!何をする!?」

最強「む、すまん。当たったか?」

天使「マ、マスター…っ!相まみえてはダメですっ!」

悪魔「しばらくここでゆくりして行こう…っ!」

西沢「なんだい?ずいぶん取り乱してるようだけど」

天使・悪魔「「世界の危機ですよ!」」

西沢「………なるほど?」

最強「デュクシ!デュクシ!」

天使「あたっ」
悪魔「痛いっ」

都市「誇大な嘘はやめろ。先生が混乱するだろ…」

天使・悪魔「「嘘じゃないも~~ん」」 ←涙目


   ◆ ◆ ◆


西沢「よっこらせっと――」
 ボキボキボキ…
西沢「こってるな~、肩。っていうか全身」
西沢「お、次で最後か」
西沢「次の人~どうぞ~」




父親「どーもどーもっ、愚息がお世話になっております」

西沢「男くんの親御さんですね。いやぁ、そっくりだ。一瞬男くんかと思いましたよ」

父親「なんのなんの。奴にはまだ大人の貫禄って奴がありませんからねぇ。別物ですよ」

西沢「鬚…とか?」

父親「鬚…ですなぁ」

西沢「はっはっは」

父親「はっはっは」

西沢 ガッシ ←抱き合う・ぬるくない

父親 ガッシ ←抱き合う・ぬるくない

西沢「男くんはさぞ誇らしいでしょうねぇ、立派なお父さんと、逞しい御鬚で。
   ――昨日一昨日あたりにお剃りになったばかりでしょう?」

父親「まあ、見た目ではそうでしょうがやはり中身が伴わんと、ねえ。話にならんでしょう?」

西沢「それもそうだっ。ただ、彼は…」

父親「その『中身』を忘れてしまった。
   直截に聞かせていただきます―――どうなんでしょう?男の方は…」

西沢「彼にも言いましたが…」

父親「ええ。」

西沢「全くの健康体ですよ。精神的にも、肉体的にも」

父親「ただ思い出だけがない、と」

西沢「全生活史健忘症ですな。
   『意味記憶』や『手続記憶』は異常がないのに、思い出を司る『エピソード記憶』
    だけを喪失している」

父親「記憶喪失、という訳ですね?」

西沢「まあ俗に言うと、ですねぇ」

父親「なんでも電柱に頭をぶつけたことで記憶を失って……
   その、先生が言われるには健康には異常はないと…」

西沢「そうですねぇ。外傷に関しては専門外なので、検査はやって損は無いと思いますが
   私自身が診た限りでは全く。一週間以上何も起ってはいませんし、
   知り合いで診察した方も問題はないと仰っていますな。ただ…」

父親「ただ…やはり脳に外傷が見られる……ということですか?
   正直に言ってもらって構いませんよ」

西沢「いやいや。お父さんの危惧は全くの杞憂です。御心配には及びません」

父親 ホッ…

西沢「私が言いたいのは男くんの今現在の症状に関することです。
   一週間以上何も起っていない、というのは半分は喜ぶべき事ですが、
   もう半分は少し問題アリ、なんですなぁ」

父親「と、言いますと…」

西沢「ええ。
   本来こういった症状は、通常の生活を続けるうちに徐々に記憶を取り戻していくものです
   脳はネットワークの様に関連する記憶毎に繋がりを持っていて、
   なおかつ日々それらの繋がりは新規に形成されていく…
   たとえ記憶を忘れてしまっても、決して『失くして』しまったのではなく、
   文字通り『忘れた』だけなんです
   物理的には脳の中に残っているので、近くに回路が開かれれば必ず思い出すわけです
   なので普通に生活して刺激を受けていれば多少は思い出すはずなのですが…
   学校で彼を診察している保健医の話では、ささいな事さえ思い出す様子がない」

父親「はあ……つまり男が記憶を取り戻す見込みは…」

西沢「まだ私も一度会ったきりですから何とも言えませんが……
   少し…思い違いをしていたのかもしれません」

父親「思い違い…?」

西沢「思い違いです
   健忘症の原因としては薬物や認知症など多岐に渡りますが、
   男くんの場合は外因性…早い話が頭部に対する強いショックが原因です」

父親「ええ。それは私も話を聞いて…」

西沢「ですが、今現在の持続した症状は、むしろ精神的な要因にあるのでないか…
   そう考えているのですね」

父親「だがしかし……男にそんなトラウマじみた思い出など…」

西沢「逆ですよ」

父親「逆?」

西沢「通常、記憶を失った人間は多かれ少なかれ周りとの意識の齟齬に悩まされ、
   しかしそれ故に無意識のレベルから失った記憶を求める物なのです。ですが彼は
   ――察するに、ほとんど記憶を取り戻す必要性を感じてはいないのではないでしょうか?」

父親「ああ。それは、まあ、なんとなく解りますなぁ」

西沢「彼の性格的な所による物が大きいのでしょうが、
   周りのフォローなくしてはあり得なかったでしょう
   彼の幸せな境遇は素晴らしい。ただ、今回はそれが厄介な結果となってしまった。
   誰も悪くはない…強いて言うなら『幸い中の不幸』とでも言ったところでしょうか…
   いずれにせよ、こういった症状はやはり精神的な物ですからねぇ
   本人の意思が大きく関わってくるものなのです」

父親「つまり…男には、失った記憶の必要性を自覚させなけれなばいけない…と」

西沢「その通り。まだ仮定の段階ですので、断定はできませんが
   今のところそれが唯一の対処法であるのも確かです」